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学童入れたけど…「小1の壁」後のリアルな悩み「習い事させたいが」

子どもが小学校に入る際、子育て世帯が直面するのが「小1の壁」です。預け先が確保できず、働き方の変更を迫られたり、離職を余儀なくされたりする人もいて、大きなハードルとなっています(画像はイメージです)
子どもが小学校に入る際、子育て世帯が直面するのが「小1の壁」です。預け先が確保できず、働き方の変更を迫られたり、離職を余儀なくされたりする人もいて、大きなハードルとなっています(画像はイメージです) 出典: Getty Images

目次

子どもが小学校に入る際、子育て世帯が直面するのが「小1の壁」です。預け先が確保できず、働き方の変更を迫られたり、離職を余儀なくされたりする人もいて、大きなハードルとなっています。一方で、とある企業で開催された「小1の壁セミナー」を通じては、「壁」の先にあるリアルな悩みが共有されました。

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預け先の不足

「小1の壁」の大きな原因は、預け先不足です。

共働き家庭などの小学生が放課後を過ごす学童保育(放課後児童クラブ)は、登録者数の増加もあって、待機中の児童が小学生全体で約1万5千人います。うち2千人超が小1の児童です。

登下校の対応も課題です。

午前7時台から子どもを預ける家庭も少なくありませんが、小学校によっては登校時間が「午前8時以降」などと定められています。また、学童保育の場合、午後6時半を超えて開いているのは約6割です。

預け先がない場合、それまで朝から夜まで保育園に預けていた家庭にとっては、下校した後の対応を迫られます。保育園に比べて預かり時間が短くなれば、登下校の対応のため、働く時間の変更を迫られます。

こうしたことが「壁」となっています。

保育園に比べて預かり時間が短くなれば、登下校の対応のため、働く時間の変更を迫られます
保育園に比べて預かり時間が短くなれば、登下校の対応のため、働く時間の変更を迫られます 出典: Getty Images

「小1の壁セミナー」

明治安田生命保険では3月、社内向けに「小1の壁セミナー」をオンラインで開きました。未就学児の子どもを持つ社員約50人が参加しました。

小学生の子どもがいる社員の実情を聞く一方、参加者から寄せられた声を共有し、ケースによっては対処法を議論しました。

「会社として、社員にはキャリアを諦めることなく長く働いてほしいです。そのために、社員の不安を払拭する場を設けたいと思いました」

セミナーを企画した人事部ダイバーシティ推進室(当時)の浅井祐香里さんは、ねらいについてそう話します。実際に、人事部員にも両立に悩む声が寄せられていたそうです。

浅井祐香里さん=明治安田生命保険提供
浅井祐香里さん=明治安田生命保険提供

子どもの登下校に悩む

セミナーが開かれた3月時点では、4月からの学童利用の可否は、すでに明らかになっています。そのため、セミナーでは、預け先を確保した後の、さらに具体的な悩みが共有されました。

最も多かったのが、登下校の悩みだったそうです。

小学1年生と言えば、6歳~7歳です。学校から自宅への登下校中や、学校から習い事への移動中、交通事故はもちろん、事件に巻き込まれないか、不安に思う親は少なくありません。実際に登下校中の事故や、不審者による声掛け事案などは後を絶ちません。

セミナーに参加した運用企画部の藤澤奈々さん(38)も、登下校に関して悩みがありました。

学校から自宅への登下校中や、学校から習い事への移動中、交通事故はもちろん、事件に巻き込まれないか、不安に思う親は少なくありません(画像はイメージです)
学校から自宅への登下校中や、学校から習い事への移動中、交通事故はもちろん、事件に巻き込まれないか、不安に思う親は少なくありません(画像はイメージです) 出典: Getty Images

習い事をさせたいが

藤澤さんは、新1年生と、年長さん、2人の子どもの母親です。

「学童には無事に入ることができ、一安心しています。ただ、別の送迎に頭を悩ませています。朝と夜の送迎だけなら、保育園の時と同じでように婦でやりくりできるのですが……」

