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思い出を失った妻、最後のページには続きが… 『二人だけの朗読会』
老夫婦を描いた漫画『二人だけの朗読会』。作者が込めた思いとは?
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老夫婦を描いた漫画『二人だけの朗読会』。作者が込めた思いとは?
認知症でほとんどの記憶をなくしてしまった妻。かつての約束通り、妻が大好きだった本を読み聞かせる夫。最後のページをめくり終えると、思わぬ結末が――。そんなストーリーの漫画が、ネット上で注目を集めています。作者に話を聞きました。
今月7日にツイッター投稿された漫画『二人だけの朗読会』。2回に分けて全8ページが公開されています。
この漫画に対して、「最後の最後でまんまとやられたわ」「びっくりするくらい泣いてしまいました」といったコメントが寄せられています。
作者は、イラストレーターの「羊の目。」(@odorukodomo8910)さんです。描いたきっかけについて尋ねると、こんな答えが返ってきました。
「まずは『二人だけの朗読会』というタイトルが思い浮かんだんです。悲しいだけの話で終わらせるのではなく、最後は何かを持ってきたかったので、まずラストシーンから決めました」
子どものころ、紙芝居や絵本の朗読会のたびに「もうすぐ終わりか。さみしいな」と感じていた経験と、認知症で大切な記憶がなくなっていくというテーマをリンクさせて描くことにしました。
2回に分けて投稿されたこの作品。ラストシーンを読み終えた後に最初のコマに戻ると、また違った感覚で読むことができます。
「無限ループ的に話がつながる要素を入れてみました。このことに気づいてくださった方がいたのが、うれしかったです」
描く上で一番苦労したのは、妻が「まだ続きがありませんか……?」と話すシーンだったといいます。
「続きがあることに気づくきっかけをどう描くか。予定調和的ですが、かすかな記憶をもとに妻が呼びかけるのがいいかなと思い、そうしました」
これまで定期的にツイッターに漫画を投稿する中で、作中に登場する料理を実際に作ったという読者や、4コマ漫画をプリクラで再現した人もいるそうです。
「描く上で、とても励みになっています。今回の漫画も、2回に分けたにもかかわらず最後まで呼んでいただいた方が多く、うれしかったです。ほのぼのしたギャグっぽいものも多いですが、ときどき今回のようなものも描きます。こっちにも付き合っていただけるとありがたいです」
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