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壇蜜が語った『第三の性』 「自分を、変じゃないって言えますか?」

テレビ番組の企画でメキシコを旅した、タレントの壇蜜さん。ある街で「第三の性」を生きる人々と出会い、日本社会との性的マイノリティの生き方の違いについて考えたそうです。

インタビューを受ける壇蜜さん=竹谷俊之撮影
インタビューを受ける壇蜜さん=竹谷俊之撮影

目次

 メキシコで男でも女でもない「ムシェ」とよばれる「第三の性」を生きる人々と出会った壇蜜さん。現地での交流を通し「自分を『変じゃない』って言えますか?」と疑問を投げかけます。知人の死をきっかけに、遺体衛生保全士を目指して専門学校に通っていたという異色の経歴を持つ壇蜜さんに、性的マイノリティについての考えや自身の死生観を聞きました。

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「第三の性」を生きる人々、ムシェ

――メキシコではどういう場所に行きましたか?

 メキシコシティとメリダ州、オアハカ州で、教会や市場、遺跡などを訪ねました。あちこちを移動しながら、風土や気候を感じました。「死とエロス」はどこからやってきたのかを、歴史から少しずつ探る旅でした。

――オアハカ州のフチタンという街で「ムシェ」という人たちに会ったと聞きましたが、どういう人たちでしたか?

 「ムシェ」は男性として生まれるのですが、自分がムシェであることを悟り、10代ぐらいから女装してパーティーに出るようになります。被服や美容の仕事などの職を手につけ、自立するという生活スタイルを選ぶ人たちです。

――フチタンでは、ムシェの人々の存在は受け入れられているのでしょうか?

 美容や被服の面で、ムシェが重要な立ち位置にいるんだろうなと感じました。信頼され、社会に貢献しているという歴史があるのだと思います。

ムシェのダリナさん(30歳、右)と壇蜜さん
ムシェのダリナさん(30歳、右)と壇蜜さん 出典: NHK提供

「愛のかたちは多様化していく」

――日本では、海老名市議の同性愛批判ツイートのように、性的マイノリティへの偏見がまだまだ強いですが、日本とフチタンを比べてどう思われましたか?

 フチタンでは、昔からある風習だから、という考え方でムシェの人たちが受け入れられています。日本の場合は、誤解されたり、うがった見方でとらえられたりしているだけ。この先もっと年月が経てば、愛のかたち、家族のかたちはどんどん多様化していくと思いますし、受け入れるようなベースができてくると思います。

――メキシコでの交流はテレビ番組で放送される予定です。番組をきっかけに、理解が深まるといいですね。

 そうあってほしいですね。こういう人たちを「変だ」と言う前に、向き合う勇気が必要です。自分を「変じゃない」って言えますか?というところを、感じてもらいたいです。フチタンのムシェは、キリスト教のミサにも参加することができます。絶対にだめなことって、世の中に少ないんじゃないか、と思った瞬間でした。

ロルトゥン遺跡の前で(ユカタン州メリダ)
ロルトゥン遺跡の前で(ユカタン州メリダ) 出典: NHK提供

「自分がまた少し好きになった一年」

――壇蜜さん自身の「死」への考え方は、メキシコへの旅を経て変化しましたか?

 何千年も続いた文明にくらべれば、私たちが100年も生きられないのは皮肉なものです。でも「今しかできない」という言葉に惑わされないようにしようと思っています。焦って色々なことをやって、結局自分の伸びしろを削ってしまうのは罠だと思うので。「今しかできない」という前置きを疑うようにしたいです。

――「死とエロス」の番組が放送されるのは年末(12月29日)の予定ですが、壇蜜さんの2015年はどういう一年でしたか?

 あっという間、とは言いがたい一年でしたね。あっという間と言えるのは、充実している人です。ただ今年もやっと終わったか、と言えるくらいにはやることが多かったので、消費されるタレントとしてはありがたいことだったと思います。「あっという間の一年でした」と言えない自分が、また少し好きになった一年でした。私、ひねくれてるんです(笑)

     ◇

 壇蜜さんが出演する「壇蜜 死とエロスの旅 マヤ・アステカ」は12月29日(火)21時から、NHK-BSプレミアムにて放送予定です。

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