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2015年08月03日

『VOW』懐かしむ声、相次ぐ 月刊「宝島」お家芸だった路線変更

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左から80年代、90年代、00年代の「宝島」の表紙

左から80年代、90年代、00年代の「宝島」の表紙

出典: 朝日新聞

 休刊が発表された月刊「宝島」。ヌード、ビジネス、アングラと、次々と路線を変更してきた珍しい存在でした。時代の変化に敏感に反応した「転向」でしたが、「定期雑誌という形では役割を終えた」として歴史にひとまず終止符を打ちます。「VOW」を生んだサブカル誌でもあった月刊「宝島」の休刊には、ネット上では「VOW好きなのに残念」「VOWのころよく読んでたなー」など、当時を懐かしむ声が寄せられています。

責任編集者は植草甚一氏だった

 1974年創刊の月刊「宝島」。前身は「ワンダーランド」という雑誌で、責任編集者はエッセイストの植草甚一氏(1908~1979)でした。植草氏は、映画、音楽、文学評論など多方面で活躍し、1970年代の若者文化に革新的な影響を与えた人物として知られます。「ワンダーランド」は、アメリカ文化を紹介し、大小の記事を詰め込んだカタログ雑誌のつくりで、「シティー・ボーイ」という言葉をいち早く使い出した雑誌と言われています。

エッセイストの植草甚一氏=1975年12月20日

エッセイストの植草甚一氏=1975年12月20日

出典: 朝日新聞

66年「週刊プレイボーイ」創刊
68年「少年ジャンプ」創刊
70年「アンアン」創刊
72年「ロッキング・オン」「ぴあ」創刊
73年「宝島」の前身「ワンダーランド」創刊
76年「ポパイ」創刊
80年「ブルータス」創刊
88年「平凡パンチ」休刊

出典: 2014年8月23日:(あのとき・それから)昭和39年 平凡パンチ創刊 日本男児を変えた「バイブル」

ポパイに先立つこと3年、ワンダーランドは1973年に晶文社から創刊された。誌名は3号目から「宝島」になり、後に出版社も内容も変転して今に至るのだが、初期はサブカルチャーてんこ盛りだった。サブカルチャー自体が新しかったのである。もともと「ローリングストーン」誌の日本版を出そうと始まった話だった。67年にサンフランシスコで創刊されたこの雑誌、当時はタブロイド新聞型で、西海岸から若者文化の最先端を伝えていた。ワンダーランド―宝島は、アメリカ文化を紹介し、大小の記事を詰め込んだカタログ雑誌のつくりで、「シティー・ボーイ」という言葉もポパイに先んじて使った。

出典: 2012年4月20日:(ニッポン人脈記)あの頃、アメリカ:13 雑誌にリアルを探して

「へんなもの」集めた「VOW」

 月刊「宝島」の看板企画の一つが「VOW」です。読者から送られてくる街中の広告、新聞記事などから見つけた「世の中のへんなもの」を紹介する投稿企画です。1989年からは単行本も出版もされており、根強い人気を誇っています。

 色んなバリエーションの「VOW」が生まれました。1997年7月には、名古屋をテーマに、町中にしゃちほこをかたどったものがあふれている様子をからかった「VOWだがね!!」が出版されました。2008年に出た「VOW王国 ヘンな新聞」では、阪神タイガースのバース選手がスピード違反容疑で逮捕された時の見出し「球も飛バース 車も飛バース」など、くすりと笑ってしまうネタが紹介されていました。

 ネット上ではVOWに親しんだ人たちから、ツイッターなどで「VOWは愛読してた。少なからず影響は受けてる」「密かな楽しみだったVOWが読めないのは寂しいなぁ」などの声が相次いで投稿されました。

「VOW王国 ヘンな新聞」

「VOW王国 ヘンな新聞」




VOWは雑誌「宝島」の投稿欄。看板、広告、新聞記事などから見つけた「世の中のへんなもの」が、切り抜きや写真などと共に送られてくる。一九八九年に一巻目が出て、今七巻。累計二百五十万部。「投稿者は中学生から六十代。世の中をおもしろがる精神は不滅です」と版元。

出典: 1996年3月4日:宝島編集部編 本家「VOW」シリーズ(ロングセラー)

二〇〇五年万博の誘致が成功しても名古屋は依然としてジョークタウン(冗談の的になる町)だった! 東京都千代田区の出版社・宝島社が今月、名古屋の街角で見つけた変な光景や看板などを集めた本を出版した。題名は名古屋弁もまじえ、「VOWだがね!!」。町中にしゃちほこをかたどったものがあふれている様子をからかい、やっとの思いで誘致した万博もジョークの対象にしている。数々の「名古屋本」で、けなされることには慣れている名古屋人。さて、今回は?

出典: 1997年7月27日:名古屋のズレた感覚また本に 宝島社「VOWだがね!!」出版

サブカル→ヌード→ビジネス→アングラ

 植草甚一氏の「シティー・ボーイ」路線から始まった月刊「宝島」でしたが、その後、次々と編集方針は「転向」を繰り返します。植草氏ら、スタート時のメンバーが入れ替わると西海岸風のカウンターカルチャー路線に。「マリファナ特集」などで熱狂的なファンをつかみます。

 1980年代は、日本のロックとファッション中心の構成で、より若い読者向けに方向転換、サブカルチャー全盛期の一翼を担います。しかし音楽やファッションの専門誌が同社から別に創刊されたため、1990年代以降の売りはヘアヌードに切り替わります。

 2000年代、今度は硬派のビジネス誌に生まれ変わります。2003年3月、日経新聞に「あの『宝島』が最先端のビジネス情報誌になるなんて」というコピーの全面広告が載りました。高杉純一編集長は当時の取材に対し「よい仕事をしたい、と前向きに情熱を注いでいる人たちは、実はとても多い。まっとうなビジネスマンに本当の実利を提供する誌面が目標」と話していました。

 そして休刊が決まった2010年代、力を入れていたのがアングラ情報でした。2015年9月号の特集は、ずばり「裏業界10大ニュース」です。編集部からの紹介では「暴力団、ブラック企業、違法ドラッグ、新興宗教、JKビジネスなど裏業界のビッグニュースをその道の専門家が選定・解説しています」とアピールしていました。

 今回、宝島社は月刊「宝島」と同時に、ストリートファッション誌「CUTiE(キューティ)」の休刊も発表しました。同社は「どちらの雑誌も時代の新しい価値観を提供してきたが、定期雑誌という形では役割を終えた」としています。

まるでVOW! ヒバゴン・縁切り神社…愛すべき不思議な原風景
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「ヒバゴン」の看板=広島県庄原市西城町
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出典:朝日新聞
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