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#18 どうぶつ同好会
「流しカワウソ」大好評です 動物園からの暑中見舞い、動画が話題に
半円状のパイプの中を滑ってくるコツメカワウソを映した動画が、ツイッター上で注目を集めています。
半円状のパイプの中を滑ってくるコツメカワウソを映した動画が、ツイッター上で注目を集めています。流しそうめんならぬ「流しカワウソ」と名付けられたユニークな展示について、市川市動植物園(千葉県市川市)の発案者に話を聞きました。
暑中お見舞い申し上げます。
— 市川市動植物園(公式) (@ichikawa_zoo) July 31, 2019
ほんの少し、清涼感を感じていただけたら。#市川市動植物園 #カワウソ #流しカワウソ pic.twitter.com/Is6YUjNWZQ
先月31日、市川市動植物園のツイッターアカウントがこんなつぶやきを投稿しました。
「暑中お見舞い申し上げます。ほんの少し、清涼感を感じていただけたら」
添付されている18秒の動画に映っているのは、コツメカワウソのナオ(8歳、オス)です。
半円状に切ってつないだ塩化ビニールパイプの遊具に飛び込んで、流れる水の中を滑るようにして進みます。
端まで到着すると、器用に後ろ脚だけで立ち上がって鳴き声を披露。
「かわいい~」という声をかけられると、水に飛び込んで、来た道を戻っていきます。
この動画に対して「一緒に泳ぎたい」「これ見ると少し涼しくなる」といったコメントが寄せられ、リツイートは2千、いいねは6千を超えています。
「流しカワウソは2012年夏に始めて、夏場だけでなく年間通してご覧いただけます」と話すのは、設置当時にカワウソの飼育係だった水品繁和さん。
開園25周年だった2012年、カナダカワウソがいなくなったスペースをコツメカワウソ用に拡張するにあたって、「何かこれまでと違う展示にしよう」と考えたそうです。
そこで思い出したのが、2006年の大雪の際にカナダカワウソが雪の上を腹ばいになって滑る様子でした。
水を流せばコツメカワウソも滑ってくれるのではないか。そう思って排水管用の塩化ビニールパイプで試作してもらうことに。
いきなりコンクリート製を作ると「使ってくれなかった時に無駄になってしまう」と考えたそうです。
「コツメカワウソは川や水路などの狭い場所で、小魚やカニなどを食べて生きています。この展示は野生環境に近いのでエネルギー発散になりますし、見る人にも楽しんでいただけています」と水品さん。
設置から1年たった2013年、新聞やウェブメディアで取り上げられると一躍全国区に。それまで何となく呼んでいた「流しカワウソ」という表現が定着したそうです。
流しカワウソの展示に登場するのはナオだけで、エサの前は活発に流れてくれますが、食後はおとなしくなる傾向があるそうです。
投稿が話題になったことについて、水品さんはこう話します。
「個人でカワウソを飼おうと考える方もいらっしゃいますが、飼育環境を整えるのは難しいと思います。カワウソに会いたくなったら、ぜひ市川市動植物園へお越し下さい」
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