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【動画】麻美ゆま、闘病体験語る「思わぬ中傷」「過去含めて再出発」

卵巣腫瘍の闘病生活から復帰し、活動を再開したタレントの麻美ゆまさん。治療の激しい副作用や、あらぬ偏見との戦い。その過酷な体験を語った。

闘病生活と再出発について語った、麻美ゆまさん
闘病生活と再出発について語った、麻美ゆまさん 出典: 朝日新聞
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 卵巣腫瘍の闘病生活から復帰し、活動を再開したタレントの麻美ゆまさん(27)。
 AV女優から活動の幅を広げ、タレントとして活躍していた矢先に腫瘍が見つかり、抗がん剤治療を続けてきた。
 治療の激しい副作用や、あらぬ偏見との戦い。麻美さんが、その過酷な体験を語った。

AV女優売り上げ1位、バラエティーでも活躍

 麻美さんが症状に気づいたのは、芸能活動のピークとも言える多忙な日々を送っていた、2012年末ごろ。
 05年に群馬県から上京し、AV女優としてトップクラスの人気に。アイドルグループ「恵比寿マスカッツ」への参加など、タレントとして活躍の場を広げていた。
 13年4月には、集大成となる解散全国ツアーを控えていた。多忙ながらも充実した日々だった。

 デビュー作品のDVDは売り上げランキング1位となり、レンタルも好評。瞬く間に人気女優にのし上がった。
 08年からは、民放深夜のバラエティー番組にレギュラー出演。番組から誕生した歌やダンスを披露するアイドルグループ「恵比寿マスカッツ」の一員として、ライブツアーで各地を巡った。
 レッスンは、長いときは1日12時間に及んだ。その一方で、AVへの出演も続けた。週末に行うサイン会は、47都道府県で達成した。
AV発アイドルを襲った異変 麻美ゆまさんが語る闘病:朝日新聞デジタル
「恵比寿マスカッツ」のメンバーとして活動していたころ=2010年9月27日、所属事務所提供
「恵比寿マスカッツ」のメンバーとして活動していたころ=2010年9月27日、所属事務所提供 出典: 朝日新聞

悪性腫瘍の疑い、人工肛門の可能性も

 下腹部のふくらみが気になり、内科を受診したところ、婦人科に行くように言われた。
 「悪性の卵巣腫瘍」の疑いとの診断。腫瘍が直腸に広がり、人工肛門が必要になる可能性もあった。
 卵巣と子宮を残して、将来は子どもを産みたい――。
 しかし、医師の見解は厳しいものだった。

 婦人科の病気。しかも手術と聞いて、驚いた。体をみせる仕事だから、傷痕は小さくしたい。所属するアイドルグループ「恵比寿マスカッツ」の解散全国ツアーも迫り、早く復帰したい。「手術なら傷が小さくて済む腹腔(ふくくう)鏡手術がいいな。退院も早そう」と思った。
 気がかりもあった。初めて耳にした「腹水」という単語。何を意味するのか。インターネットに「腹水」などのキーワードを入れ、婦人科の病名を検索した。
 「卵巣がん」。表示された検索結果に、背筋が凍った。「違ってほしい」という願望。同時に、ある種の覚悟。
(患者を生きる:2620)働く 麻美ゆまの再出発:2 子宮も卵巣も摘出なんて:朝日新聞デジタル
病気になる以前、テレビ番組の収録に臨む麻美ゆまさん=2012年10月5日、所属事務所提供
病気になる以前、テレビ番組の収録に臨む麻美ゆまさん=2012年10月5日、所属事務所提供 出典: 朝日新聞

想像を上回る、抗がん剤の副作用

 恵比寿マスカッツやAVの仕事はすべてキャンセル。病名を明かさないまま、ツイッターで療養宣言した。
 「4月の解散コンサートには絶対に立ちたい」。そんな麻美さんの決意と訴えに、医師は「厳しいとは思うが、できる限りのことをしましょう」と応じた。
 
 2月に、卵巣と子宮を摘出。手術中の診断で、腫瘍は悪性と良性の中間の性質の「境界悪性」と分かった。
 ただ、悪性に準じた治療法が取られ、抗がん剤を投与することになった。コンサートの日程から逆算し、治療スケジュールを組む。
 吐き気やしびれ、脱毛など、想像以上の副作用に苦しめられた。

