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お金と仕事

「内定見込み」もう5割弱 後ろ倒しで「目覚めた」企業の囲い込み策

高島屋はインターンシップを昨年再開。「自社の魅力を深く伝えるため」という
高島屋はインターンシップを昨年再開。「自社の魅力を深く伝えるため」という 出典: 朝日新聞

目次

就職活動シーズンまっさかり。いよいよ6月1日から、面接などの選考が解禁されます。でも実は、多くの学生がすでに内定や内々定を得ています。増えているのが、企業のインターンシップからの採用。いったい、なぜこんなことになっているのでしょうか。

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「インターン参加枠での内々定をいただきました」

就活コンサルタントの坂本直文さんの元には、企業から内々定をもらった教え子からお礼のメールが続々と届いています。

「インターンシップ参加枠での内々定をいただきました」
「インターンに参加したことで、自分が本当にやりたい仕事に気づき、内々定ももらえました」

インターンからの内々定は、IT系の企業を中心に昨年11月ごろから増え始め、今年3月、4月以降は業界に関係なく出ているといいます。5月になると、今度は通常の就職試験による内々定が増えてくるそうです。

選考解禁って6月じゃなかったの? 記者は驚きました。

愛知東邦大学が2月に開いた就職合宿では、学生が模擬面接に挑んだ
愛知東邦大学が2月に開いた就職合宿では、学生が模擬面接に挑んだ 出典: 朝日新聞

5月時点で見込み内定5割弱

「リクナビ」を運営するリクルートキャリア社が5月26日に発表した最新の調査では、1日時点で内定(内々定)を得た学生は25.0%。まだ内定は得ていないけれど、得られる見通しの学生を加えると、49.3%に達しているといいます。

4月1日~30日の期間にしぼって業種ごとにみると、情報・サービス業が57.2%と最も多く、製造業18.4%、流通業13.3%と続きます。

選考解禁はあくまで目安。内定や内々定はもっと早くから出始めているのです。

就活後ろ倒しで、企業が目覚めた

坂本さんは話します。
「12月解禁時代は、就職人気企業でインターンを実施している企業は少なかったのですが、現在では、実施していない企業を見つけるほうが難しくなっています。さらに今年からは、インターンが中堅企業にも広がる勢いです。そして、その多くは採用が目的です」

なぜ、こうした変化が起きたのか。坂本さんは、就活解禁の後ろ倒しが背景にあると分析しています。

就活の時期はこれまでおおむね、12月に説明会が解禁され、4月に選考が解禁されるというものでした。長く続いた慣習として、多くの企業がならってきました。ところが、2016年卒の学生の就活で、説明会の解禁が3月まで後ろ倒しにされました。

これが、企業の「抜け駆け」を生んだのです。優秀な学生をライバル企業より先に確保したい。3月まで待っていられない。こういう考え方で、インターンでの採用枠をもうけ、夏以降、何度もインターンを開催する企業が増えました。選考目的でのインターンは経団連ルールから違反にはなりますが、法律で決められたルールではないので、企業を完全にしばることはできないのです。

埼玉県警のインターンでは、こんな「実践的」な体験も
埼玉県警のインターンでは、こんな「実践的」な体験も 出典: 朝日新聞

夏のインターン、活用して

中央大学のキャリア支援課長、池田浩二さんは、学生に「最近はインターンからの採用が顕著。就活のあり方が変わってきている」と話し、3年生の夏など、早い段階からのインターンへの参加をすすめているそうです。

さらに、中央大学では今後、1年生の段階からのキャリア支援を充実させていくといいます。自己分析や将来像の描き方などについて、体系化したガイダンスを準備中とのことです。

でも、それって学業の圧迫にならないんでしょうか?

池田さんの答えはこうです。
「将来社会に出て何をしたいかを考えておくことは、学部や課目を選ぶためにも重要です。みんな、就活の時期が近づいてから考える。それはちょっと違うと思います。だからインターンも有名企業などを安易に選ぶのではなく、自分のやりたい仕事や業種にしぼって行くようにすすめています」

中央大学キャリア支援課長の池田浩二さん
中央大学キャリア支援課長の池田浩二さん 出典: 朝日新聞デジタル

28日配信の記事では、就活解禁時期の前倒しのうわさを検証しました。今回は、インターン採用が急増しているという話。明日配信の記事では、オトナの事情に左右されない、就活生の生き抜き方をご紹介します。

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