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青酸カリ事件、小説で予言?練炭・心中…2014年おすすめ犯罪小説

 人間の本能や欲、異常な心理をさらけ出す犯罪は、昔から小説のテーマになってきました。2014年も、事実を超えて人間の真実に迫る小説が、性と金と情を描き出しました。収穫の6作です。

人間の性と金と情を描いた小説。実際の事件を想像させるものも…
人間の性と金と情を描いた小説。実際の事件を想像させるものも…

「事件=小説」

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 人間の本能や欲、異常な心理をさらけ出す犯罪は、昔から小説のテーマになってきました。2014年も、事実を超えて人間の真実に迫る小説が、性と金と情を描き出しました。収穫の6作です。

1 「後妻業」黒川博行=青酸カリ毒殺事件を予言?

黒川博行「後妻業」(文芸春秋)
黒川博行「後妻業」(文芸春秋) 出典:文芸春秋BOOKS

  再婚の代償が命だなんて・・・。金持ちの老人の後妻に収まり、遺産をせしめていく女。金の亡者たちの枯れない色欲と強欲のせめぎあいが、おぞましくもリアル。衝撃の末路にうなります。堂々の直木賞受賞後第1作。酷似する進行中の事件がどうなるのかも気になるところではあります。

【関連するとみられる事件】青酸カリ毒殺事件を予言?

夫を青酸カリで毒殺したとされる連続不審死事件。被害者の夫が倒れているのが見つかった住宅に家宅捜索に入る京都府警の捜査員=2014年11月20日、京都府向日市、戸村登撮影
夫を青酸カリで毒殺したとされる連続不審死事件。被害者の夫が倒れているのが見つかった住宅に家宅捜索に入る京都府警の捜査員=2014年11月20日、京都府向日市、戸村登撮影

2 「夜は終わらない」星野智幸=練炭連続殺人犯の心模様

星野智幸「夜は終わらない」(講談社)
星野智幸「夜は終わらない」(講談社) 出典:講談社BOOK倶楽部

 玲緒奈は、さえない男から金を巻き上げる婚活詐欺のプロフェッショナル。用済みになった男を自殺と見せかけて殺すが、その前に「夢中になれるようなお話をしてよ」と猶予を与える。内容次第で「死刑」が延びるという、アラビアンナイトのような設定。暴君だけど空っぽな彼女に必要だった物語とはなんでしょう? ラストシーンには希望さえ感じるのです。

【関連するとみられる事件】練炭連続殺人犯の心模様

2009年に首都圏で起きた練炭による男性3人の連続不審死事件。殺人罪などに問われた木嶋佳苗(かなえ)被告が住んでいたマンション=2010年2月2日、東京都板橋区上板橋2丁目
2009年に首都圏で起きた練炭による男性3人の連続不審死事件。殺人罪などに問われた木嶋佳苗(かなえ)被告が住んでいたマンション=2010年2月2日、東京都板橋区上板橋2丁目

3 「怒り」吉田修一=世田谷一家殺害など未解決事件

吉田修一「怒り」(中央公論新社)
吉田修一「怒り」(中央公論新社) 出典:中央公論新社

 東京の郊外で、ある夫婦が惨殺され、犯人は現場に残ったのは「怒」という血文字。冒頭からかなり血なまぐさい。そして、正体不明の3人の男が次々と登場。犯人はいったい誰? 殺したのは何故? 事件が事件を呼び、疑心暗鬼が人の情と非情をえぐりだします。まさにノンストップストーリー。

【関連するとみられる事件】東京都世田谷区で家族が惨殺された未解決事件など

世田谷一家殺害事件の発生を伝える2000年12月30日の新聞紙面
世田谷一家殺害事件の発生を伝える2000年12月30日の新聞紙面

4 「寂しい丘で狩りをする」辻原登=様々なストーカー事件

辻原登「寂しい丘で狩りをする」(講談社)
辻原登「寂しい丘で狩りをする」(講談社) 出典:講談社BOOK倶楽部

 女性が被害者となったストーカー事件への、著者の怒りが生んだサスペンス。暴行事件の犯人が懲役を終えて出所、逆恨みで復讐しようと被害者を狙う。被害女性が相談を持ちかけた女探偵もまた、元恋人からストーキングされていて・・・。暴力に立ち向かおうとする女たちの力強さと、男たちの人としての弱さが対照的。運命と偶然に翻弄される人間の悲しみが浮かび上がります。

【関連するとみられる事件】様々なストーカー事件

神奈川県逗子市で2012年に起きた「逗子ストーカー殺人事件」の現場となった共同住宅=2012年11月7日、神奈川県逗子市
神奈川県逗子市で2012年に起きた「逗子ストーカー殺人事件」の現場となった共同住宅=2012年11月7日、神奈川県逗子市

5 「教団X」中村文則=オウム事件や海外のテロ

中村文則「教団X」(集英社)
中村文則「教団X」(集英社) 出典:集英社

 姿を消した恋人を探し、男はあるカルト教団に入り込む。性欲につけこみ人を操る冷徹な教祖のもとでは、テロ計画が進行中だった。スパイとなり別の宗教団体にもぐり込んだ男は、温かく受け入れられ、自分の人生を見つめ直す。すべてを飲み込もうとする運命に対峙する人たちの美しさ。米国のノワール系文学賞デイヴィッド・グーディス賞に日本人で初めて輝いた純文学作家の怪作です。

【関連すると見られる事件】オウム真理教の一連の事件や海外で起きたテロなど

東京地裁での勾留(こうりゅう)尋問を終え、警視庁に戻る松本被告=1995年6月、東京・霞が関で
東京地裁での勾留(こうりゅう)尋問を終え、警視庁に戻る松本被告=1995年6月、東京・霞が関で

6 「死にたくなったら電話して」李龍徳=現代版、心中事件

李龍徳「死にたくなったら電話して」(河出書房新社)
李龍徳「死にたくなったら電話して」(河出書房新社) 出典:河出書房新社

 大阪・十三のキャバクラで出会った美女に誘われ、浪人生が破滅のループに引きずり込まれる。死の女神の放つ言葉は、知的で教養にあふれながら、これでもかと悪意を放ちつづける。どこまで行ってしまうのか。怖い物見たさ全開で引き込まれます。「文芸賞」の全選考委員が絶賛した、圧倒的なデビュー作。

【関連しているとみられる事件】現代版、心中事件

阪急十三駅西口。駅前の路地に一杯飲み屋が軒を連ねる=2004年2月9日大阪市淀川区十三本町で
阪急十三駅西口。駅前の路地に一杯飲み屋が軒を連ねる=2004年2月9日大阪市淀川区十三本町で

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