連載
#12 猫と警備員、ほっこり攻防の日々
猫と警備員「たまには遊びに来いよ」 夕涼み、帰り際に見たふれあい
警備員さんの「たまには遊びに来いよ」という言葉に感じたこととは。
美術館に入ろうとする猫と、防ごうとする警備員のやりとりで話題になる尾道市立美術館(広島県)。珍しく夕方の帰り際のやりとりを職員が撮影しました。印象に残ったのは、警備員さんの「たまには遊びに来いよ」という一言でした。
『夕涼み🐈⬛👮♂️evening cool』(20210821)🎨仕事帰りの警備員さん、ケンちゃんのもとへ。#尾道市立美術館 #尾道 #猫 #cat pic.twitter.com/tTcjTGR649
— 尾道市立美術館 (@bijutsu1) August 21, 2021
近くのレストランで飼われている黒猫ケンちゃんが、最初に注目を集めたのは2017年3月。
開催中だった「猫まみれ展」の会場に入ろうとして、警備員・馬屋原定雄さんに阻止される様子がツイッターで紹介されたのがきっかけでした。
その後も「猫と警備員の攻防」としてたびたび話題になっていますが、侵入を試みるのは決まって警備員が馬屋原さんの時ばかり。
馬屋原さんが来るのは特別展の時だけなので、そのたびに美術館職員は攻防戦を期待してカメラを構えています。
尾道市立美術館では7月3日から9月5日まで、特別展「岩合光昭写真展―こねこ」が開催されていました。
期間中、馬屋原さんはほぼ毎日のように出勤していましたが、ケンちゃんとは8月上旬からしばらく会っていませんでした。
前線による大雨が続いて外に出られなかったり、猫の撮影で人気の岩合さんの写真展で人出が多かったりが影響したようです。
そんな中で8月21日の午後5時半ごろ、美術館の前あたりで再会したところを職員が撮影。
閉館後、馬屋原さんと職員が一緒に戸締まりをして回っている時に、外の石の上で寝転がっているケンちゃんを発見しました。
職員が「おっ、ケンちゃんだ」と知らせると、帰りに一緒に行ってみようかとなったそうです。
先に支度をすませた職員がケンちゃんのもとに行くと、まったく警戒するそぶりもなく無反応。
いつもスマホで撮影しているので、「また、この人か」と思われたようです。
しばらくして馬屋原さんが到着。
ケンちゃんは寝っ転がったままですが、しっぽをパタパタと動かしながら喜んでいるように見えます。
馬屋原さんが「どうしょん?」と声をかけて、頭をなでます。
気持ち良さそうな顔を見せながら寝転がったままのケンちゃんに対し、最後にこう声をかけます。
「たまには遊びに来いよ」
『どうしょん⁉︎👮♂️🐈⬛ How have you been?』(20210821夕)🎨久しぶりに見かけたケンちゃんのもとへ!#尾道市立美術館 #尾道 #猫 #cat pic.twitter.com/I27UUw867n
— 尾道市立美術館 (@bijutsu1) August 22, 2021
『たまには遊びに来いよ。👮♂️🐈⬛Drop by sometime. 』(20210821夕)🎨警備員さんから会いに行ったのは初めてかも。。#尾道市立美術館 #尾道 #猫 #cat pic.twitter.com/xJXd8hF0yE
— 尾道市立美術館 (@bijutsu1) August 22, 2021
職員が記憶しているかぎりでは、馬屋原さんの方から会いに行ったのは、この時が初めて。
寄ってくるケンちゃんを可愛がりながらも、警備員としての立場もあってか、自分から進んでふれ合おうとはしてこなかったように見えます。
攻防戦が始まってから、気づけば4年が経ちました。
関係に変化があったことを、「たまには遊びに来いよ」の一言から職員は感じたといいます。
「聞いた時は違和感はなかったんですが、よくよく考えたら珍しい一言なんですよね。時間の流れを感じました」
帰って行く馬屋原さんの背中と、石の上で寝転がり続けるケンちゃんを確認してから帰路についた職員。
夏の終わりは、感慨深い夕暮れ時となりました。
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