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本当に回るネジチョコ 増産しても即完売 「北九州を誇れる土産に」
チョコレートでできたボルトとナット。見た目も精巧ですが、組み合わせて回すときちんと締まります。「ネジチョコ」と名付けられたこの商品。昨年のバレンタインデー前に発売されて以降、増産を続けていますが、常に品切れが続く人気ぶりです。官営八幡製鉄所の関連施設が世界文化遺産に登録されたのを受けて、「福岡の土産ではなく、北九州の土産を作りたい」と企画した男性に話を聞きました。
「ちゃんと精度高く加工されていてきちんとネジが締まる。ありそうでなかった」。昨年の大みそか、ツイッターにネジチョコの画像とともに、こんな文言が投稿されました。
すると、「実用的ではないがすごい」「バレンタインは早めに予約したい」「食べるのもったいない」といった声が寄せられ、リツイートは1万を超えています。
昨年2月の発売直後にも、ご当地ヒーロー「キタキュウマン」がネジチョコを回す動画をツイッターに投稿して拡散。定期的に話題になっていて、常に品切れが続いています。
今日いただいた北九州でバカ売れのチョコすごい pic.twitter.com/0mEYZNrurs
— キタキュウマン (@kita_q_man) 2016年2月14日
ネジチョコを企画したのは、北九州市内で通信機器販売会社を経営している吉武太志さん(44)。会社の飲食部門として始めた菓子店「グランダジュール」で製造・販売しています。
通常販売されているのは、チョコとココアの2つの味。いずれの味もボルトとナットが1個ずつ入った単品が64円、5個入り378円、15個入り1080円(いずれも税込み)と、手頃な価格です。その理由について吉武さんは「ネジは高価なものじゃありませんから」と話します。
店頭販売は空港や駅、百貨店など北九州市内のみですが、グランダジュールのホームページ上でネット販売もしています。作ったそばから売れている状況で、昨年末には正月の里帰り時のお土産として注文が集中し、ネット通販を一時中止しました。
「当初は完全に手作りだったのですが、昨年9月には原料を混ぜたり包装したりする機械を導入して3倍以上を製造できるようになりました。それでも生産が間に合わず、お声がけいただいた市外での取り扱いや、試作した新商品の導入などを見送っているのが現状です」と吉武さん。
ネジチョコを企画したきっかけについては、こう話します。「地元のお土産を買おうと思っても、売っているのは福岡のお土産ばかり。そんな中で『北九州のお土産です』と誇れるものを作りたいと思ったんです」
2015年に官営八幡製鉄所の関連施設を含む「明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産登録されたことを受け、これをモチーフにした菓子を作ることを思いつきました。
当初は「H鋼」のチョコを試作しましたが、「ただの棒のように見える」ということで変更することに。八幡製作所を見学に行った際、現地で見かけたボルトとナットをもとにネジチョコを作ることにしました。
チョコを作るための型は3Dプリンターで製造。ボルトの溝など細かな点まで再現し、何度も締めたり緩めたりできるようにしました。また、見た目でも鉄サビを再現しようと、色合いの似たココアパウダーをかけた味も考案しました。
お年寄りからは「昔を思い出す、いいアイデアだ」、中年男性からは「スナックに持って行って女性に自慢できる」、若い女性からは「カワイイ」といった反応が寄せられていて、老若男女問わず売れているそうです。
吉武さんは「八幡製鉄所の雰囲気を感じてもらえる北九州らしいお菓子になったと思っています。ネジチョコを通じて地元を元気に盛り上げていきたいと思います」と話します。
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