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なぜ売ったの?古本屋で漫画家が一言「悲しみ」描いたイラストに賛否

漫画家の身に起きた出来事が、議論の的に

古本屋で自分の作品を見つけた漫画家。単行本を開き目にしたものとは……
古本屋で自分の作品を見つけた漫画家。単行本を開き目にしたものとは…… 出典: コハラモトシさんのツイッター(@kohara_motoshi)

目次

立ち寄った古本屋で、たまたま見つけた自分の漫画。その中に描かれていたのは……。漫画家の実体験に基づくイラストが、ツイッター上で話題になっています。「これまでで最も衝撃的な体験でした」。なぜなら、特別な一冊だったから。賛否両論を巻き起こした内容について、作者に話を聞きました。(withnews編集部・神戸郁人)

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単行本に残された文字と絵

「漫画家になって一番ショックを受けた話」と名付けられた4ページのイラストは、1月23日にツイートされました。
「漫画家になって一番ショックを受けた話」
「漫画家になって一番ショックを受けた話」 出典: コハラモトシさんのツイッター(@kohara_motoshi)

「え!?」声に出かねないほどの衝撃

イラストが投稿されると、「きつ過ぎる体験」「私が代わりに買い取りたい」といった感想が寄せられました。29日時点で1万3千回以上リツイートされ、「いいね」は2万9千を超えています。

作者は愛知県に住むコハラモトシさん(@kohara_motoshi)です。全2巻の代表作『死神見習!オツカレちゃん』(竹書房)のほか、リスとイヌが主人公の『アニワル』(KADOKAWA)が1巻まで発売されています。

イラストの下敷きになっているのは実話です。コハラさんは昨年末、描き進めていた作品の展開に関するアイデアを得ようと、同県の古書店を訪れました。その場で偶然、『オツカレちゃん』のサイン入り単行本が売られているのに気付いたといいます。

「見つけたときは本当にびっくりしました。『え!?』と声に出ていたかもしれません」。サインの転売については同業者から聞いており、珍しいことではないと理解していました。ただ自分の身に起こってみると、予想外にショックを受けたそうです。

サインを書くときは、必ずイラストとメッセージを添えているというコハラさん。「まだデビューから間もないこともあり、サイン一つ一つへの思い入れが、人一倍強いのかもしれません」

別の作家に同じ目にあって欲しくはない。時間が経つほど、悲しみとともに、そんな気持ちが膨らんできたそう。募った思いに動かされ、「犯人捜し」のストーリーにならないよう意識しながら、ペンを走らせたといいます。

「悲しいときは悲しむ」でいい

一方、ツイートには共感の声のみならず、少なくない批判も寄せられました。

特に反響が大きかったのが、「お願い」とつづられたラストシーン。この場面について「勝手に作家を代表しないで」「売却という判断も読み手の自由」といったコメントが連なったのです。

「価値観や考え方に、”絶対の正解”は存在しません。どの意見にも、理解できる部分がありました。本を売った相手の事情を踏まえず、”エゴ”の感情だけで漫画を投稿してしまった。今は反省しています」

このような心情は、自らのnoteにもしたためました。

しかし「悲しいときに悲しいと感じる」こと自体、決して否定できない。一連の出来事から、コハラさんはそう考えたそうです。そして、次のように語りました。

「漫画を創作する以上、全ての方々に共感してもらうのは不可能です。かといって、『一人でも傷つける作品はだめ』となれば、誰も描けなくなってしまうのではないでしょうか」

「意見の対立は正常なこと。でも、人が抱いた感情まで否定してしまうのは、やはり違う。だからこそ今回の経験を生かし、『読者の皆さんを元気にする』物語を作っていければと思っています」

イラストを掲載したツイートはこちら

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