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水ダウ「解散ドッキリ」経た若手芸人の今 YouTuberとの違い

お笑いコンビ「コンピューター宇宙」のはっしーはっぴーさん=鈴木旭撮影
お笑いコンビ「コンピューター宇宙」のはっしーはっぴーさん=鈴木旭撮影

目次

お笑いコンビ「コンピューター宇宙」のはっしーはっぴーさん。『水曜日のダウンタウン』(TBS系)の解散ドッキリで注目され、今年8月には『24時間テレビ』(日本テレビ系)にも出演した。現在28歳。テレビだけでなくYouTubeにも積極的な彼は、今のお笑い界をどう見ているのか。「誰よりも売れたい」と話す若手芸人に、率直な思いを聞いた。(ライター・鈴木旭)

<プロフィール/はっしーはっぴーさん>2019年、ブティックあゆみとお笑いコンビ「コンピューター宇宙」を結成。『キングオブコント2020』準々決勝進出。ユニークな切り絵を創作し、自作した軽トラキャンピングカーで生活する芸人として話題となり、キャラクターの良さからバラエティーでも活躍中。決めフレーズは「あでしゃ」(「ありがとう」「出会いに」「感謝」の略)。10月7日、8日、『niko and...』がプロデュースするお台場・潮風公園で開催されるフェス「UNI9UE PARK(ユニークパーク)」に出演予定。

UNI9UE PARK
https://www.nikoand.jp/uni9ue_park_2023/
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「僕以外みんな売れてる」

テレビ出演のきっかけにもなった切り絵。
テレビ出演のきっかけにもなった切り絵。 出典: はっしーはっぴーさん提供
――8月26日、27日、『24時間テレビ』(日本テレビ系)に出演。まず『ウチのガヤがすみません!』(同)のメンバーとして選ばれたのがすごいですね!

僕が出演したのって8月の特番だけだから、めちゃくちゃありがたかったです。その特番で上沼恵美子さんのために僕が切り絵のアート作品を作ってお渡ししたんですけど、どうやらそのVTRを局の偉い方が見て気に入ってくださったみたいで。たぶんそれで呼んでいただけたんですよね。

本当に当日まで僕が出るって知らなかったから、「ヒロミさんが走る」ってことと、「僕が『ウチガヤ』メンバーとして呼ばれた」ってこと、どっちの驚きもありました。『ウチガヤ』のときは有名な方々以外に、僕みたいにそこまでメディアに出てない芸人もたくさんいたんですよ。

けど、『24時間テレビ』のときは、周りに鬼越(トマホーク)さん、チョコプラ(チョコレートプラネット)さん、フワちゃん、アンジャッシュ・児嶋一哉さんとかそうそうたるメンバーで「僕以外みんな売れてる」みたいな(苦笑)。

もちろん、ヒロミさんが完走したことにすごく感動したんですけど、同時に「僕が両国国技館で『サライ』歌ってる!」っていう不思議な感覚もあって。すごくうれしいけど、あまりに非現実的だなって気持ちが大きかったです。

コンビ結成の裏に行動力

――いろんなことにチャレンジされていますが、そもそもいつ頃からお笑いに興味を持ったんですか?

昔から僕は目立つのが好きで。たぶんめっちゃ格好良かったらアイドルグループに入ってたし、楽器ができたらアーティストやってると思いますけど、高校入って「そろそろ進路を決めなきゃいけない」となったときに、自分にできそうなことが芸人しかなかったんです。

高校3年になってお笑い養成所を探してたら、「松竹芸能だけ学割が利く」と知って。ほかは30~50万円ぐらいかかるんですけど、松竹は高校在学中に申し込めば20万円ぐらいで入れたんです。それで、まずは松竹の養成所に入りました。

そしたら、たまたま地元の友だちも入学してて、勢いで「レッドゾーン」ってコンビを組んだんです。ただ、その友だちはけっこうヤンキーで、授業も来ないしネタ合わせでは殴り合いのケンカもするしみたいな(苦笑)。「こんなのダメだろ」ってことで解散しました。

――波乱のスタートですね(笑)。今の相方のブティックあゆみさんと知り合ったのはいつ頃なんですか?

