連載
#7 眠れぬ夜のレシピ
汚部屋の住人が「生きやすい部屋」を作るまで 眠れぬ夜のレシピ
「クタクタの自分に寄り添って」
心の余裕がなくなってくると、なぜか荒れてくる部屋。もしかしたら、こんな心持ちで掃除をすることで、「クタクタの自分」に寄り添うことができるかもしれません。眠れない夜を過ごす同志の皆様へ。少しでもあたたかい気持ちで夜が過ごせるように。あなたに贈る、真夜中のレシピ。手紙を添えて、お届けします。(漫画・コラム、午後)
こんばんは、午後です。
今回は、部屋の大掃除のやり方についてお話ししました。
私は全てにおいてやりっ放しのクセがひどく、かつてはほとんどの物を床に放置していました。「とりあえず置いた場所」が、その物の永遠の定位置になってしまうのです。どんどん「とりあえず置き」を繰り返して行くうちに、積み重なった物が重量に逆らえずに崩れたり、歩いた時にぶつかってしまったりして、部屋が支離滅裂になって行くシナリオでした。
でも、他人からは無秩序に見えても、自分はどこに何が置いてあるのかを把握しているため、私は長い間、部屋を綺麗にする必要性を感じていませんでした。私が文化的な部屋を維持できるようになるには、長い長い月日がかかりました。
でもある日、「部屋が整理されていないと余計に自分にストレスがかかる」ことに気づき、そこから部屋への向き合い方が変わりました。部屋が荒れる理由が日々の心の余裕が無いからであることには何となく勘づいていたのですが、「更に自分に負荷をかけているのでは!?」と気づいたのです。これにはかなりのショックを受けました。
悔しくなり、それから「自分が過ごしやすい部屋」を研究する日々を送りました。まだまだこれからも試行錯誤を繰り返して行きたいと思っています。
快適な部屋づくりには、漫画内の「③自分の習慣を観察する」考えが最も大切だと思っているのですが、これをもう少し噛み砕くと「自分の無意識の行動に気づくこと」に言い換えることができます。
自分の無意識の行動、主に自分の動線(特に手の動線)を意識して観察し、物の配置や整理の仕方に活かすことがコツです。例えば、
・玄関に入ってすぐに電気をつけるから、スイッチの脇に鍵用フックを付ける
・机の上の消しカスやホコリを手で払うから、机のすぐ脇に机の幅と同じくらいの幅のゴミ箱を置く
・着替えてから化粧をするから、衣類の脇に化粧品ケースを置く
など、日常の中で頻繁に行う動作の「ついで」に片付けが出来るような部屋の構造を考えると、整理がしやすいです。
もし、あなたの周りに片付けがとても苦手な人がいたら、頭ごなしに責めるのではなく、何が難しいのか、何をやりづらいと感じているのかを一緒に考えてあげて欲しいです。 かつての私は、このままではいけないことは分かってはいるものの、なぜ出来ないのか、何につまづいているのかも分からなくて、まるで迷子のような心境でした。その様な状態の中で責められても余計に混乱を招くだけだったので、どうか優しく寄り添っていただけたらと、願っています。
振り返ると、私は「完璧ではないけれど、ほどほどに綺麗な状態」を許せなくて、いつも部屋が「ものすごくきれいな状態」と「ものすごく汚い状態」のどちらかにありました。両極端で、「完璧主義」。生きづらさを感じている人に、この気質は共通しているように思えます。「大ざっぱでも良い」と許すことができるようになるとだいぶ生きやすくなると思うのです。
かつての私のように、どんなに綺麗にしてもすぐに部屋が荒れてしまって困っている全ての人に、私の片付けの方法が届きますように。少しでも手助けになりますように、楽になりますようにと、心から祈っています。
少し長くなってしまいました。最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
それでは、今夜も素敵な夢を見られますように。おやすみなさい。
午後
SNS作家。2020年5月からTwitterに漫画を投稿をしている。今年1月に初の書籍「眠れぬ夜はケーキを焼いて」(KADOKAWA)を出版。Twitterアカウントは@_zengo。
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