連載
#72 コミチ漫画コラボ
「専業主婦は、いつも家にいるんだから…」我慢の限界が思わぬ結果に
「家の仕事」を完全に休めるのは、いつ――?
子どもと夫のため、食事や洗濯・掃除といった日々の家事や雑務に追われていた専業主婦が、急に眠りから覚めなくなって――。SNSでマンガを発信しているemixさんは、家の仕事で多忙だった母が〝冬眠〟するフィクションの作品を描きました。「家族の抱える大変さをお互いに理解しないと、いつか軋轢が生まれてしまう。それに気づいてもらうきっかけになったら」と振り返ります。
――これまで母に任せきりだった家事を、残された夫や子ども2人がやろうと思っても、なかなかうまくいかない姿が描かれます。
母の日に「ありがとう」くらいは言うかもしれませんが、実際にやってみないと大変さって分かりませんよね。
そしてお母さんが一生懸命やっていることが「当たり前」になってしまうと、それにいつも感謝を示して行動するのは難しいです。
幸い自分の夫はマンガに登場する夫とは正反対ですが、ラジオや記事の人生相談を聞いたり読んだりしても、まだまだステレオタイプな家族観は根強く残っていると感じてキャラクターに設定しました。
最初は夫と妻がお互いに好き合って結婚したはず。
けれど、仕事や家事に忙殺されて、相手のいやなところしか見えなくなったり、なぜ家族のために頑張っているのか分からなくなったり――。
目の前のことを必死でやって生活しているから、最初に思っていたことって忘れちゃうんですよね。当時の気持ちを思い出せば、目が覚めるんじゃないかと考えました。
――マンガでは、「家の仕事」を理解しない夫に対して、冬子が「どうせ家の中のことはママゴトだと思ってるんでしょ」と感じているモノローグが印象的でした。
そういう考えの人ってまだいると思うんです。
子どもの学校のPTAでも、あるお母さんが自虐的に「自分は働いていないから……」と言って役員を引き受けようとしていました。
外で働いていないからって暇だとは限りませんし、家事だって仕事ですよね。もちろん役員をやりたいならやればいいと思いますが、誰かのことを引き合いに出さなくてもいいのにと感じました。
「家事や子育てを当たり前にやるのが母親の無償の愛」なんて言われてしまうと、それは違うんじゃないかと思います。
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