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ノーベル物理学賞の梶田隆章さんが研究 スーパーカミオカンデとは?

ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章さん。研究の舞台「スーパーカミオカンデ」とはどのような施設なのでしょうか?

光電子増倍管の修復作業が終わり報道陣に公開されたスーパーカミオカンデ=7日午後、岐阜県飛騨市神岡町で、2006年4月7日
光電子増倍管の修復作業が終わり報道陣に公開されたスーパーカミオカンデ=7日午後、岐阜県飛騨市神岡町で、2006年4月7日 出典: 朝日新聞

目次

 ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章さん。研究の舞台は、宇宙素粒子観測装置「スーパーカミオカンデ」でした。1998年、梶田さんが岐阜県高山市であった国際学会で「ニュートリノ振動」の観測を発表。当時のクリントン米大統領が、翌日の演説で引用するほどのインパクトを与え、世界中に「スーパーカミオカンデ」の名前を知らしめました。約90億円をかけて生まれた「スーパーカミオカンデ」とは、どのような施設なのでしょうか?

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1995年に完成、総工費90億円

 「スーパーカミオカンデ」は1991年12月に着工。総工費約90億円をかけて、岐阜県飛驒市に1995年に完成しました。

 研究対象のニュートリノは宇宙のかなたから大量にやってきて、この瞬間も私たちの体に何の影響も与えず、毎秒に兆のオーダーの数が通り抜けています。装置は他の宇宙線にできるだけじゃまされないように、亜鉛採掘中の神岡鉱山茂住坑の一部を借り、東京大学宇宙線研究所が建設しました。

地下に用意された5万トンの水

 物質を分子や原子と細かく分けていった最小のものが「素粒子」です。「ニュートリノ」は観測するのがとても難しく、質量があるかどうかすら分かりませんでした。ニュートリノがどれだけ重いのかは、宇宙が今後膨張し続けるのか、それとも収縮するのかにかかわってきます。

 ニュートリノは、固い岩盤や人の体もすべて通り抜けるが、水の中を通り抜ける時、ごくわずかに光ります。不純物を取り除いた水「純水」が5万トン詰まった水槽を、余分な物質が届かない地下1000メートルの地底に造り、この光を拡大して観測しています。

 上空から飛来する素粒子ニュートリノがまれに、水分子と衝突したときに出る光を、約1万1千個のセンサーでとらえます。モニターには、衝突でできる光のリングの模様が刻々と映し出されます。

地底から出てこない研究者も

 以前は1日3交代で24時間、コンピューターの画面を監視。今は、地上の研究施設でも画面が見られるようになりました。

 地底には仮眠用のベッドや台所も備わっていますが、ほとんどが神岡町内や隣の富山県のアパートで生活しています。地底の部屋では、機器類が正しく動いているかなどを2時間に1度確認して、あとは各自の研究をしています。地底のほうが落ち着く研究者と、だめな研究者とに分かれるそうです。

ノーベル賞2人も輩出

 1998年、ニュートリノが3種類の姿に変身する「ニュートリノ振動」がスーパーカミオカンデで観測されます。ニュートリノに質量があることを初めて示し、物理の理論を塗り替えました。

 当時、解析の責任者だった梶田さんが岐阜県県高山市での国際学会で報告すると会場は大いにわき、クリントン米大統領も翌日の演説で「発見は研究室にとどまらず、社会全体に影響を与えるもの」などと取り上げました。

 2002年、前身施設「カミオカンデ」での小柴昌俊さんがノーベル物理学賞に選ばれています。「カミオカンデ」「スーパーカミオカンデ」は、文字どおり、世界の宇宙線のトップレベルの研究施設なのです。

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