話題
ガングロと新聞社 「絶滅危惧種」同士の生き残りかけた作戦会議
年々部数が減り続け、斜陽産業と呼ばれる新聞社。もはやどこに生息しているのかすら不明なガングロギャル。「絶滅危惧種」同士で、この危機を脱出し、生き残るための方法を一緒に考えてもらいました。
解決策を練ってくれるのは渋谷のガングロカフェの店員のこの3人。
ぇりもっこり(23)ガングロカフェの看板娘。サンリオのぐでたまが大好きで、シュシュやチョーカーを手作りしている。
あおちゃん(20)歌手志望。しっかり者のギャルとしてお昼のテレビ番組に出演。
ぽみたん(25)ガングロギャル歴12年。最近は髪の毛をオレンジや黄色から白にし「落ち着き系ギャル」(自称)に。
――さっそくですが、新聞を読んで感想もらっていいですか。
「新聞読むの10年ぶりだ~。っていうか、新聞って何も変わってないんですね。10年たっても何も変わってないってやばくないですか?」
――やばいよね。うん。私もガングロギャルが変わってなさすぎて驚いたけど、たぶん同じ感じなんだよね。
「2行読んだら、カラコンずれた。こんな文字ばっかり、熟読してるとまばたきしないので目が乾く…」
「私は栃木の実家から通ってるので家で新聞買ってます。コボちゃんのやつでしょ」
――コボちゃんは読売です!きょうは私が担当した1面を持ってきました。
「何書いてるのか全然わかんない。(強制執行を指さして)これなに。読み方もわからないし、読めたとしても意味がわからない」
「これだったら、小学生の絵日記の方が読みやすいですよ。あれだって、見出しは大きく、色も付けて、絵も大きいですよね。 文字の量なんてそんなにいらないんですよ。私だったらレイアウトこうします 」
――おおお。文章量かなり少ない。
「記者さん、辞書読みます?読みませんよね。私からするとそれと同じです。読めません」
「あと、大きさがでかい。電車で隣の人が読んでいると、押し寄せてくる感じがする。もう少しコンパクトにしてほしい」
「興味あるものがない。ダイエットとか化粧品のこととか載せてほしい。スクワットしてるお姉さんの写真とかあったら読む」
散々の言われようである。でも確かに、新聞の若者離れは深刻だ。
日本新聞協会の調べによると、日本の新聞は1997年の5376万部をピークに減り、昨年は4424万部に。若い世代に新聞に親しんでもらおうと「中学生でも読める新聞」を目指し、読みやすい紙面を心がけている。
一方、ガングロギャルも聖地・渋谷でさえ、その姿を見ることは難しい。
「コギャル」という言葉が登場したのは「週刊SPA!」の記事が始まりと言われている。その後、「egg」や「Cawaii!」などのギャル雑誌も次々創刊された。だが、「egg」が2000年春に一旦休止すると、ギャルブームも勢いを失った。
「この先、衰退するしかないのか…?」という危機感は共通である。そのことを知ってか知らずか、ガングロギャルの3人は真剣に対策を練ってくれた。
「新聞って中学生から読めるっていうけど、こんなのアッパークラスの中学生でしょう。それって大学生クラスだよ。猿でも読める新聞にしてほしい」
――例えばどんなの?
「この記事『優勝を果たした』って書いてあるけど『果たした』て言わなくない? それならトーナメント書いて、頂上に王冠付けておいてくれれば誰が勝ったかはわかるから 」
――なるほど。新聞に対してはどんなイメージ?
「おじさんの読み物。40~50代のおじさん。賢そうに見える」
「私は『おうちにテレビないのかな~』と思うな。あとガラケー使ってそう。ITとか苦手そう」
――え、私が新聞読んでたらどんな感じ?
「ドン引き!」
――見た目がださいのかな。
「うん。カバーつけたら?ゼブラ柄とか、タイダイ柄。あとマイメロとか、ぐでたまとかサンリオとコラボしたらいいかも。 それなら新聞読まないけど買う~ 」
「あと付録つけるとかいいかもね。ガムとか汗ふきシートとか。 出かける前に忘れちゃったから、買うかってなるようなもの 」
――デートの前に新聞読んでおこっかなってなる?
「ならないね~」
「全部カラーにしてほしい。どうせこんなにたくさん読む時間ないんだからページ数も5ページでいい」
「みんなに好かれることなんて無理なんだから、高齢者向けと若者向けに分けてつくれば」
「でも誰かにこびるようになったらダメだよ。ギャルやめる理由のほとんどが、男がらみだもん。日サロさぼるようになったりしてさ 」
――ところで、ガングロはいつまでやるの?
「25才のアラサーになるまで。気に入ったファンデーションも3トーン明るい物以外販売停止になったし、歩いてるだけで指差されるし。ガングロギャルをとりまく環境は切ないよ。だけど、ずっと自分のすきな格好をしていくつもり 」
「私たちもがんばるから、記者さんも頑張ってね」
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