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「爆竹禁止令」中国で厳罰化 破ると…罰金・拘留も その狙いとは?
中国の旧正月(春節)と言えば、爆竹は欠かせません。春節期間中に、多くの出番がある爆竹と花火ですが今年は、各地で「禁止令」が出されています。「これをしないと春節じゃない」というほど親しまれてきた爆竹。いったい何があったのでしょう?
結婚式や、会社の開業式などお祝いの時、爆竹を鳴らすことが好きな中国の人々。爆竹の音には、魔除けや幸運を呼ぶなどの意味があるとされています。中でも、家族が国内、世界中から集める春節期間中は、爆竹の出番が多くなります。(今年の春節公休日は1月27日~2月2日です)。
爆竹はこんな感じで登場します。
(1)大晦日の家族だんらんの晩ご飯(年夜飯)の前に、爆竹!
(2)日付が変わった深夜0時直後に、爆竹!
(3)朝起きたら爆竹!
(4)5日目は財神を迎える日なので爆竹!
(5)春節中は休みがが多く結婚するカップルも多いので爆竹!
(6)春節が終わって会社やお店がスタートすると爆竹!
(7)15日目は春節の終わりを告げる元宵節だから、爆竹!
爆竹の歴史は古く、1000年ほど前、宋王朝の名宰相である王安石(ワン・アンシ=1021~1086年)が次のような詩を詠んでいます。
「爆竹の音が鳴り響くなか一年が終わり、春風が暖かさを屠蘇の中に吹き込んでいる……」(「爆竹声中一歳除、春風送暖入屠蘇……」)
そんな爆竹ですが、近代化が進んだ大都市になると、事情が変わってきました。
まず、火災です。爆竹が引き起こす火災は毎年発生しています。今年も湖南省で爆竹が引き起こした火災が報道されています。また、爆竹の爆発でけがをして病院に行くことも少なくありません。
そして、最近、問題視されているのは大気汚染です。爆竹は一度、鳴らされると、そのエリア全体で鳴り続けます。結果的にものすごい量の火薬が街中で爆発することになります。
隣の家で爆竹が鳴ると、縁起のいい神様がそちらの家に行ってしまうのでは、という心理が働きます。なので、自分の家でも同じくらいの爆竹を鳴らして、ある種の「心の安定」を求めてしまうようです。
ただ、都市部で集中的に爆竹が鳴ると、ものすごい量の煙が発生します。空気中のPM2.5が心配される現在、爆竹への視線は厳しくなっています。
大気汚染だけでなく、生活にも影響を与えます。一晩中、大きな音が鳴り響くので、お年寄りや子どもの睡眠に影響を与えてしまいます。
その結果、最近では、春節期間中、爆竹の制限令を出したり、全面禁止する都市が増えています。
今年の中国公安部の統計によると、中国全国では春節期間中、444の都市で爆竹と花火を禁止しています。そして764の都市が制限をしています。
「禁止令」が出ている都市では、爆竹と花火が終日禁止されます。違反すると、勾留されたり罰金が課されたりする罰則があります。
「制限令」が出ている都市では、時間と場所が指定されてます。
中国の環境保護部が2月1日に発表したデータによると、上海・南京などでは、爆竹禁止令によって年越しの夜のPM2.5の数値が3年前より70~90%減ったそうです。
こういう爆竹に対する禁止令に対して、中国の人々はどんな反応をしているのでしょうか。
まわりの中国人に聞いてみると、賛成の声が目立ちました。
反対意見は次のようなものでした。
私の実家(浙江省嘉善県)も、ちょうど2017年1月1日から爆竹の禁止令が出されました。禁止令は主に市内だけだったので、年越しのタイミング(午前0時前後)は、郊外の農村部からの爆竹の音が聞こえてきました。
ただ、近くの家で鳴らす人はいなかったので、寝られないほどの音ではありませんでした(正直、ほっとしました…)。
家族や親戚の中には、爆竹を鳴らすことを「義務」に感じて、本当はしたくないのにやっていた人もいました。なので、禁止令によって手間が減ってむしろ喜んでいるようでした。
これで空気も少しはきれいになるかな、と思いましたが、旧正月は1年に1回しかないので、爆竹や花火の影響はごく一部の原因に過ぎません。
中国政府は爆竹禁止令の理由としてPM2.5の抑制をあげていますが、当然、爆竹だけで大気汚染が解決するわけではありません。現地では「工場や車の排気ガスなどスモッグの本当の原因を考えないと、環境はよくならない」という声も聞きました。
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