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羽生結弦「恋ダンス」が世界レベル トップ選手は演技力もすごかった
TBSドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の「恋ダンス」。プロフィギュアスケーターの織田信成さんが、羽生結弦選手たちと一緒に踊った動画を自身のツイッターに投稿し、大反響を呼びました。ジャンプが注目されるフィギュアスケーターですが、ダンスも得点に影響する重要なスキル。1点を争う世界レベルの選手たちのハイレベルな演技力を披露する形になりました。
「逃げ恥」のエンディングで星野源さんが歌う主題歌「恋」に合わせ、出演者らが踊る「恋ダンス」。視聴者が「私も踊ってみた」動画を次々と投稿しました。
織田さんの「恋ダンス踊ってみた。」投稿のリツイートは20万超え。羽生選手の動きがキレッキレで、星野さん自身も大絶賛していました。
ほかにも、ペアの高橋成美選手と柴田嶺(りょう)選手も、YouTubeに動画をアップし、自身のブログで紹介しました。その完成度の高さに、コメント欄には「息がピッタリですね」「何度も見ちゃう!」といったファンの声が寄せられています。
フィギュアスケーターがダンス力を生かせるのはどのような場面でしょうか。
例えば、ステップ。氷上でターンをし、両足のエッジを細かく使い分けて滑ります。最高はレベル4です。身体を大きく動かす、メリハリをつける、複雑で多彩な動きを取り入れるなど、振り付けに工夫を凝らします。また、ジャンプの前後の動きを工夫すると加点されます。
ステップやジャンプ以外でも、技と技のつなぎの滑りやパフォーマンスなどを評価する演技構成点を上げることができます。1点、0.1点でも点数を稼ぐためにしのぎを削っています。
グランプリ(GP)ファイナルがあったフランス・マルセイユからの帰国会見で、羽生選手は「恋ダンス」のミュージックビデオに出てくるダンサーの体の使い方などを参考にしているといい、「フィギュアスケートの方にも良い影響が出ている」と話しました。
浅田真央選手が毎夏に参加しているアイスショー「ザ・アイス」では、スケーターによるダンスバトルが行われています。1対1のトーナメント形式で行われ、観客の拍手の大きさで勝敗を決めます。
競技会では見られない激しいステップや個性的な振り付けに観客は大盛り上がり。選手の新しい一面を発見できます。
その初代女王は高橋成美選手。全身を使ったパワフルな演技はファンの間でも話題になりました。
音楽に合わせた身体表現ができたり、観客へのパフォーマンスが優れていたりする選手のことを、ファンの間で「踊れるスケーター」と呼んでいます。競技会だけでなく、アイスショーでその魅力を発揮してくれる選手もいます。
【高橋大輔】
「世界一」と評されたステップや、曲と融合する類いまれな表現力で魅了。現役引退後も氷上だけでなく、フロアでのダンスに挑戦するなど、表現者として活躍の場を広げている。ヒップホップ調の「白鳥の湖」、リズム感あふれるマンボ・メドレー、日本男子初の五輪メダルにつなげた「道」など名プログラム多数。
【宇野昌磨】
ジュニア時代から表現力には定評があり、高橋さんのDNAを受け継いでいるといっても過言ではない。18歳にして音と身体がシンクロする。彼が動きを合わせているというより、音楽が彼の動きに合わせているようだ。
【鈴木明子】
情熱的なダンスを披露してくれる。ノリノリで踊っている鈴木さんの姿はキラキラ輝いていて、ファンも元気になる。「ウエストサイドストーリー」や「リベルタンゴ」など、何度も見たい作品がたくさん。プロフィギュアスケーターとして活躍中。
【村上佳菜子】
ジュニア時代から「踊りがうまい」と評されてきた。「バイオリンミューズ」やピアソラのタンゴメドレーなど、音楽と調和したプログラムを見せてくれる。
【町田樹】
ソチ五輪エキシビションでは、「Don't Stop Me Now」の曲にのせ、ロックスターに。髪を振り乱し、両膝をついてエアギターをかき鳴らす演技で、観客を沸かせた。ほかに、時代劇風にアレンジされた「アランフェス協奏曲」にのせ侍姿で登場したことも。個性を放ち続けている。
ほかにも、女子高校生の衣装でAKB48の「フライングゲット」を披露するなど、いつも観客を楽しませてくれた佐々木彰生(あきお)さん(2014年引退)、エキシビション曲「ボレロ」にのせ、独特のパフォーマンスで盛り上げた佐藤 洸彬 (ひろあき)選手、ジュニアでは友野一希選手や島田高志郎選手など、日本には踊れるスケーターがたくさんいます。
「氷上の社交ダンス」と呼ばれるアイスダンス。ペアと違い、ジャンプはありません。リフトもペアのよう男性の頭の位置よりも上に女性を持ち上げるのは禁止されています。
シングルにショートプログラム(SP)とフリースケーティング(FS)があるように、ダンスにもショートダンス(SD)とフリーダンス(FD)があります。
SDでは、ワルツやブルースなど毎年決められたテーマが与えられ、ステップやリフトなどの要素を入れます。男女が回転をそろえて滑るツイズルは、息がぴったり合うと、観客が盛り上がる見せ場の一つです。FDは自由な選曲で、SDと同様に決められた要素をこなします。
日本のアイスダンスは、競技人口はまだ少ないですが、世界で活躍するペアもいます。
村元哉中(かな)、クリス・リード組は、昨季ペアを組んだばかりですが、世界選手権に初出場し15位と健闘しました。華やかさを持ったペアで日本のアイスダンス界を盛り上げます。
平井絵己、マリアン・デラアスンシオン組も四大陸選手権など国際舞台を経験しています。複雑な動きを取り入れたリフトが持ち味です。
村元選手も平井選手も元シングルスケーターでしたが、アイスダンスに転向し、活躍しています。11月の全日本ジュニア選手権では6組のペアが出場。ジュニアのペアも着実に育ってきています。今月22日から大阪で始まる全日本選手権ではアイスダンスにも注目です。
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