IT・科学
「3カ月で彼氏つくる!」マッチングアプリで挑んだ31歳が見た現実
「マッチングアプリ」は、出会いの一つの形として定着しつつあります。一方で、新しいサービスだけに、利用者が何らかのトラブルを経験しているのも事実です。「3カ月で彼氏つくる!」と思い立ちマッチングアプリを使い出した31歳の女性は、最初、プロフィール写真と実際の人物との違いにショックを受けたそうです。プロフィール写真を加工している人の率、平均利用期間、最も多いトラブル……。マッチングアプリの現実を、女性の経験談とデータから紐解きます。(MMD研究所・森路子)
――「アラサー」になってどんな変化が?
「趣味のカメラを通じて、たくさん友達ができました。22歳から7年間、おひとりさまでした。29歳になったら周りが結婚しはじめて……遊んでくれる友達がどんどんいなくなったんです。35歳、40歳になったときに恋愛をサボっていたツケが回ってくるんじゃないかって、急に、漠然と不安に思って、それからガツガツと婚活しました」
――具体的には?
「29歳の10月に目標を立てたんです。『年内に彼氏作る!』って。3ヶ月しかなかったので、すぐに知り合うことのできる婚活パーティーとか、相席居酒屋や相席ラウンジに行っていました。婚活パーティーは5人くらいの規模だと人の顔が一致したんですけど、10人以上だとさっぱりわからない。相席居酒屋や相席ラウンジでは、出会うのは軽い気持ちの人ばかり。これはうまくいかないなぁと思って、マッチングアプリを始めたんです」
――マッチングアプリを使ってみてどうでしたか?
「まず3人の男性とお会いしました。1人目は新宿で会社帰りに、平日20時くらいに待ち合わせをしました。お店の予約をどちらもしてなかったんですが、探すのが私ばかりで。『お前も探せよ!』ってすっごく思いました。それで、私が電話して予約したんですけど、お店に入っても自分の話ばっかり。自分勝手だなって。しかも、その人、写真と実物が違ったんです! アプリでは格好よかったのに、別人が来た!!」
――結果は?
「当然、うまくいきませんでした。写真もそうだけど、段取りの悪さや自分勝手なところも無理でした」
――2人目は?
「2人目に会った人は、一番、最悪な思い出で……。メッセージをやり取りして、美術展に行くことになったんです。初対面だと緊張するし、話題も作れる場所にした方がいいって、1人目に会ったときに学んだんです。土曜日の昼にしました。夜は予定あると言って逃げれるし。待ち合わせ場所で待ってたんですけど、私は32歳の男性を待っていたのに、どんどん近づいてくるんですよ、50歳は超えてそうな白髪の男性が。『ええーーーっ!?』て、心の中で叫びました。私が待っていたのは、32歳の黒髪の男性だったんです。これは写真を盛っているどころじゃない、詐欺ですよ!」
――アプリの登録年齢をごまかしていた?
「若い時の写真を登録してたみたい……。私はおじさんも好きなので40歳でも全然いいんですけど、年齢詐称は無理です。すぐ解散しました。別れる前に年齢を聞いたら『ごめんね、40歳なんだ』と謝られました。年齢詐称しないとマッチングできないからって言ってたんですけど、たぶん、40歳も嘘だと思う……」
――3人目は?
「3人目は、カメラが趣味の同い年の男性で、一緒に写真を撮りに行ってきました。嫌な人でもないし、楽しかったです。その人は理系男子っていうか、好きなことに一直線で、独特の雰囲気でした。印象は良かったんですけど、どうしても異性として見ることができなくて…。1回目のお礼メッセージには返信したけど、2回目のお誘いには返信せず、さりげなく終わらせました」
――マッチングアプリが合っていなかった?
「それで、フェイスブック認証のアプリに変えました。絶対に年齢詐称がないでしょう(笑)。相手から『いいね』をされたら、写真を見たり、自己紹介文を見て、悪くないと思ったら『いいね』を返してました。だから、マッチングはかなりしたけど、連絡が面倒になると切っちゃう。ネットの情報や友達の話だと、長期でずっとやっているとマッチング成功率が下がるらしいんです。だから、短期で『いいね』が来やすいうちに終わらせたかった」
――短期決戦のためにしたことは?
