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2015年01月21日

ウェアラブル普及、法律の課題は?「判例ないのが実情」弁護士が解説

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ウェアラブルEXSPOで展示された日常生活や運動時の消費カロリーを計算する腕時計型端末(左)、長距離走やトライアスロンなどの時に着けるスポーツグラス型の端末

ウェアラブルEXSPOで展示された日常生活や運動時の消費カロリーを計算する腕時計型端末(左)、長距離走やトライアスロンなどの時に着けるスポーツグラス型の端末

出典: 朝日新聞


 注目を集めるウェアラブルですが、新しいサービスを考えている人、端末のユーザーにとっても、法律面での課題は気になるところです。カメラ内蔵の端末は、使い方によっては違法になる場合もあります。端末から集められた視線情報など膨大なデータの扱いも法整備が始まったばかり。今月開かれたウェアラブルEXPOでは、専門の弁護士によるセミナーに500人を超える人が参加し、関心の高さを示しました。

メガネ端末続々の一方、グーグルグラスは・・・

 ウェアラブルEXPOでは、メガネの産地、鯖江をはじめ、様々なメーカーがメガネ型端末を出品しました。その一方で、先行していたグーグルは、グーグルグラス(Google Glass)を一般販売する「Explorer Program」の終了を発表しました。グーグルグラスを巡っては、プライバシーの侵害など、様々な議論を巻き起こしました。グーグルは新たな計画に移行する予定ですが、内容次第では、さらなる物議を呼ぶ可能性もあります。

一般販売の終了が発表されたグーグルグラス

一般販売の終了が発表されたグーグルグラス

また、Googleは、人々にGlass技術に慣れ親しんでもらうことを目的とした「Explorer」プログラムを段階的に縮小し、米国時間1月19日にGlassの初期バージョンの販売を終了する。Glassの新バージョンは、2015年中にリリースされる予定。

出典:「Google Glass」、NestのT・ファデル氏の監督下に--「Explorer Program」は終了へ - CNET Japan

いったん中止になった大阪駅ビル顔認証実験

 ウェアラブルEXPOでは、セミナー「ウェアラブル時代の法整備とガイドライン策定」が開かれました。登壇したのは、プライバシーや個人情報に詳しい小林正啓弁護士です。

 小林弁護士は、プライバシーの権利について「法律的には、あいまいな部分がある」と指摘。事例として、2014年に起きた大阪駅ビルでの顔認証実験を紹介しました。JR大阪駅の駅ビルで、総務省外郭団体「情報通信研究機構(NICT)」が通行人を無差別にカメラで撮影して追跡するという実験計画は、反発の声が相次ぎ、いったん中止されました。最終的には第三者の検討委員会が条件付きで容認の提言をする事態になりました。

セミナーで講演する小林正啓弁護士

セミナーで講演する小林正啓弁護士

 小林弁護士は顔認証実験の検討会に参加した経験から「新しい技術が、公益目的という社会との接点を見つけ、実験が実施できるようになった」と解説。「路上の監視カメラも、法律上、厳密に解釈すれば違法になる部分もあるが、社会に受け入れられれば許容される」とし、メーカーやサービスの運営者が、新しい技術の有用性を社会に浸透させることの重要性を訴えました。

地下通路に設置された顔認証用カメラ=大阪市北区の大阪ステーションシティ(画像の一部を加工しています)=2014年1月

地下通路に設置された顔認証用カメラ=大阪市北区の大阪ステーションシティ(画像の一部を加工しています)=2014年1月

法整備は始まったばかり

 内閣官房IT総合戦略室が先月、開いた「パーソナルデータ検討会」では、個人情報保護法改正案の骨子が示されました。検討会では、匿名化の技術について「どのような個人情報も匿名化できる汎用的な技術はない」という結論に。技術面での限界は抱えたままというのが実情です。

 また、データの分析によって生まれた情報の取り扱いも課題になっています。複数のデータを組み合わせれば、一つ一つのデータだけではわからない個人の趣味や思想信条がわかってしまう場合もあります。検討会のメンバーの佐藤一郎・国立情報学研究所教授は「それらが売買され、本人の知らぬうちに異なる目的に活用され、権利を侵害されるおそれもある。その場合、将来は規制を考えた方がいい」と話しています。

「何を買ったか」「どこに行ったか」などの個人データの取り扱いを定めた個人情報保護法改正案が、次期通常国会に提出される。政府の成長戦略に沿い、ビッグデータのビジネス活用を進める狙いだ。情報技術の発達でデータを集めやすくなったが、プライバシー保護には技術的な限界がある。

出典:個人の特定、本当に防げる? ビッグデータ、商業利用へ改正法案:朝日新聞デジタル

長い規約を読まされ「同意」は有効?

 セミナーで小林弁護士は、ウェアラブル端末から集められる情報の扱いについても言及しました。例にあげたのは恋人の行動を記録するスマホアプリ「カレログ」です。小林弁護士は、恋人に「カレログ」をインストールするよう言われた人が、自分でスマホにアプリを入れた場合を想定。「やましいことをしていると思われたくないから断れない人もいる」とし、法律的には同意したと見なせない場合もあると解説しました。

 小林弁護士は、本人同意の有効性について「カレログと同じことは、ウェブサービスの規約が表示され最後に『同意』ボタンをクリックさせる場合でも当てはまる可能性がある」と指摘。「サービスを受けるには『同意』にクリックしなければいけない。そんな『同意』がどこまで有効なのか、今は明確な判例がない。何か事件が起きるたびに、第三者委のような場で議論しているのが現状」と述べました。

プライバシーの問題など論議を呼んだカレログの画面

プライバシーの問題など論議を呼んだカレログの画面

「嫌がる人への対応」が鍵

 ウェアラブル端末がネットとつながることで、位置情報や視線の動きなど、これまでにない種類の情報を集めることができます。それらの情報を使い、ある場所に近づいたら周辺のお店の広告が表示されるなど、ターゲティング広告と呼ばれる広告手法はますます発達する可能性があります。

 このターゲティング広告について小林弁護士は、1988年にあった地下鉄の車内広告を騒音にあたるとして訴えた「囚われの聴衆事件」と呼ばれる裁判を紹介。最終的に訴えは退けられましたが、最高裁で判事の1人から「心の静寂を乱されない権利を有する」という意見が出ました。この判例を踏まえ、「ターゲティング広告においても、嫌がる人には広告を非表示にするなど、すぐに対応できることが重要」と指摘しました。

【画像】いつの間にか「ハワイ」好きにされてしまう…ターゲティング広告の実例

【画像】いつの間にか「ハワイ」好きにされてしまう…ターゲティング広告の実例


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