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「孤独死」「ゴミ屋敷」ミニチュアで再現 25歳女性が込めた思い
部屋を埋め尽くす大量のゴミ、2カ月遺体が放置された浴室・・・思わず目を背けたくなってしまうような現場を再現した、異色のミニチュアが話題を呼んでいます。制作者は、孤独死の遺品を整理する会社に勤める25歳の女性社員です。込められた思いを聞きました。
25日まで東京ビッグサイトで開かれた葬儀業界の商品展示会「エンディング産業展」。その一画にブースを構えたのが「遺品整理クリーンサービス」(本社・東京)です。
「ミニチュア展示中」の看板の脇に、家の中を再現した三つの模型が飾られています。この模型、展示初日の23日に来場者が、「センスもディテールも凄い!」とツイッターに投稿。会期終了後も拡散は続き、1万4000回以上リツイートされる反響を呼んでいます。
会期中にブースを訪ねると、ミニチュアをつくった社員の小島美羽さん(25)が案内してくれました。勤続3年。孤独死現場やゴミ屋敷など、年間300カ所以上の整理にたずさわっています。不要なごみを撤去し、金銭や契約書類などは保全。また、遺体が放置されて汚れた室内の清掃も行います。
まず、目に止まったのが浴室のミニチュアです。浴槽からあふれた赤いお湯は一体・・・?
「千葉で整理した孤独死の現場を再現したものです。入浴中に亡くなり、発見時には約2カ月たっていました」
「お湯が保温され続けるお風呂だったこともあり、腐敗が大変進んでいたんですね。こうした場合、体は溶けてしまい、水はどす黒く染まっています。部屋の清掃もご遺族の手には負えません」。
その隣に並ぶのは、床の大半が、ゴミ袋や食べかけの食品で埋まった部屋のミニチュアです。
「見やすいように、これでもゴミの量を実例より減らしました。整理を依頼される『ゴミ屋敷』の多くは、部屋の高さの半分ほどまでゴミが。天井までゴミで埋まった部屋も見たことがあります。寝床への通り道だけが、獣道のようにある状態でした」
最後に、和室のミニチュアが置かれています。敷かれた布団が黒く染まり、ちゃぶ台のコンビニ弁当は食べかけのまま。
「やはり千葉で整理した孤独死現場がモデルで、亡くなったのは独身の中年男性でした。死後3~4カ月たって発見され、腐敗した体液で布団や畳は黒く染まっていました」
この中年男性の部屋を見たとき、小島さんは父親を思い出したといいます。
「実は私の父も、孤独死寸前でした」
高校生時代、父親とは離れて暮らしていた小島さん。母親が離婚の話し合いのため父親の住まいを偶然訪れて、見つけたのが脳卒中で倒れている父親の姿でした。病院に搬送しましたが、意識は戻らず。それでも医師から「耳は聞こえているかも知れない」といわれ、母親と一緒に声をかけつづけました。
すると亡くなる直前、父親のつぶった目から、涙が流れてきたのだと言います。
小島さんは「ああ、聞こえていたのかなと。小さい頃、父親と遊んだ記憶がよみがえってきました。死ぬ間際になって、もっとつながりを持っておけばと思ったんです」
孤独死の現場に立つと「周囲とのコミュニケーションがどれほど大事か分かる」といいます。
「近所の人にあいさつもしなければ、家で倒れても『最近姿を見ないな』と気づいてもらえない。私が見た現場では最長2年間、気づかれない人も。ようやく気付くのは水道検針員など、本人と直接縁の無い人が多いですね」
今回ミニチュアを作ったのも「写真では分かりにくい孤独死の悲惨さを伝えたかった。こういう状況でご遺体が見つかってしまうんだと、リアルに感じて欲しかった」という思いからでした。ミニチュア作りは全くの素人でしたが、布や模型材料を使って、約1カ月かけて手作りしました。
毎日1件は、孤独死やゴミ屋敷を整理する小島さん。惨状を目の当たりにする仕事への思いについて「父親との体験もあったので・・・」と前置きして、こう答えてくれました。
「自分の家族の部屋のように感じて作業しています。大変な作業ですが、怖いとか、苦しいとは思いません」
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