「(新1年生の)上の子がサッカーを習いたいと言っています。土日は休ませたいので平日がよいと思っていますが、送迎が課題です。ご家庭の考えによるのかもしれませんが、やはり1人歩きは心配です」

習い事があるのは、放課後。藤澤さん夫妻の就業時間中です。

「よほどのことがなければ、仕事が優先です。毎回の送りは難しいのが現状です」と話します。

夫妻で相談した結果、現時点では、夫妻の両親に送迎をお願いする、公的なサポート制度を使って送迎してもらう――などの対応を検討しています。

藤澤さんと2人の子ども=藤澤さん提供
藤澤さんと2人の子ども=藤澤さん提供

もう小学生だから

一般的には、実際に子どもだけで下校したり、移動したりする場合もあります。明治安田生命保険のセミナーでは、こうした場合への備えとして、「入学前に親子で登下校の練習をした」などの実践例が紹介されたそうです。

参加者の悩みは、登下校にとどまりませんでした。

「4月は、給食開始前まではお弁当。だいぶ前から作り置きを始めた」
「家事の効率化は必須。洗濯機の乾燥機能は、時間の捻出に役立った」

セミナーでは、個別具体的な悩みに対して、どう取り組んでいるか、社員同士の実践例が共有されたそうです。

セミナーに参加した感想を藤澤さんに聞くと、こんな答えがかえってきました。

「一般的には、未就学児に比べると、『もう小学生だから』という見方もあると思いますが、セミナー開催は、会社から目を向けてもらえるんだという安心感につながりました」

小学生といっても、さまざまなフォローが必要です。一方で、未就学児に比べるとバックアップ態勢が弱まりがちです。例えば、時短勤務が可能な範囲は、企業ごとに異なり、「小学校入学前まで」というルールも目立ちます。

藤澤さんは、こうした状況を踏まえた上で、「小1の壁」や、その後に目を向けた会社の姿勢に好感を持ったのです。

そうしてこう続けます。「一口に『小1の壁』と言っても、ご家庭の状況は違います。それでも、周囲に悩みながらもがんばっている人たちがいることを知り、勇気づけられました」

会社側も、社員間の努力に任せるのではなく、職場全体で働きやすい環境を作ろうと、管理職向けの研修も実施しています。昨年度は、管理職向けに「ワーク・ライフ・マネジメント ハンドブック」を作成し、研修を実施しました。

取材を終えて

筆者にも、新1年生の子どもがいます。

放課後の預け先探しを始めたのは昨年の秋。無事に決まって安心したものの、4月になった今は、新しい環境になじめるのだろうか、と気をもんでいます。子どもと適切な距離を保つことはもちろん大切と分かっていても、学校生活、勉強、友人関係と、今後もハラハラしてしまいそうです。

ただ、外から見れば、これらは些末なことに見えるのだろうな、と思い、口に出しづらいこともあります。

私も子どもの登下校は心配の種です。今回の取材で、同じような親御さんがいらしたと聞いて、それだけで励まされた思いがしました。

もう1点、取材をしながら、「小1の壁」はあくまで入り口の話であって、壁の後にもトラブルは発生し、でこぼこ道が続いていくのだと、あらためて思いました。当たり前のことですが、子どもが赤ちゃんだった頃、「小学生」と聞くとずいぶん大人に捉えていた自分を反省しています。こうした認識が、どこかで「もう小学生。あまり手がかからないのでは」という視線を向けてしまったのだと思うのです。

今回セミナーを企画した浅井さんは、小学校入学を「親子のマインドセットの機会と捉えてみてはいかがでしょうか」とも話していました。今まで親が手伝っていたことも「1人でできること」に切り替えていくことで、親自身の働き方のギアチェンジにも、子ども自身の自立にもつながるのではないか、という考えです。

当面は親子で仕事と家庭の両立の最適解を見つけつつ、今後に備えたい。そんな思いが募った取材でした。

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