ネットの話題
ミズノと町工場がコラボ 野球バットの不適合材がフライパン持ち手に
「SWING PAN」の誕生の経緯を取材しました。
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「SWING PAN」の誕生の経緯を取材しました。
違う業界とコラボすることで新たな知見が得られるのではないか――。そんな思いでスポーツ用品を手がけるミズノの担当者が声をかけたのは、大阪の町工場でした。野球用バットの不適合材を活用したフライパン「SWING PAN」の誕生の経緯を取材しました。
ミズノのグローバルイクイップメントプロダクト部先行開発課に所属する橋口友洋さん。
野球用のバットやグラブ、ゴルフクラブといったスポーツ用具を手がけており、かつてバドミントンのラケット開発に携わった経験も。
プロ選手の要望を聞いて用具に反映したり、新たな技術を導入したりしてきました。
そんな橋口さんがコラボを打診したのが、大阪府八尾市にある藤田金属。
持ち手が取り外せて、皿を使わずそのままフライパンで食べられる「フライパンジュウ」などが人気の会社です。
「はじめからフライパンを作るつもりでお声がけしたわけではないんです」と橋口さん。
違う業種の会社とコラボすることで新たな知見を得たり、アイデアのきっかけになったりするのではないか。
キッチン用品の中でもフライパンは使えば使うほどなじんでくるものなので、スポーツ用品と共通点があるかもしれない。
そんな思いから、具体的なアイデアがないまま、藤田金属の社長・藤田盛一郎さんに会いに行ったといいます。
藤田金属は過去にアウトドアブランドとコラボ商品を手がけたことがありますが、スポーツ用品メーカーとのコラボは初。
藤田さんから「何もできないですよ」と言われましたが、雑談をするうちに野球用バットの不適合材の話題に。
すると藤田さんが「バットもフライパンも『振る』という共通点があるから、フライパンの持ち手に使ったら面白いんじゃないか」と言い出したそうです。
バットは木材を1ミリ単位で削りながら製造しますが、木の節が出てきたものは折れやすいため商品化できません。
そんな不適合材を活用してフライパンの持ち手にした商品が「SWING PAN」です。
フライパンの持ち手はストレートな形状が多い中、あえてバットの形をそのまま生かすことに。
実際に作ってみると、フライパンを振った際にグリップエンドがあることで使いやすいという発見があったといいます。
また、バット用だけあってしっかり乾燥された状態なので、通常の持ち手よりも硬くて丈夫。
肌触りも良く、経年変化を楽しめて、不適合材の活用にもなるというメリットもあります。
6月中旬に発売するとすぐに話題となり、7月出荷予定分も含めて200個ほどが売れました。
不適合材が入り次第、追加生産の予定で、藤田金属のホームページやツイッター、インスタグラムなどで告知するそうです。
今回のコラボを通じて、商品化までのスピードの早さやアイデアの出し方など学ぶことが多かったという橋口さん。
販売が好調なことについては、こう話します。
「体になじむようにと職人が削ったバットが、使うほどになじむフライパンに生まれ変わった。そんなところが響いたのであればうれしいです」
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