連載
#13 あなたの知らないトイレ
和式トイレの年間出荷、全体の0.7% それでも全て洋式にならない理由
公共トイレの和式って使いますか。私は使いません。
便器周りが汚いし、しゃがむ動作が大変だし。洋式化が進んでいるはずなのに、1つだけ和式が残っている所もあって理由がわかりません。
なぜなのかTOTOに聞きました。
東京広報グループの岩崎愛さんによると、「家では洋式でも外では和式派という方はいらっしゃるそうです」。
和式を選ぶ大きな理由の一つとして、不特定多数の人が座った便器に触れるのが嫌、という人がいるそうです。
和式派の数はわかりませんが、TOTOの和式の出荷数は、2015年は0.7%。1%を切っています。かなり少数であるものの、まだ需要があることに驚きです。
TOTOでは洋式化を薦めています。理由の一つとして、和式はユニバーサルデザインではないことがあります。
和式はしゃがまなければならず、車いすの人や、足腰が強くない高齢の人などには適していません。
もう一つが衛生面。
TOTOの調査によると、便器の周りの床のアンモニア付着量が、和式だと洋式の10倍以上ありました。アンモニアは尿による臭い成分です。
「和式便器は、排泄時、便器までに壁がなく、距離があるため、尿や便が便器外に飛散しやすいことが考えられます」と岩崎さん。
そして、和式でよく見かける床に水をまく清掃法。私も小学生のころ、ホースで水をまいてホーミングをふりまいて、デッキブラシで磨いたものです。
この水が菌を増やすのだそうです。菌は水分があると繁殖します。
TOTOが調べたところ、水をまく清掃方法の和式と、ぞうきんやモップなど水をまかない清掃方法の洋式を比べると、菌の数に大きな違いが出たそうです。
和式の便器周辺の大腸菌の数が、洋式の160倍以上もありました。
それでも和式派はゼロにはなりません。
なぜならトイレの使い方は好みの問題だからです。
和式派と洋式派、両方が納得するハイブリッドなトイレが出現しないかと聞いてみましたが、残念ながら今のところないそうです。
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