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水木しげるさんお別れ会の「妖怪ケータリング」完成度高すぎて話題に
「水木しげるサン お別れの会」で登場したユニークな花の装飾・料理をすべて紹介します。
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「水木しげるサン お別れの会」で登場したユニークな花の装飾・料理をすべて紹介します。
昨年、93歳で死去した漫画家の水木しげるさん。1月31日に東京都港区であった「水木しげるサン お別れの会」には著名人やファンら約8千人が参列しました。このお別れ会で「水木サンへの愛がすごい」などと注目を浴びているのが、花の装飾と関係者にふるまわれた料理。会の発起人や、装花などを手がけた業者にはどのような思いがあったのでしょうか。
祭壇には花で丸い輪が作られ、「ゲゲゲの鬼太郎」「悪魔くん」「河童(かっぱ)の三平」などのパネルを背景に、ほほえむ水木さんの遺影が飾られていました。祭壇をデザインしたのは、会の発起人の作家・京極夏彦さん。丸い輪を描いた理由をこう語ります。
「水木しげるの世界で、此岸(しがん)と彼岸は地続き。先生は愛すべきキャラクターたちと輪の向こう側にいらっしゃる。しかし今、輪は開いている。私たちの思いが、向こう側に伝わりますように」
祭壇の横手には「妖怪ポスト」を設置。水木さん宛ての手紙やイラストを手にした弔問者で長い列ができました。
故人を偲ぶ会なのに、どこかユーモラスだったお別れ会。特に話題を呼んでいるのは参列者が胸に付けたコサージュと、妖怪キャラクターがたくさん登場した料理です。
「目玉おやじコサージュ」は白目の部分が洋菊の「ピンポンマム」で作られています。グリーンの部分にはユーカリの葉などが使われています。
会場とは別に設けられた食事会場で、水木さんと親交のあった人たちに振る舞われた料理を見てみましょう。
料理が並べられたテーブルの上にもピンポンマムの目玉おやじ。こちらはデルフィニウムという青い花に浸かっています。もちろん目玉おやじが大好きな「茶碗風呂」をイメージしたものです。
「ぬりかべ風サンドウィッチ」は黒ゴマを練り込んだパンに、チーズで目を描きました。
「目玉おやじ風軍艦」はかまぼことカニかま、ノリで目を作りました。「一反木綿風イカにぎり」は一反木綿そっくりの形にイカを切り、目はゴマで。
「ゲゲゲの煮物盛り合わせ」もとても凝ったメニューです。かぼちゃ煮やごぼう煮、里芋煮で、ちゃんちゃんこやねずみ男、目玉おやじを再現。コンニャクで作ったぬりかべも添えられています。
そしてデザート。「傘化け風カットりんご」は目の部分にチョコレートを使いました。
ケーキは「目玉おやじ風マカロン」と「ゲ」の一文字が描かれた「ゲゲゲミニショートケーキ」。そして「悪魔くん風サヴァラン(焼き菓子)」です。サヴァランは、渦巻いた悪魔くんの髪の毛をチョコレートのデコレーションで形作りました。
京極さんのデザインのもと、装花を手がけたのは日比谷花壇。料理もケータリング会社と協議しながらコーディネートしました。
日比谷花壇の金澤和央さんは「水木さんのファンの方を大事にしたいということから、ファンの方に少しでも笑顔が生まれるような心配りが溢れる会にしようというのが発起人の方々の思いでした。それだったら、例えばコサージュなら普通のバラとかではなくもっと面白い方がいいのではと。みんなでアイデアを出し合い、かなり時間をかけて準備しました」と話しています。
スタッフの中には「鬼太郎ファン」も多くいたそうで、次々に面白いアイデアが寄せられたそうです。花の装飾や料理がSNSなどで話題になっていることについて、金澤さんはこう言います。
「水木さんがいたずら心が溢れる方だとも聞いていたので、『いたずら』をちりばめることができたらと個人的に思っていました。参列された方がいつまでも『あの時にこんな面白いことがあったね』なんて話題に上るのが、一番求められていた姿なのかなと思ったので、うれしいです」
発起人代表の作家の荒俣宏さんは、「絶滅しかけていた妖怪を現代によみがえらせたことは最大の功績。ご本人にとって学歴などはどうでもよく、唯一の問題は戦争で左手を失ったことだったが、水木さんほどポジティブに戦争体験を語られる方を知らない」と水木さんの型破りな人柄を懐かしんでいました。
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