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政治家の不倫、本音では…「熱心な投稿」から見えた人間模様

政治家の不倫、本音では…「熱心な投稿」から見えた人間模様 ※画像はイメージです
政治家の不倫、本音では…「熱心な投稿」から見えた人間模様 ※画像はイメージです

目次

 いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひ給ひける中に――。そんな一文で始まる「源氏物語」のころから、いまでいう「不倫」は様々に取りざたされてきました。そして現在、それは政治状況を動かすまでの「社会問題」として扱われるようになっています。政治家の不倫をどう受け止めればいいのか。新聞記事で読者の意見を募ったところ「現在進行形で不倫をされている」「騒ぐべきではない」「その政治家の政策も信じられなくなった」など、50通を超える「熱心な投稿」が集まりました。寄せられた意見から考えてみたいと思います。(朝日新聞文化くらし報道部記者・太田匡彦、田渕紫織)

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「政治家に求める資質」と「不倫」は……
「政治家に求める資質」と「不倫」は…… 出典: 朝日新聞
■元になった記事はこちら…
政治家の不倫に思う 「資質に疑問」「個人的な問題」:朝日新聞デジタル

不倫されている女性「人間の資質が問われるべき」

 意見を募集したのは9月25日付朝日新聞の記事「ひととき」です。「政治家の不倫が問題になりました。みなさんは、どう考えますか」と呼びかけました。

 投稿した読者の一人、千葉県内の40代の女性は、現在進行形で夫に不倫されています。

 夫とは20年以上も結婚生活を続けてきました。子育てをしながら、共働きでここまでやってきました。だが7カ月前、夫が不倫していることを知ります。食欲不振や不眠に悩まされ、うつ病の症状がみられるようになりました。仕事にも支障が出始めているそうです。

 女性は、政治家の不倫は個人的な問題として片付けられるべきではないと考えています。「政治家である前に人間としての資質が問われるべきである。資質には個人の道徳観や倫理観も含まれるのではないだろうか」とつづりました。

 この女性のように、不倫は政治家の資質にかかわる事柄である――と問題視する投稿は24件にのぼりました。目立ったのは「『選良』どころか、人の道に外れている」(安孫子真理さん、主婦58歳)などと倫理観を問う意見でした。ほかの投稿でも、「家族をないがしろにしている」「自らを厳しく律しなければならない」といった手厳しい言葉が数多くつづられていました。

「政治家の不倫が問題になりました。みなさんは、どう考えますか」と呼びかけた新聞記事
「政治家の不倫が問題になりました。みなさんは、どう考えますか」と呼びかけた新聞記事

「それが何か?」フランス大統領に「感心」

 一方で「選良」とは、特に代議士=衆院議員のことを指すと同時に、「選ばれたすぐれた人物」という意味も持ちます。その意味では、選挙で選ばれ、能力さえあれば「選良」である条件は満たしているとも言えます。

 「不倫は個人的な問題」「公の場で騒ぐことではない」という9月25日付「ひととき」に賛意を示す投稿は、17件寄せられました。

 以前から大物政治家についてざらにあった話であったとして、「能力や理念があり、頑張ろうとしている人なら不倫云々(うんぬん)の個人的なことは問題にならないし、すべきでもない。そんなことで有能な人材を失う方がもったいない」(宮坂由美子さん、主婦61歳)という意見は代表的なものだと言えます。

 日本の政治家ではありませんが、1995年までフランス大統領を務めたフランソワ・ミッテラン氏が、その在任中に記者団から女性問題について問われたときに「それが何か?」と答えたエピソードを引く投稿も複数寄せられました。

 69歳の主婦、山本育子さんは「プライバシーを公の場に持ち出すことの愚かさを一刀両断にしたミッテラン氏に感心した」と書きました。

ミッテラン仏大統領=1992年4月29日
ミッテラン仏大統領=1992年4月29日 出典: 朝日新聞

同じ不倫でも受け止め方に違い

 また、タレント出身の自民党参院議員の不倫疑惑については「遊び半分で何やってるの?」と否定的に受け止めたが、民進党衆院議員のケースでは「こんなことで評判を落としてもったない」と残念に思ったことを明かすのは薬剤師の陰地俊子さん(67)です。

 陰地さんは「自分の反応がかくも対照的なのはなぜか」と考え、「仕事への取り組みを日頃から支持していたからだと思う」と結論づけたそうです。

「保育園落ちたの私だ」などの紙を掲げて東京・永田町の国会議事堂前に立つ人たち=2016年3月5日
「保育園落ちたの私だ」などの紙を掲げて東京・永田町の国会議事堂前に立つ人たち=2016年3月5日 出典: 朝日新聞

女性と男性で評価が分かれていないか?

 特定の個人を想定して政治家の不倫を考えたとき、その評価は揺れ動きます。「優秀な方が辞めざるを得なくなるなんて、惜しい限り」としつつも、主張していた政策とからめて「待機児童問題での活躍も表面だけととられかねない」と米村征生さん(無職74歳)は書きました。

 他方で、「働くママの旗」を掲げていたことを理由として「問題あり」と断ずる向きに対して、「夫との間に子どもがいると『子どもがいるのによくも不倫を』という言い方をされるが、男性にはそんな言い方はされない」(伊藤弘子さん、無職72歳)という指摘もありました。

 確かに、これまでに女性スキャンダルが報じられた男性政治家はあまたいますが、「自分の家庭についてすら子育てしやすい環境を作れていないのなら、その政治家の言葉は信じられない」(団体職員27歳)といった責められ方をしたケースは、あまりなかったかもしれません。

 女性と男性で不倫をしたときの評価がわかれるのだとしたら、これは政治家の資質を論じる以前の問題かもしれません。

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