MENU CLOSE

話題

「サインペン」偶然が生んだ大ヒット シンデレラストーリーが話題に

サインペンの歴史が「シンデレラストーリーだ」とネット上で話題になっています。

見慣れたデザインの「サインペン」
見慣れたデザインの「サインペン」

目次

【ネットの話題、ファクトチェック】

 1963年に世界初の携帯用水性ペンとして売り出された「サインペン」。この商品の歴史が「シンデレラストーリーだ」と、ネット上で話題になっています。国内で売れなかったペンをアメリカの見本市で配ったところ、大統領が手にしてお気に入りとなり、大ヒット商品になったというのです。この物語は本当なのか? 発売元のぺんてる(東京都)に話を聞きました。

【PR】手話ってすごい!小学生のころの原体験から大学生で手話通訳士に合格
現在は8色がラインナップされている
現在は8色がラインナップされている 出典: ぺんてる提供

サインペンとは


 サインペンが発売されたのは1963年。世界初の携帯用水性ペンで、当時の油性ペンの「細かい字が書きにくい」「裏写りする」といった難点を解決した点が特徴です。

 先月中旬、ツイッターにサインペンの歴史を箇条書きにした内容が投稿されました。おおまかな内容は以下の通りです。

 (1)画期的な筆記具を開発するも売れない
 (2)アメリカの見本市でサンプルを配ってみる
 (3)偶然にも大統領が気に入る
 (4)大統領が愛用していることがメディアで紹介される
 (5)大ヒット

 この投稿に対して、「シンデレラストーリーじゃん」「世の中わからない」「嘘みたいな本当の話だった」といった反応が寄せられ、リツイートは6800を超えています。

ホームページではサインペンの歴史を紹介する漫画も掲載されている(記事下のフォトギャラリーですべて読むことができます)
ホームページではサインペンの歴史を紹介する漫画も掲載されている(記事下のフォトギャラリーですべて読むことができます) 出典: ぺんてる提供

きっかけはシカゴであった見本市


 ネット上で話題になっている話は本当なのでしょうか? ぺんてるの製品担当者に詳しく話を聞きました。

 ――サインペンの歴史についてツイッター投稿がありましたが、内容は正しいのでしょうか

 「おおむね間違いありません」

 ――それぞれの項目について補足説明をお願いします。まずは『(1)画期的な筆記具を開発するも売れなかった』という点は

 「当時は油性インキを使用したマーカーしかなく、ハガキや封書など紙に筆記すると『にじみ』や『裏写り』が生じるといった欠点がありました。これに対してサインペンは文字がにじまず、裏写りもない『世界初の水性マーカー』として、当時は非常に画期的な商品でした」

 ――『(2)アメリカでサンプルを配った』は

 「国内で売れなかったため、先代の会長・堀江幸夫がシカゴ国際見本市で販売しようとしました。しかし、見本市での販売が禁止されていたため、無料サンプルとして用意していたサインペンを来場者へ配りました」

ホームページではサインペンの歴史を紹介する漫画も掲載されている(記事下のフォトギャラリーですべて読むことができます)
ホームページではサインペンの歴史を紹介する漫画も掲載されている(記事下のフォトギャラリーですべて読むことができます) 出典: ぺんてる提供

米大統領のお気に入りに


 ――『(3)米大統領が気に入った』は

 「偶然にも、当時のアメリカ大統領リンドン・ベインズ・ジョンソン氏の手に渡り、とても気に入っていただけたようで、24ダース(288本)もの注文をいただきました」

 ――『(4)メディアで紹介される』は

 「週刊誌『Newsweek』で、ジョンソン大統領がサイン用にサインペン使用している記事が掲載されました。また、その後TIME誌にも掲載されました」

 ――『(5)の大ヒット』について、累計何本ほど売れているんですか

 「100カ国以上で販売し、これまでに21億本以上を販売しております。海外ではアート向けの筆記具として非常に人気があります。ちなみにこれまで売れたサインペンをつなげると、地球を約7周分にもなります」

ホームページではサインペンの歴史を紹介する漫画も掲載されている(記事下のフォトギャラリーですべて読むことができます)
ホームページではサインペンの歴史を紹介する漫画も掲載されている(記事下のフォトギャラリーですべて読むことができます) 出典: ぺんてる提供

大きな変更なく今に至る


 ――デザインや機能面での変化は

 「発売当初のサインペンは、当時の流行色でもあったベージュ色のボディでした。しかし、発売後に大量の特注品の注文があり、その時にボディがベージュ色から現在と同様のインキと同じ色になりました。この時、ベージュのボディの材料が余ったため、ペンのお尻側の尾栓と呼ばれる場所に使用したのですが、いまもなおこの名残がサインペンに残っています」

 「それ以降は大きな変化はありませんが、1986年にボディの原材料を『スチロール樹脂』から『PP(ポリプロピレン)樹脂』に変更しました。この素材変更により、密閉性が向上し、よりインクの蒸発を防ぐことができています」

 ――サインペンが話題になったことについての感想は

 「社内では当たり前と思っているエピソードに注目していただけることに、驚きを感じています。発売から50年以上経っているサインペン。現在ではサインに使っている声はほとんど聞きませんが、これからも多くの方々に使っていただけるよう、サインペンがどのようなことに向いているか考えながら、販売を続けていきます」

関連記事

PICKUP PR

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます