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清原容疑者「覚醒剤打たずにホームラン打とう」 警察ポスターに!

覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕された清原和博容疑者はかつて、警察の啓発ポスターに登場していました。「覚醒剤打たずにホームラン打とう」

西武ライオンズ時代、入団当初から中心選手として活躍した=1993年3月14日
西武ライオンズ時代、入団当初から中心選手として活躍した=1993年3月14日 出典: 朝日新聞

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 日本中に衝撃が走った、プロ野球界スターの逮捕劇。覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕された清原和博容疑者はかつて、警察の啓発ポスターに登場していました。「覚醒剤打たずにホームラン打とう」。このコピーに〝あの人〟がかみついた経緯もありました。

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警察の「迷コピー」

 「ああ、確かに貼ってあるのを見ましたわ」。そう話すのは在阪のコピーライターなどで構成する「大阪コピーライターズ・クラブ」(OCC)会長の坂口二郎さん。20~30年前にどこかの駅の改札前で見かけた警察ポスターには清原容疑者のフルスイングの写真が掲載され、その下には「覚醒剤打たずにホームラン打とう」の文字。

 坂口さんはこのポスターを見たときの感想をこう振り返ります。「めちゃくちゃやなあ、と。誰に訴求してるのか分からんですよね。『ホームラン打とう』と言われても、普通の人はホームランを打つなんてないじゃないですか。子どもに覚醒剤打つなと言うてんのかなと…」

 大阪市内で広告会社を経営するコピーライターの西澤洋一さんも、「広告作品を掲載した年鑑で見たような気がしますね」と話しています。「『名コピーか』と言われると、どっちかと言えば『迷コピー』でしょう。ただ、えっ!とはなりますね。それがどこまでこのポスターの役割を果たすのかはわからないですが、ようこんなん作ったなあとは思いますよね」

引退セレモニーで「とんぼ」を熱唱する長渕剛さんと清原和博選手=2008年10月1日
引退セレモニーで「とんぼ」を熱唱する長渕剛さんと清原和博選手=2008年10月1日 出典: 朝日新聞

中島らもさん「むらむらと怒りが」

 ところで、このポスターについて、登場から数年後に朝日新聞の紙面上で紹介したのが、広告プランナーやコピーライターとしても活躍した一面がある作家の中島らもさん(1952―2004)。中島さんは当時、朝日新聞で「明るい悩み相談室」を連載していました。

 1993年7月23日付の朝刊。「糖尿病を予防し、麻薬を撲滅して明るい社会にしましょう」と書かれた啓発ポスターに疑問を感じた相談者にこう回答しました。

 思わず、何年も前の大阪府警の名コピーをまた思い出してしまいました。清原がバットをスイングしている写真の下に
 「覚醒(かくせい)剤うたずにホームランうとう」
 このポスターにはずいぶん苦情が寄せられたらしく、その大半は、
 「これでは清原がシャブ(覚醒剤)をうっているような印象を与える」
 といったものだったそうです。ちなみに、
 「この表現ではわしらシャブ中(覚醒剤中毒者)が、野球をやっているような印象を与える」
 という苦情は、たぶん、一通もなかったと思います。
1993年7月23日:なぜ糖尿病予防=明るい社会(明るい悩み相談室) :朝日新聞紙面から
中島らもさん=1984年
中島らもさん=1984年 出典: 朝日新聞
 当時、僕はコピーライターでしたので、新聞社からこのコピーについてコメントを求められました。で、まず訊(き)いたのは、そのコピーは誰が書いたんですか、ということでした。聞けば、やはりプロのコピーライターではなくて、大阪府警で署内募集したコピーだったのです。
1993年7月23日:なぜ糖尿病予防=明るい社会(明るい悩み相談室) :朝日新聞紙面から

 中島さんはこう続けています。

 一瞬ほっとしました。プロが書いたものではなかった。しかし、次にむらむらと怒りがこみあげてきた。要するにプロのコピーライターが、「ふれ愛なんとか」みたいな百年前のダジャレで金を取ってるからいけないわけです。そのせいで府警の人は広告とはそうあるべきものだ、と勘違いしてしまった。
 でも、いったいどこの誰がそのポスターを見て、
 「あ。わし、シャブやめよ」
 と思うでしょうか。
1993年7月23日:なぜ糖尿病予防=明るい社会(明るい悩み相談室) :朝日新聞紙面から
1993年7月23日付の朝日新聞朝刊に掲載された「明るい悩み相談室」
1993年7月23日付の朝日新聞朝刊に掲載された「明るい悩み相談室」

 ちなみにこのポスター、どこかに現物が残っていないでしょうか。OCC会長の坂口さんは「もちろん当時はデジタルのデータベースがありませんでした。しかも警察が作った物なので、出てきにくいでしょう。ほかのポスターであれば制作者が保存しているというのはあるんでしょうが…」

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