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お金と仕事

1粒1750円! 高級チョコはなぜ高いのか ちょっと驚くその理由

バレンタインデーが近づきチョコの季節になりました。ところで1粒1000円以上もする高級チョコは、なぜそんな値段なのでしょう?そこには深淵なるチョコの世界観がありました。

高級チョコとして人気のピエール・マルコリーニのチョコレート
高級チョコとして人気のピエール・マルコリーニのチョコレート 出典: 朝日新聞

 今年のバレンタインデーは土曜日。オフィスや学校は休みが多く、前日の13日に渡す人も多そうです。「義理」「本命」「自分用」とチョコの用途はさまざまですが、値段も1粒10円程度から1千円をこえる高級品まで、ずいぶん幅があります。同じチョコなのに、なぜこんなに価格が違うのでしょうか?

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ブルガリ:2粒3500円の “ルイ・エ・レイ(彼と彼女)” すでに品薄状態
ブルガリ:2粒3500円の “ルイ・エ・レイ(彼と彼女)” すでに品薄状態 出典:ブルガリ イル・チョコラートHP

植物油を入れるから安い?

 「土曜日のバレンタインデー」のため、都内の百貨店は例年よりも自分への「ご褒美チョコ」を売り込んでいます。しかし、そうした中でも高級チョコ売り場は盛況のよう。代表的メーカーのゴディバは5粒入りが2160円。高級宝飾ブランドのブルガリは、なんと2粒3500円です。ブルガリの広報担当者は「1粒でいえば、うちが一番高いと自負しております」と胸を張ります。

 価格の差はなぜ生まれるのか。一つの説として、「普通のチョコはカカオバターではなく、植物油が使われているから安い」という話があります。スーパーで売られている一般的な板チョコは、5~10%の植物油が含まれていることが多いそう。

 そのため、かつてベルギーやフランスなど“本場”のメーカーからは「日本のチョコは本物ではない」と指摘されたこともありました。

日本でロングセラーの板チョコの裏面には「植物油脂」の表示
日本でロングセラーの板チョコの裏面には「植物油脂」の表示

 日本では、なぜ植物油を入れるのでしょうか。日本チョコレート・ココア協会の平野清巳専務理事は次の2点を挙げます。

・「ふわっ」ととろけるような食感になる(日本人好み)
・日本は欧州の本場よりも高温多湿なので、カカオだけでは夏に溶けてしまう

 カカオ相場によっては、カカオバターを使った方が安くなることもあり、その場合は各メーカーが味に変化がないよう材料を微調整しているそうです。
 つまり、植物油は価格を抑えるためというよりも、「日本に合った味と品質のために」入れているんだそう。

輸送や生産コストの差?

 チョコレートのベースとなるカカオ豆の相場は季節や時期にもよりますが、1キロ350円程度だと言われています。平野専務理事は「高級チョコでも、豆そのものの価格に大差はないと思います」と話しています。高級チョコは次の2点において違いが出てくるようです。

・高級品=個人が少量のカカオ豆を買い付けに行き、飛行機で運ぶ。手作りで、こだわりの包装
・それ以外=大手メーカーが数千トンを買い付け、輸送は船。工場で大量生産

 つまり、価格を左右するのは原料よりも、製品化する過程での「こだわり」のようです。

幹にもなったカカオの実(左)割ると、白い果肉が見える=2012年2月20日、ガーナ
幹にもなったカカオの実(左)割ると、白い果肉が見える=2012年2月20日、ガーナ

ショコラティエが一粒ずつ手作り

 高級チョコのこだわりとは、どのようなものなのでしょうか。

 ブルガリの1粒1750円のチョコは、東京・ブルガリ銀座タワー8階にある工房で、専属のショコラティエ(チョコ職人)が一粒ずつ手作りしています。「ジュエリー同様の職人技に裏打ちされた最高級品」で、チョコレート・ジェムズ(宝石)と名付けられてます。

 原料に大きな違いはないとしても、微妙な差異にこだわる人もいます。ベルギーの著名なショコラティエ、ピエール・マルコリーニ氏は良い豆を求めて世界中を飛び回っているそう。その結果、板チョコ「タブレット オ レ」は2381円という値段になっています。

ピエール・マルコリーニさん
ピエール・マルコリーニさん
最大の特徴はカカオへのこだわりです。カカオ豆の仕入れルートの開拓、買付け、選別、調合、焙煎や精錬、すべてに至り自分の手で行っています
ピエール・マルコリーニHP
パトリック・ロジェにとって、チョコレートはアートだ。ロジェは、ローストしたナッツでつくるプラリネの魔術師と言われている。それを覆うチョコが厚すぎても薄すぎても、また、チョコの温度が1度違っても出せない絶妙な味わい。納得できるまで、ロジェは毎日、40~50個のチョコを食べるという
ショコラティエ/伝統と創造。変幻自在に織りなす技(動画あり) -- チョコを楽しむ -- 朝日新聞GLOBE

高級チョコは「アート」

 高級チョコは「宝石」「アート」。そう思えば、納得できるのかもしれません。メキシコ出身で、欧州の高級菓子店などに務めたチョコレート研究家のクロエ・ドゥートルルーセルさんは、こう語っています。

「自分に最も合うチョコを探すのは、音楽や美術の鑑賞と同じです。大量生産の『ハーシー』や『キャドバリー』を食べて育った人にとって、その風味は楽しい思い出とつながっています。慣れ親しんだ世界に、上質なチョコがもたらす新たな世界を加えればいいのです」

チョコレート研究家のクロエ・ドゥートルルーセルさん
チョコレート研究家のクロエ・ドゥートルルーセルさん
自分に最も合うチョコを探すのは、音楽や美術の鑑賞と同じです。
大量生産の「ハーシー」や「キャドバリー」を食べて育った人にとって、その風味は楽しい思い出とつながっています。慣れ親しんだ世界に、上質なチョコがもたらす新たな世界を加えればいいのです
チョコレートの、いま -- 朝日新聞GLOBE
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フォンダンショコラ セレクション(5粒入) 2,160円 (税込) 出典:GODIVA公式サイト

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