2012年、筑濱さんが務めていたイベント制作会社が事業の縮小を決定。かつてバブル崩壊の混乱を経験した筑濱さんでしたが、ここでも職を失うことになりました。
ちょうど妻と続けていた漫画家ユニットの作品「
SHI RI TO RI」(KADOKAWA刊)の書籍化が決まり、筑濱さんはこのタイミングで独立することを決意。しかし、毎月の給料が保証されている環境から離れ、自分の持てる技術で試行錯誤し、生活を組み立てていく……今後の不安はないとは言い切れません。「途方に暮れ、おじさんのたくましさが身にしみてわかりました」と当時の胸の内を明かす筑濱さん。
そんな時、「商店街で漫画描いて、活躍してくれへんか?」と声をかけてくれたのが前述の土居会長でした。筑濱さんは当初「期待に応えられるだろうか」と心配だったといいますが、「街の人たちに受け入れてもらいたい」という思いで、漫画やポスター、イベントなどで商店街を盛り上げてきました。
「声をかけてくださったおかげで、今、元気に生活できています。私も『おじさん』と同じように街の人情に救われました」