「写真を変えたり自己紹介文を変えたりすると『いいね』が来るのが多くなりました。そのアプリは人気の同性会員のプロフィールを見れるんですよ。だから、そのプロフィールをすっごく見て、まねして、工夫しました。それでわかったんですけど、写真は絶対に何枚かあった方がいいです。写りのいい写真と、全身写真と、横顔とか、いろいろな側面の自分を出したほうがいいですね。趣味の写真もあったほうが、マッチングの精度が上がります。自己紹介文も、だらだら書くよりは短く書いているほうが、反応が良かったです。そうやって色々と工夫しているときに『いいね』が来たのが4人目に出会った人です」
――4人目の彼はどうでしたか?
「ふふふ…(指輪を見せてくれるひろ子さん)。彼とは、おととしの12月16日が初デートでした。ドラえもん展に誘われたんです。その帰り道で、クリスマスイブの予定を聞かれました。予定は入っていないと言ったら、デートに誘われたんです。そのデートの終わりに告白されて、好きかどうかまだわからないまま、付き合ったんです」
――それじゃあ、「彼氏を3か月以内に作る」という目標は?
「はい、達成です! ぎりぎりだったので諦めかけてたんですけど」
――告白をOKする決め手はあったんですか?
「決め手はあります。別人が来なかったこと。本当にそれが大事です! 今まで会った3人は、程度の差はありますが、全員、写真とまったくの別人だったんです。別にイケメンが好きとかじゃなくて、自分を詐称しているのが嫌ですね。だから、彼に会ったときは『ついに写真と同一人物が来た!』ってうれしかった(笑)」
―今はその彼と婚約していらっしゃるんですよね。
「彼も婚活目的でマッチングアプリをやっていたんです。アプリの自己紹介にも結婚の意思があると2人とも書いていて、結構、早めにそういう話をしましたね。彼は私の前にマッチングアプリで出会って付き合った女性が1人いたらしいんですけど、結婚の意思がなかったから別れたみたい。マッチングアプリは付き合った後に、2人で同時に退会しました。この人でいいのかなって最初は思ってたから、退会した後も合コンとかは行っていました。でも、付き合ううちに大丈夫かなって思って、そういう場にも行かなくなりましたね」
――両親に、マッチングアプリを利用して出会ったことは伝えていますか?
「両親には出会ったきっかけを言っていないんです……。聞かれなかったから、というのもありますが、どう言えばいいのかなって考えてます。私の周りはマッチングアプリで出会った友達が多かったから抵抗がなかったんですけど、親世代は抵抗あるのかなって思います。うそをつく方が面倒くさいし、聞かれたら答えますが……。母親は、そんなに抵抗ないかもしれないけど、父親は抵抗あると思うんですよね。父親は私のことをかわいがっていたから、マッチングアプリで出会ったというと心配されそうで、少し言いづらいです」
――3ヶ月で成功した秘訣は?
「友達にマッチングアプリを使ってる人は多いけど、実際に付き合ってる人は少ないですね。正直、運も大きいと思いますが、最初のうちに自分の好みを把握すること、目的や期間を決めること、本気でやること、でしょうか。マッチングアプリを使ってるけどうまくいっていない人は、自分が好きな人を好きになれない人が多いかもしれないです。『いい人がいたら』くらいの受け身でやってたり、片手間でやっていたりすると、難しいかもしれません」
――やっぱり写真は重要?
「最初は写真や自己紹介で選ぶしかないし、重要だと思うんですが、そこで絞り込みすぎずに『あり』の人を広めに取っていくことが大事です。色んな人と会って、自分の好みを把握することが大事。やっぱり、メッセージよりも会った時の印象って大きいと思うんです。メッセージのやり取りを長くするより、サクッと会うほうが早いと思います。年収や職業、出身地などの項目も、もちろん大事です。でも、その人を信用できるかどうかは2回、3回と会わなくてはわからない」
――信用できるかどうか、見抜く術はありますか?
「正直、マッチングアプリ上では見抜けないと思います。私が経験した、ちょっとおかしいなって思った人は、返信をしていないのに何通もメッセージを送ってくる人。何の反応もないのに一方的にメッセージを送ってくるって、ちょっとおかしいなって。結局、見抜く術はないから、会う時の自衛が大事だと思います。たとえば、いきなり個室で会うとか、ドライブデートなんて、危険です。そういうところで気をつけていかないと。実は、今の人にも『こんなにいい人がいるのか? 結婚詐欺では?』と少し疑いながら、付き合っていました。もちろん、今は、本当に出会えてよかったと思っています」
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