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触るな危険! 見た目は真っ赤なクワガタ、〝ヒラズゲンセイ〟に注意
めったに見ることのできないという希少な昆虫「ヒラズゲンセイ」。しかし最近、SNSで「発見した」という投稿を見かけるようになりました。見た目はまるで真っ赤なクワガタですが、クワガタではありません。毒があり、うっかり触ると炎症を起こしてしまうことも……。ヒラズゲンセイの生態や、触ってしまったときの対処法を教えてもらいました。(朝日新聞デジタル企画報道部・小川詩織)
真っ赤なクワガタのような姿をした昆虫「ヒラズゲンセイ」。幻の昆虫ともいわれるほど希少だそうですが、最近、西日本で目撃情報が出てきています。7月上旬には兵庫県朝来市でも発見されました。
ヒラズゲンセイとは一体どんな昆虫なのでしょうか。危険生物対策に詳しい、セルズ環境教育デザイン研究所の所長、西海太介さんに話を聞きました。
ヒラズゲンセイは、主に四国や九州地方といった温暖な地域に生息するといわれています。ただ、近年は関西の一部や、まれに関東でも見つかることがあるそうです。
体長は2〜3㎝で、体は赤く、足やあごは黒というツートーンカラー。活動時期は5月下旬から8月頃です。
西海さんは「見つけられたらラッキーというくらい珍しい昆虫です」と話します。
クマバチの巣に寄生して成長するため、枯れ木や木造家屋の軒先などで見かけることが多いそうです。
真っ赤な見た目で珍しい昆虫のため、見つけるとつい触ってしまいそうになりますが、それは危険です。
ヒラズゲンセイは、つかまれたり、つままれたりするような外からの刺激を受けると、体や足の関節部分からカンタリジンという黄色い体液を出します。
その体液が皮膚に付着すると、水ぶくれになったり、かぶれたりしてやけどのような症状を引き起こします。
皮膚に体液が付いてしまった場合は、なるべく早く流水でしっかりと洗い流しましょう。水がない場合は、ウェットティッシュなどで早めに拭き取るようにするといいということです。
赤くなってヒリヒリする痛みを伴うこともありますが、虫刺され用の市販薬も効果的だといいます。症状がひどい場合は病院を受診したほうがいいでしょう。
もし、ヒラズゲンセイが体や服にくっついた場合は、つぶしたりしないように息で吹き飛ばすか、そっと振り払ってあげましょう。
西海さんは「体液をかけられても命に関わるほどではないですが、見つけたときは遠くから観察する程度にしましょう」と話しています。
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