 2種類の抗がん剤を点滴する。悪性の卵巣腫瘍で標準的な治療だ。月に1回入院し、計6回。8月まで続く予定だった。
 「こんなにつらいの……」。吐き気や手足のしびれ、脱毛。副作用は事前に医師から説明されていた。だが想像を上回った。投薬直後から寒気に鳥肌。気持ちも悪い。翌日からは、体の痛みや手のしびれも出始めて、何もする気がしなくなった。
(患者を生きる:2622)働く 麻美ゆまの再出発:4 副作用耐えステージへ:朝日新聞デジタル
抗がん剤治療では、副作用ですべての髪が抜けた=2014年10月2日、所属事務所提供
抗がん剤治療では、副作用ですべての髪が抜けた=2014年10月2日、所属事務所提供 出典: 朝日新聞

思わぬ中傷「セックスのしすぎ」

 4月7日。ウイッグを着けて、「卒業式」公演にサプライズ出演した。
 雄叫びのようなファンの声援に後押しされ、5時間のステージを気力で乗り切った。
 
 治療はその後も続いた。6月には、ツイッターで卵巣腫瘍を公表。すると、「セックスのしすぎ」「自業自得だ」といった中傷の声が聞かれた。
 医師は、「卵巣腫瘍とセックスは関係ない」と言う。
 病気に対する偏見があることを知り、正しい理解を深めるために役立ちたいと思った。

 思わぬ中傷を受けた。
 「セックスのしすぎ」「自業自得だ」。怠けず、真剣にやってきた仕事。職業への偏見を悲しく感じた。女性特有の病気をすべて性行為と結びつける風潮はないだろうか。医師に尋ねると、「卵巣腫瘍とセックスは関係ない」と言われた。病気に対する誤解や偏見があると思った。病名を隠す女性がいることも知った。卵巣腫瘍について正しいことを知ってもらいたい、と思った。
(患者を生きる:2623)働く 麻美ゆまの再出発:5 変わらない自分を届ける:朝日新聞デジタル
ウイッグを着け、解散コンサートに立った=2013年4月7日、所属事務所提供
ウイッグを着け、解散コンサートに立った=2013年4月7日、所属事務所提供 出典: 朝日新聞

病気の経験を語ることで役立ちたい

 治療を終えておよそ1年。副作用ですべて抜けた髪の毛が、ようやく伸びてきた。
 少しずつ仕事を再開すると、闘病経験を語る講演などが舞い込むようになった。
 「私も人の話を聞いてパワーをもらった。自分の病気の経験を話すことで、役に立ててもらえば」

 麻美さんも、当時を振り返った。「仕事がなくなって、経済的にも追い詰められました」
 働けなかった期間は、無収入。「治すことも仕事」と周囲に励まされ、治療に臨んだ。今、闘病の経験を伝える仕事が舞い込む。これも、私にしかできない仕事。
 「私も人の話を聞いてパワーをもらった。自分の病気の経験を話すことで、役に立ててもらえば」
AV発アイドルを襲った異変 麻美ゆまさんが語る闘病:朝日新聞デジタル
自叙伝を出し、握手会に臨んだ=2014年5月11日
自叙伝を出し、握手会に臨んだ=2014年5月11日 出典: 朝日新聞

過去を含めて再出発「元気と笑顔届ける」

 今年5月、自叙伝を出版した。タイトルは「リ スタート」。
 過去を含めて再出発したい、という思いを込めた。
 
 リクエストが多いAV復帰は、「おなかに傷もできたし、体力も必要。もうできないかな」。ただ、これまでと違う形で、変わらず元気や笑顔を届けたいと思っている。

 「リ スタート」。闘病と人生をつづった自叙伝を今年5月に出した。タイトルにこだわった。「リセットだと、これまでの私がなかったことになる。過去を含めて、再出発したい」
 病気をしても、私は変わらない。これまでと違う形でも、私の仕事は元気や笑顔を届けること。そんな風に思っている。
(患者を生きる:2623)働く 麻美ゆまの再出発:5 変わらない自分を届ける:朝日新聞デジタル
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Re Start ~どんな時も自分を信じて~

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