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朝ドラ女優吉岡里帆、「幻」の初主演映画が公開 無名時代の夢かなう
お蔵入りの時に宣言「有名になって、映画を上映します」
NHKの朝ドラ「あさが来た」などで注目を集める女優の吉岡里帆さん(23)の初主演映画「ハッピーウエディング」が5日、東京・テアトル新宿で公開されました。実はこの映画、2014年10月の製作ですが、映画館で上映されず、「お蔵入り」に。「有名になって、絶対上映したい」。「ゼクシィ」のCMにも起用されるなど今年ブレークした吉岡さん。思いが実り、「幻」の映画が日の目を見ました。
「この映画を撮影したのは2年前です。映画館で見てもらうことはなく、静かにフェードアウトしました。こんな機会を頂いて、本当にうれしいです」
満員の観客を前に、片島章三監督と初日の舞台あいさつをした吉岡さん。インスタグラムにも「低予算ながら愛情たっぷりに撮った主演映画が、上映して頂けることとなりました」と喜びを表しました。
映画は、吉岡さん演じる新米ウエディングプランナーを主人公に結婚式場の舞台裏を描いたブライダルコメディーです。100人以上がオーディションに応募した中で、「目がきらきらしていて、会った瞬間に『この人だな』と思った」と片島監督は吉岡さんを選んだ理由を振り返ります。
「Shall we ダンス?」や「ウォーターボーイズ」などの実績がある映画製作会社「アルタミラピクチャーズ」が製作に関わりましたが、ブライダル業界を盛り上げるために結婚式場会社が依頼したもので、製作費は低予算。業界向けの試写のみで、一般向けに公開される予定はありませんでした。吉岡さんも、劇場で公開される可能性が低いということは「知っていた」と話します。
それでも、「アルタミラのファンだったので、参加したかった」。「スウィングガールズ」に憧れて、学生時代は吹奏楽部でアルトサックスを吹いていたという吉岡さん。オーディションに合格後、実家のある京都から夜行バスで横浜に通って撮影に臨んだそうです。
撮影は2週間で行われました。吉岡さんは、「本当に仕事もなかった時期に、初めて主演に選んで頂いた映画。作品も温かい内容で、みんなが『良い映画を作ろう』と丁寧に丁寧に撮影しました」。
上映される予定がないにもかかわらず、製作スタッフも北野組の撮影を担当する柳島克己さんなど、第一線の人たちが名を連ねました。片島監督は「アルタミラが作るからには、面白い映画にしたかった。そうなると、『劇場で見たい』という思いが強くなった」と話します。
その思いは吉岡さんも同じでした。「もっともっと、みんなが見たいと思ってもらえる女優になろうと思った」という吉岡さんは、映画完成後の打ち上げで、こう宣言したそうです。
「仕事を頑張って有名になって、この映画を絶対に上映します」
翌年から、「幕が上がる」「明烏」など映画への出演も増えてきた吉岡さん。2016年は朝ドラなどへの出演をきっかけに、現在もフジテレビ系の連続ドラマ「レディ・ダ・ヴィンチの診断」で研修医役を演じるなど、注目の若手女優の一人となっています。
一方、映画は結婚式場関係者やブライダル業界を目指す学生などに向けて試写会を積み重ねていきました。
そして今秋。アルタミラとテアトル新宿による企画「ツウ好み映画祭」の開催に合わせて、「ハッピーウエディング」の劇場公開も決まりました。アルタミラの桝井省志社長は「映画が上映できたのは、吉岡さんが女優として人気になったおかげ」と感慨深げに語ります。
「自分の活動が少しでもプラスになっているのであれば、それはうれしい」。上映を喜ぶ吉岡さんは、舞台あいさつで満員の観客を前にこう語りかけました。
「映画づくりは、本当に不思議な行為で、終わった頃に家族みたいな気持ちになります。この映画は2年前に撮りましたが、劇場には公開されなくて、今日初めて公開されます。スタッフさんも『やったね。上映できてよかったね』と駆けつけてくれてました。そうしたみんなの子どものような作品がやっとお目見えできます」
「ハッピーウエディング」は、11日までテアトル新宿で上映。翌日の12日からは横浜市の横浜シネマリンで上映されます。京都出身の吉岡さんは、「関西でもぜひ、上映してもらいたいです」と話しました。
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