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初運転の助手席は…教習所の先生! 自動車学校、秀逸ポスターの理由
ある自動車学校が制作したポスターが話題になっています
東京・神奈川に5校を展開している「コヤマドライビングスクール」。そんな自動車学校が制作したポスターが話題になっています。「はじめての運転。助手席に誰を乗せたいですか? 恋人? 家族? 友だち? 残念ですが…それ…教習所の先生です」。実はこの学校、年4回のペースでポスターを発表しているのですが、毎回凝ったポスターを作っています。そこには女性副社長のこだわりがありました。
初めてのポスターが作られたのは1985年。以来30年にわたって続けられているそうで、ホームページでは過去のポスターも見ることができます。
「恋と言われ、愛に行く」
「恋のエンジンもかかった」
「車がないと輝かない」(輝から車の部分を抜いた絵とともに)
「歩きはつらいよ」(寅さん風に)
「みちとの遭遇」(未知?道?)
「卒業までに卒業しよう」(学校を卒業するまでに自動車学校を?)
これらのポスターをつくっているのは、東京都港区にある広告デザイン会社「アイム」。実はこの会社の社長である長井和子さん(68)は、コヤマドライビングスクールの副社長でもあります。
長井さんは大学卒業とほぼ同時に結婚。34歳でコピーライターとして仕事を始め、40歳で東京コピーライターズクラブの新人賞を受けました。その経験を生かして1989年に、女性のためのビジネススクール「アイムパーソナルカレッジ」も立ち上げています。
そんな長井さんにポスターへのこだわりについて聞きました。
――毎回こだわったポスターですが、きっかけを教えて下さい
「30年ほど前に、経営手法としてCI(コーポレート・アイデンティティー)を取り入れたことです。それまでの『クライ・コワイ・ダサイ』と三重苦だった教習所のイメージを逆にして「明るく・楽しく・おしゃれな」教習所を目指して、すべてのイメージを統一することからスタートしました。ポスターに代表される広告やノベルティーだけでなく、校舎・内装・教習車・送迎バス・ユニフォーム・イベントそしてインストラクターのマナーに至るまで、すべてです」
――年に何回、新作ポスターを発表しているのですか
「駅張りのポスターは季節ごとに年4回、首都圏を中心に2週間ずつ掲出しています」
――これまでで一番の自信作を教えて下さい
「ほとんどすべてです。ただ、記念作品と言えば、東京コピーライターズクラブの新人賞を受賞した『18過ぎてもまだの人』『18の時と答えた人39%』『卒業したい18才』の18歳シリーズでしょうか。1985年当時に流行っていた『セーラー服と機関銃』のイメージをビジュアルに採り入れるなどしました」
(※39%は当時入校した人に占める18歳の割合。「卒業」は、教習所や学校、その他いろいろなものからの卒業を意味しているそうです)
――ポスターを作る上で気をつけていることや心がけている点を教えて下さい
「17歳の女子高生をイメージリーダーとして意識しています。女の子が『カワイイ!』『オモシロイ!』と言ってくれるポスターで『コヤマファン』を増やすこと。女の子が集まる教習所なら、男の子は黙っていてもついてきてくれるので」
――反響が実際のお客さんに結びついているのでしょうか
「30年来続けてきたイメージの蓄積は大きいと思います。二子玉川校は卒業生数が5年連続日本一の座をキープしています」
――今後の展開についておしえてください
「30年続けているCIを大切にしていくこと。外向きのCIはCS(顧客満足)を生み、内向きのCIはES(社員満足)につながります。時代にフィットする、若さのあるチャレンジを続けていきたいと思います」
――ポスターで、ここに注目してほしい、という点があれば教えて下さい
「『あるあるネタ』から『胸キュンネタ』まで、自由に楽しく作っているので、自由に楽しんで観賞してもらえればうれしいです」
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