マンガ
「あ、もう無理 辞めよう」49歳で退職 最終日の出来事をマンガに
漫画には共感と応援の声が寄せられています
「あ、もう無理 辞めよう」。50歳を目前に、自分のやりたいことに打ち込むため、9年勤めた会社を辞めた男性のエッセイ漫画がツイッターで話題です。人見知りで、必要以上の人間関係を避けていた男性。突然の退社に会社から送別会の話もなく、「これでいいんだ」と思っていた矢先、呼び止められたのは……。投稿には人生の大切な選択をした男性に、共感と応援の声が寄せられています。
例えば、70歳まで生きられると仮定したとき、残りは21年。その間に「事故にも遭わず」「健康な状態で」やりたいことをやれる時間を考えると、危機感を募らせるあまいろさん。そんなとき、仕事で上司に叱責されます。
「申し訳ありません ですが我々も…」と言った途端、「口答えするな!」と一蹴されてしまいます。「あ、もう無理 辞めよう」ーー。これが決定打となり、あまいろさんは退職を決意。
9年間勤めたものの、突然の退職に会社から送別会の話はありませんでした。もともと人見知りで、周囲とコミュニケーションをとってこなかったと振り返り、「形だけの送別会をされるのはつらい」「これでいいんだ」と自分に言い聞かせていました。
そんなとき、自分の名を呼ぶ声に振り返ると、4人の同僚が立っていました。「この後私たちだけでお食事しませんか」
5人での送別会は楽しく過ぎ、最後には4人で出し合ったお金が餞別として渡されました。
「なんでここまでしてくれるんだろう そんな親しかったわけでもないのに」
そう思うと、気持ちがこみ上げてきました。同僚に「ありがとうございます」と頭を深く深く下げるあまいろさん。家で渡されたお金を眺めながら、「宝物としてとっておこう」と決めます。
「はー49歳で無職か しかも漫画家を目指すって……」とつぶやくその顔は、不敵な笑みを浮かべています。「ふふふ マンガのような人生だ」
あまいろさんの投稿には「背中を押された」「勇気をもらった」というコメントや、応援の声が集まり、5千回以上リツイートされ、いいねも2.6万件以上されています。
会社辞めてみました① pic.twitter.com/PKCY6zUePA
— あまいろ 漫画家 (@tentijin11) March 28, 2020
「人生の折り返し地点を過ぎたあたりから残りの時間を考えるようになった」と振り返るのは、作者のあまいろさん。本格的に漫画を描き始めたのも、40歳を過ぎてからでした。
勤めていた会社に対しては、給与などを含め「特に不満はなかった」といいます。しかし、作中にも出てくる上司とは最後までそりが合いませんでした。実は、同僚も同じ思いだったようで、作中の送別会でも「あの上司の悪口をみんなで言い合って楽しかったです」。
今回「会社辞めてみました」の漫画を描こうと思ったのは、退職の出来事を書いたnoteの反響が大きかったから。会社を辞めたことについては「もちろん将来の不安はありますが意識して考えないようにしています」。
「想像の未来に怯えていてもしょうがないので。会社を辞めたことについては正しい選択だった、よく決断した、と自分を褒めてやりたいです」
4~5年前、「何か有意義なことをしたい」という考えで始めた漫画も、今では「一生描き続けていきたい」というほど、情熱の火が燃えています。
「人生に正解なんてない。陳腐な言葉ですが、これはそのとおりだと思います。私の選択が正解か否かなんて誰にもわかりません。大事なのは自分が納得しているかどうか、だと思います。こんな私ですが応援よろしくお願い致します」
<あまいろ>
漫画家。クスッと笑えるほっこりする作品を中心に、Twitterや漫画家コミュニティ「コミチ」などで漫画を発信。withnewsにて漫画「すべてを肯定してくれる彼氏」を連載中。Twitterアカウントは@tentijin11。
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