IT・科学
AI自撮り修正で超インスタ映え アジア1位のスマホ企業が日本上陸
アジア1位、世界4位のスマートフォンシェアを誇る中国企業「OPPO」(オッポ)が日本市場に参入し、2月9日からビックカメラやヨドバシカメラで参入第1弾機種「R11s」(アールイレブンエス。税別5万7980円)の発売を始めます。通信事業者を選ばずに使えるSIMフリースマホ。日本での絶対王者iPhoneの半額程度ではありますが、どこまでやれるのか。日本法人の鄧宇辰・代表取締役に聞くと、武器は人工知能(AI)で美顔効果をかけられるカメラ機能にあるそうです。
調査会社のMM総研によると、2017年度上半期のスマホの国内出荷シェアで、アップルは2位のソニーモバイルコミュニケーションズ(11.9%)を大きく引き離す44.2%を占めています。
会社設立が04年で、11年にスマホ市場に参入。アジア、アフリカ、オセアニアなどを中心に世界約30カ国・地域に展開し、急成長を遂げるオッポですが、鄧氏は「(韓国のサムスン、米国のアップル、中国のファーウェイ)の3大スマホメーカーの中で、日本で独自の店舗を持っているのはアップルだけ。そこに対抗することはなかなか難しく、当社は他のメーカーと一緒に日本市場を多様化させて、活性化させることを考えています」と控えめに話します。
その中で5分間の充電で2時間の通話が可能となる「VOOCフラッシュチャージ」という高速充電技術とともに自信を見せるのが、自らの商品を「カメラフォン」と標榜するカメラ機能です。
外側は、暗い時に強い2千万画素と明るい時に強い1600万画素の「2レンズ・デュアルアウトカメラ」を装備。この二つのレンズで被写体の距離を計り、背景に自然な「ボケ味」を作れるとのことです。
そして主に自撮り用となる内側の2千万画素のカメラには「A.I.ビューティーセンサー」機能を搭載。顔の特徴を性別、年齢、肌のきめや色、表情、肌の状態など様々な要素から分析し、それぞれのユーザーごとに適正な補正をしてくれる、とのことです。
こうしたカメラ機能の技術の高さが、各国の若年層の支持につながっていると言われますが、鄧氏は「我々には、ユーザーが気軽にいつでもどこでもきれいな写真を撮影できるように、という理念があります。ソーシャルメディアの発達、中でもインスタグラムが非常に多く使われる中、消費者が個人なり集団なりの写真を撮影してシェアする、という傾向も増していますが、当社はこれからも常にカメラを技術の中心に据え続けていくと思います」と語ります。
「美顔効果をかけた写真をソーシャルメディアに上げていた人と実際に会ってみたら、現実と違っていてがっかりされるようなことがあるのではないか」と尋ねると、「当初は『豹変』と言って良いくらいだったかもしれませんが、今の機能では微修正程度です。でも、写真を撮れば撮るほど、深層学習という手法できれいに写ります」と笑いました。
中国や東南アジアでは、広告用の看板を大量に掲出する手法で知名度を上げてきたオッポ。日本では違う手法を使うようです。
鄧氏は具体的な手法はまだ企業秘密としながらも、「我々のリサーチでは、日本の消費者は理知的で、美への追求も他の市場より非常に高いです。なので、ただ商品を見せるという展示型のマーケティングよりも、例えば、旅行先できれいな写真が撮れるというような体験型のマーケティングに注力していきたいと思っています」と話しています。
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクとの国内3大キャリアとも既に接触しており、商談ベースに入っているところもあるそうです。「第4のキャリア」となることを狙う楽天についても「我々の商品のクオリティーと良さは、必ず楽天さんの戦略の力になっていくと思います」と意欲を見せます。
日本での販売目標については「今のところ持っていない」とのこと。ただ単に売り上げ目標や市場シェアを追求するつもりはなく、現段階では日本の消費者やキャリアなどとのコミュニケーションを密にし、今後の適切な戦略を練っていく構えのようです。日本の消費者は防水機能やスマホをタッチすることでお金が支払える機能などを重視する点に触れつつ、「インフラの部分をちゃんと整えれば、市場のシェアも自然に上がっていくと思う。5年の間に、我々がグローバルで占める位置と同じレベルに達することができればありがたい」と語ります。
2年以内に国内に700人規模の現地チームを作り、うち9割は日本人採用をしたい、という考えも明かしました。
鄧氏は、尊敬する企業としてソニーやパナソニックの名前を挙げながら「日本は世界の電子商品、ブランドの聖地」と話す一方、今後の欧米市場への本格展開にも意欲を見せます。
日本のキャリア、消費者の高い要求水準を満たすよう性能の向上に挑むことで、「すごい勉強のチャンス、貴重な経験になっていくと思う。日本市場での成功は、オッポが欧米市場に進出する大事な一歩であり、その面でも日本市場の重要性をとても認識している」と語ります。
調査会社IDCによると世界5位とされるVivoも含め、中国製スマホは各国でじわじわと存在感を増してきています。
現時点では、日本におけるiPhoneの牙城を崩すほどの存在ではないかもしれませんが、「インスタ映え」が流行語となった日本でも若年層の支持を広げられるかどうかが発展の鍵になるでしょう。
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