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「おかあさん」呼びかけ失礼?「子どもいないのに」「親しみや尊敬」
テレビ番組などで、年配の人に「おかあさん」と呼ぶ場面。違和感を持つ人が少なくないようです。相手のタイプによって生まれるようです。
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テレビ番組などで、年配の人に「おかあさん」と呼ぶ場面。違和感を持つ人が少なくないようです。相手のタイプによって生まれるようです。
テレビ番組などで、年配の人に「おかあさん」「おとうさん」と呼ぶ場面。親しみを込めたつもりでも、違和感を持つ人が少なくないようです。「あなたの親じゃない」「子どもいないのに」という声がある一方、「親しみや尊敬を込めて呼んでいる」という意見も。この違い、相手のタイプによって生まれるようです。
2015年4月「『おかあさん』と呼ばないで」というタイトルで、朝日新聞の投稿欄に投書が載りました。
テレビ番組のタレントが一般の人に「おかあさん」「おとうさん」と呼びかける場面に「要は若く見えなくなった人に対する呼びかけ方」と指摘。「私が、そう呼びかけられたら確実に嫌だ」と問題提起しました。
投書では「名前を聞いてから、その名前で質問などをしていくべきだ」と提案しました。
投稿に対しては「確かに自分の親ではありませんが、親しみや尊敬を込めます。それが失礼にあたるなら、何とお呼びすればよいのでしょうか」という意見も。
散歩や買い物ですれ違う程度の人に対し「自分や子の名前を、簡単に話すのには抵抗があります」と反論。「妙案をお持ちの方がいたら、ぜひ教えていただきたいと思います」と呼びかけました。
子どもがいなかったり、独身だったりする人が当たり前にいる時代の変化を指摘する声もありました。50代で子どもがいない男性は「買い物をしていて店員さんに『おとうさん』と声をかけられると居心地が悪くなって、店を出たくなってしまう」と訴えました。
一方、理髪店で若い店員から「おとうさん」と呼ばれて「オレは君の親父(おやじ)じゃない」と怒鳴ったという人も。
専門家はどう見ているのでしょうか。「日本語は『空気』が決める」の著者で国立国語研究所准教授・石黒圭さんは「相手のタイプを知って」とアドバイスします。
石黒さんは、人間には「相手との距離を縮めて親しくなりたい」「相手を遠ざけて敬意を保ちたい」という二つの矛盾する欲求があると言います。「受け止めに違いが生まれるのは、どちらを重視するかが、人によって違うからです」
「大切なのは自分と相手のタイプを知ることです」と石黒さん。「自分らしさを損なわない範囲で、親しさ重視の相手には『おかあさん』のような親しい呼びかけで距離を縮め、敬意重視の相手には『○○さん』のような客観的な呼び方で距離をとると、良い人間関係が築けます」と話しています。
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