MENU CLOSE

IT・科学

45年前の「未来予想図」けっこう的中 マイナンバーにネット通販

文科省による未来に実現する時期を予測する調査「科学技術予測調査」。第1回の調査があった45年前に予測され、実際に実現された技術がけっこうありました。

未来都市が再現された大阪万博の会場=1970年8月27日
未来都市が再現された大阪万博の会場=1970年8月27日 出典: 朝日新聞

目次

 文部科学省による未来に実現する時期を予測する「科学技術予測調査」。4千人の科学者の回答をもとに5年ごとに発表されており、現在は10回目まで公開されています。実は第1回の調査があった45年前、すでにマイナンバー制度や、楽天・アマゾンのようなネット通販サービスの実現が予測されていました。

【PR】手話ってすごい!小学生のころの原体験から大学生で手話通訳士に合格

マイナンバーは「1984年に実現」

 「科学技術予測調査」は、これまでに10回、発表されています。第1回は、今から45年前の1971年でした。

 当時すでに、現在使われている技術の実現が予測されていました。

 2016年1月から使われはじめたマイナンバー(社会保障・税番号)制度を連想させる「徴税事務が一本化され、総合徴税システムが確立」は1971年調査で、社会的に実現するのが1984年と予測されていました。

マイナンバー制度の「個人番号カード」の交付が始まった区役所のカウンター=2016年1月8日、東京都板橋区、金川雄策撮影
マイナンバー制度の「個人番号カード」の交付が始まった区役所のカウンター=2016年1月8日、東京都板橋区、金川雄策撮影 出典: 朝日新聞
日本に住む一人ひとりにつけられた12桁のマイナンバー(社会保障・税番号)が、1月から市役所などで使われています。中旬からは、顔写真つきの「個人番号カード」の発行も始まります。
2016年1月6日:(教えて!続マイナンバー:1)社会保障や納税で提示:朝日新聞紙面から

ネット通販?予測は1987年、実現は…

 「テレビ電話、テレックスなどの開発で在宅のまま買い物ができる」は、1987年の予測です。実際には、三木谷浩史氏が1997年2月にエム・ディー・エム(現楽天)を設立しています。アマゾンは2000年11月に日本に進出しました。

 2015年調査では、「サッカーなどのスポーツで人間の代わりに審判をする人工知能」(2022年)、「胎児の成育を可能にする人工子宮」(2040年)などが予測されています。

三木谷浩史氏=2013年5月22日
三木谷浩史氏=2013年5月22日 出典: 朝日新聞
書籍を中心としたインターネット小売り最大手の米アマゾン・ドット・コム(本社・シアトル)は1日、日本語サイト(amazon.co.jp)を開設したと発表した。
2000年11月2日:書籍ネット直販の米アマゾンが日本語サイトを開設:朝日新聞紙面から
三木谷浩史=電子モール「楽天市場」を運営する楽天の社長。日本興業銀行時代の93年に米ハーバード大でMBA取得。95年に興銀を退職、97年2月エム・ディー・エム(現楽天)を設立。
1999年10月9日:「デジタル経営者」集う 東京・渋谷「ビットバレー」:朝日新聞紙面から

先送りされ続けている技術も

 実現できていない技術もあります。その筆頭が地震の予知です。1971年の調査では「1カ月程度以内の地震(M6以上)発生の有無を府県程度の範囲で予知」が技術的に実現するのは1996年としていましたが、先送りを繰り返してきました。

 2015年調査では「M7以上の地震の発生時期(1年以内)、規模、地域の予測」とハードルを下げたうえで、実現は2030年になっています。

ナマズによる地震予知の研究に取り組む東京都水産試験場の職員=1977年7月13日
ナマズによる地震予知の研究に取り組む東京都水産試験場の職員=1977年7月13日 出典: 朝日新聞
典型の一つが地震予知。71年調査は「1カ月程度以内の地震(M6以上)発生の有無を府県程度の範囲で予知」が技術的に実現するのが96年としていたが、難しさがわかってきて予測は先になり続けている。15年調査は「M7以上の地震の発生時期(1年以内)、規模、地域の予測」までハードルを下げたのに実現が30年になっている。
2016年1月21日:「知」を結集、未来の技術予測 第10回文科省調査:朝日新聞紙面から

どうやって予測?

 調査方法は少し変わっています。専門家の意見や議論をもとに選んだ項目について、実現時期や重要度、実現可能性などを、さらに多くの専門家にアンケートで尋ね、回答をまとめたものを示して再び答えてもらっています。

 何度も繰り返してアンケートをすることで、専門家たちの平均的な見解に近づけています。1970~80年代は、他社や他業種の開発動向を探るため、幅広い分野の予測がチェックされていたそうです。

 最新の2015年調査は、日本の強みを探る視点でも分析されました。国際的に弱い情報技術を、得意とするモノ作りと組み合わせれば、医療や福祉、産業の分野で主導権を発揮する狙いもあるようです。

未来科学技術年表
未来科学技術年表 出典: 朝日新聞
調査は、極端な予測を減らし、確度をあげる「デルファイ法」で行われている。専門家の意見や議論をもとに選んだ項目について、実現時期や重要度、実現可能性などをさらに多くの専門家にアンケートで尋ね、回答をまとめたものを示して再び答えてもらう。くり返すことで専門家の平均的な見解に近づく。
「知」を結集、未来の技術予測 第10回文科省調査
70~80年代は産業界も注目。他社や他業種の開発動向を探るため、幅広い分野の予測がチェックされていたという。15年調査は、日本の強みを探る視点でも分析された。国際的に弱い情報技術を、得意とするモノ作りと組み合わせれば、医療や福祉、産業の分野で主導権を発揮できるという。
「知」を結集、未来の技術予測 第10回文科省調査

関連記事

PICKUP PR

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます