閉

閉

これフカボリしてほしい

リクエストする

閉

2016年03月11日

閉店した魚屋に粋な感謝状 シャッターに貼り紙「倖わせな味でした」

  • 31387

閉じたシャッターに、常連客とおぼしき人物が貼った紙

閉じたシャッターに、常連客とおぼしき人物が貼った紙

出典: 朝日新聞

 「活(い)き良し、盛り良し、夫婦仲良し」と常連客が口をそろえる埼玉県川口市の鮮魚店「魚勝」が2月、58年間の営業を終えました。惜しむ声は尽きず、閉じたシャッターに「清水の次郎長」を名乗る、常連客とおぼしき人物が貼り紙をしました。「感謝状」ともいえるその内容に、近隣住民やネット上で「心温まる」と話題になっています。

「魚勝様」と題した貼り紙


 JR西川口駅から歩いて10分ほど。裸電球がぶら下がり、おつりはつるしたかごの中から。店構えは魚屋というより「刺し身屋」です。そんな店のシャッターに貼られた「閉店のお知らせ」。その隣には「魚勝様」と題した、こんな貼り紙がありました。

引用

知って居ますよ刺身(さしみ)の味を 百名以上並んで買った思い出も 包丁一筋半世紀 旦那が病に何度か伏しても立ち上(あが)り 包丁を又(また)握って下さった 魚勝の刺身は私共庶民の倖(しあ)わせな味でした 店が閉じられ とても悲しいです 明日も元気な夫婦 魚勝の声が聞こえてきそうな未練です 永(なが)い間の感謝に心をこめてありがとうございました

引用

閉じたシャッターに、常連客とおぼしき人物が貼った紙

閉じたシャッターに、常連客とおぼしき人物が貼った紙

出典: 朝日新聞

閉店は2月16日


 切り盛りしてきたのは、2代目の塩川庄平さん(72)、和美さん(66)夫妻。魚の下準備で手がいっぱいになるから、店を開けるのは夕方4時半からの3時間でしたが、開店前から客が並ぶ名物店でした。貼り紙にも「百名以上並んで買った思い出も」と書かれています。

 閉店は2月16日。その翌々日に貼り紙を見つけた近くの60代の主婦は「慕われた証し。2人をねぎらう気持ちはみんな同じです」。粋な「感謝状」に、夫妻は家族や街の変遷と稼業の盛衰を思い浮かべたそうです。

 実は、店への貼り紙は2度目です。庄平さんが胃の手術で半年間休んだ6年前のこと。「春に再開します」と書いた知らせに「頑張って」「待ってます」。思わぬ寄せ書きに涙したといいます。

「よく働いたよ」。裸電球がともる店内で後片付けをする塩川庄平さん、和美さん夫妻=埼玉県川口市、伊藤典俊撮影

「よく働いたよ」。裸電球がともる店内で後片付けをする塩川庄平さん、和美さん夫妻=埼玉県川口市、伊藤典俊撮影

出典: 朝日新聞

「お陰さまで清々しい気持ち」


 約40年前。庄平さんは結婚直後に父の跡を継ぎました。その頃、大型店の立地で窮地に追い込まれた際に、救ったのは和美さんが好きな料理でした。炭を起こしてサンマを焼き、イカの塩辛やあん肝の酒蒸し、ウナギの白焼きも手作りしました。これらが目玉商品となり、店は徐々に持ち直したのです。

 1991年に歩道が整備されるまで、店前に並ぶ客の列は車道にはみ出し、車が進まず「魚勝渋滞」と呼ばれたことも。中でも天然のインドマグロは、刺し身屋の由縁でもあり、消費税アップにもめげず、最後まで「一皿500円」を貫きました。

 店をたたむきっかけは「耳が遠くなって客商売は難しいから」と庄平さん。和美さんも、ひざに痛みを覚えるようになりました。仕入れ先の築地市場の移転で懇意の問屋の廃業話もありました。

 木造アパートを改造した店内は20平方メートルに満たず、水道管はむき出し。必需品である店の冷凍庫や冷蔵庫は古くなり、陳列ケースは30年もの。庄平さんは「ここで娘3人を育てたんだ」と胸を張ります。

 貼り紙は約1週間でなくなっていました。「ありがとうございました」と最後に記されていた貼り紙のやさしさに、「お陰さまで清々(すがすが)しい気持ち」。夫妻もやさしくつぶやきました。

閉店した魚屋のシャッターに張られた粋な感謝状「倖わせな味でした」
前へ
「とても悲しいです」閉店を惜しむ声が直筆で書かれた貼り紙
次へ
1/7
前へ
次へ

リクエスト募集中

あなたの質問疑問をwithnews編集部が取材します。ログイン不要、10秒で入力。

リクエストを書く

あわせて読みたい

「カラスを食べる」に秘められた想いを聞いてみた
「カラスを食べる」に秘められた想いを聞いてみた
NEW
水木しげる聖地に登場した「砂かけ婆の砂」→...
水木しげる聖地に登場した「砂かけ婆の砂」→...
「産まない生き方」論争に感じた違和感 アフロ記者が考える「自立」
「産まない生き方」論争に感じた違和感 アフロ記者が考える「自立」
最近、夕飯の味に違和感が・・・それ、後妻業に狙われているかも!?
最近、夕飯の味に違和感が・・・それ、後妻業に狙われているかも!?
PR
マタニティマークつけたら…「ただのデブだろ」と言われて考えたこと
マタニティマークつけたら…「ただのデブだろ」と言われて考えたこと
高齢出産は“恥”なのか?ママ友に言われた言葉から、子育てを考える
高齢出産は“恥”なのか?ママ友に言われた言葉から、子育てを考える
ガチャ確率公開、各社の対応は? 2強メーカー「予定なし」の理由
ガチャ確率公開、各社の対応は? 2強メーカー「予定なし」の理由
母にあげた「何でも券」、10数年後に息子の元へ 意外な使い道に感動
母にあげた「何でも券」、10数年後に息子の元へ 意外な使い道に感動
人口6700人、山奥の喫茶店に1日100人が訪れ...
人口6700人、山奥の喫茶店に1日100人が訪れ...
バレーの熱狂的応援、変じゃね? DJ絶叫、負けても「やばい超最高」
バレーの熱狂的応援、変じゃね? DJ絶叫、負けても「やばい超最高」
担々麺を「汁あり」に変えた、伝説の料理人 本場中国にも逆輸入
担々麺を「汁あり」に変えた、伝説の料理人 本場中国にも逆輸入
NEW
投票率85%「明るい選挙の村」の秘密 立ちはだかる18歳選挙権
投票率85%「明るい選挙の村」の秘密 立ちはだかる18歳選挙権
NEW
Ads by Google
Ads by Google

人気

  • 東京書籍提供

    銭湯・ぜんざい・タマゴサンド…東西でこんなに違う? 比較本が人気

    • 30174

  • AVに映像流出 実名アナが「お金にならない」体験談を語り続ける理由

    • 24705
  • @ccchisa76

    3秒で笑顔!無重力猫ミルコ どうやって撮影?飼い主に聞いてみた

    • 13528
  • Conobie

    夫婦のスレ違いを生む「察してコミュニケーション」してませんか?

    • 3391

  • 投票率85%「明るい選挙の村」の秘密 立ちはだかる18歳選挙権

    • 870

もっと見る