ブティックさんは、松竹の養成所の1年先輩なんです。けど、そのときは僕が一方的に存在を知ってるぐらいの感じでした。

その後、僕が太田プロの養成所に入って「三手観音」ってトリオを組むんですけど、卒業のタイミングで1人抜けて。コンビでも2、3年やったけどダメで解散したんです。それからピンで活動して1年ぐらい経ったときに、太田プロで活動していたブティックさんのコンビが解散して、相方を募集してるタイミングで声を掛けてもらいました。

ちょうど僕が太田プロの養成所に入った2015年に俳優コースもできたんですよ。コントやるなら演技力も学びたいと思ったから、卒業のタイミングで「毎回お手伝いに行くので、俳優コースの授業も受けさせてください」とお願いして3年ぐらい通ったんです。

その一環で事務所に毎回カギを取りに行ってたから、マネージャーさんにも顔を覚えてもらえたし、ネタが書けるブティックさんとも親しくなれた。その頃から積極的に動いて良かったなと思います。

「これじゃダメだ」でバイトを辞めた

YouTubeで紹介されている軽トラキャンピングカーでの生活。
YouTubeで紹介されている軽トラキャンピングカーでの生活。 出典: はっしーはっぴーさん提供
――2021年10月にYouTubeチャンネル『はっしーのはっぴーライフ【売れるまで軽トラ生活】』を本格的にスタートしています。「バイトを全部辞めます」と宣言し、コンビの資料を作って直接、事務所の社員さんに配る動画が印象的でした。

18歳からお笑いの世界に入って、漠然と「25歳ぐらいで売れる」って思ってたんですよ。昔から好奇心は旺盛だったから、切り絵、HADO(現実世界を舞台にエナジーボールを 自らの手で放ち戦うARスポーツ)、パワースポット巡り、けん玉、バルーン、マイナースポーツとかいろいろやって。どれか引っ掛かるだろうと思ってたんです。

けど、気づいたら売れないまま25歳になって。バイトで月20万円もらって、夕方5時以降から月15本ぐらいはライブに出てる。それで最高が『キングオブコント2020』の準々決勝。YouTube動画をアップしたときはもう26歳になってたし、「これじゃダメだな」ってことで警備員とか居酒屋のバイトを全部辞めたんですよね。

――お話を聞いていると、かなり早い段階から戦略的に行動に出ていますね。

たぶん誰よりも、「売れたい!」って気持ちが強いんでしょうね。昔から何か起こりそうなところには顔を出しますし。周りから「ゴマすって、いい顔して」とか言われるかもしれないけど、「それをしないと売れないんだったらやるよ」って思ってました。

ただ、YouTubeをやり始めたときはコロナ禍で、本当に何をすればいいかわからなくて。最初は貧乏飯とかいろいろやったけど、インパクトがなさ過ぎるなと。それでアパートを出て、自作した軽トラのキャンピングカーで生活を始めたんですよね。

――YouTubeチャンネルを立ち上げてから、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)、『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系)、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)など早い段階で有名な番組にも出演しています。

ありがたいことに、出たい番組はほぼ呼んでいただきました。その中でも、印象深いのは『お笑い向上委員会』に初めて出たときのことですね。今までで一番「芸人したな」というか、自分のことをすごく好きになりました。

アルコ&ピースさんがメインゲストだったので、番組に呼んでくださったスタッフさんもそこまで期待してなかったらしいんです。けど、実際に収録が終わったら「みんなが拍手するぐらいにハネた」とおっしゃってくださって。自分で言うのもあれですけど、そうそうたる方々がいる中で「よく返せたな」と思うぐらい全部ハマりました(笑)。

ただ、僕があんなふうにやれたのは、腕のある方々が周りにいたからこそ。後にも先にも、あそこが人生で一番楽しかった。また出たいと思ったし、何よりもあそこに出てる方々のような芸人になりたいと思いましたね。

YouTuberではなく芸人として

――アルコ&ピース・酒井健太さん率いる「酒井軍団」関連でもバラエティーに出演しています。改めて事務所の先輩・酒井さんの魅力はどんなところにありますか?

酒井さんとお話すると「こんなに売れてるのに、まだ頑張ってるのか」って思うんですよ。サウナとかラップが好きだったり、コーヒーの資格を取ったり、日々アクティブに動いてる。「やっぱ芸人ってそういうことだよな」って改めて思わせてくれる方です。

あと、すごく恥ずかしいんですけど、僕がまだ1年目のときに「ネタじゃなくてキャラでいきたい」って酒井さんに言ったことがあるんです。そしたら、酒井さんが「はっしーはキャラあるしな。ただ、ネタも絶対やったほうがいいぞ」ってさりげなくアドバイスしてくれて。

当時、ネタ番組ってけっこう少なかったけど、「いずれ始まるから、今のうちにネタをやっといたほうがいい」ってことだったんですよね。それが頭にあったから、その後に「なるべくネタでも結果を残そう」って思えました。

――はっしーさんの世代はYouTuberになる方も多いと思うんですが、改めて芸人との違いはどこにあると思いますか?

仲が良いYouTuberはたくさんいますけど、お笑いってなったときには「同じ土俵ではないぞ」みたいな感覚があります。上の先輩と同じように、僕もテレビを見て育ってるから「テレビで活躍したい」って気持ちが強いんだと思います。

周りにYouTubeとかTikTokで有名になって、街で指差される人もいるんですよ。でも、やっぱ僕は「芸人として面白いことをしたい」と思ってるから違和感があるというか。動画の再生回数が伸びて有名になっても、別に嬉しくはないなっていうのがありますね。

僕の中のYouTubeは、テレビに出るための手段。「キャンピングカーで暮らしてます」「切り絵やってます」って発信してるのは、いずれはテレビの方に呼んでもらえるんじゃないかってところが大きいですしね。

ここで解散はすごくもったいない

――事務所ライブで勢いづくサルベース、『ツギクル芸人グランプリ2023』決勝に進出した群青団地など、同期や後輩たちの活躍は刺激になっていますか?

みんな面白いし、刺激になってます。僕はどんな形であれ売れたいから、「賞レースは誰かに見つかるための手段」って考えなんですけど、やっぱシンプルに後輩に負けるのは悔しいですよ。

9月の事務所ライブで1年ぶりぐらいに下のライブに落ちちゃったのもあって、今は「絶対上がってやる!」みたいな気持ちが強いですね。やっぱ僕って先輩にもビッグマウスなので(苦笑)、それが下に落ちちゃったら本当に説得力ないというか。相方ほどじゃないにしろ、ネタでも認められたい思いはありますし。

去年、『水曜日のダウンタウン』の「不仲芸人対抗!スピード解散選手権」に出演した4組中2組が解散してるじゃないですか。スタンダップコーギーさん、竹内ズさんが解散して、後はバビロンさんと僕らだけ(苦笑)。ここで解散するのはすごくもったいないと思うので、何とかバランスを保ちながら活動していきたいです。

――コンビでの活躍にも期待してます! はっしーさん単体では、今後どんな活動を予定していますか。

『niko and...』(ニコアンド)っていうファッションブランドの方から、「今度野外フェスをやるから、そこにキャンピングカーで個展をやりつつ、切り絵のワークショップみたいなことしてもらえませんか?」と声を掛けていただいたので、今はそこに向けて準備しています。本当に出会いに恵まれているので、今後もチャンスを逃さないように前進していきたいです!

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