お金と仕事
対戦相手に煽りパワポでプレゼン 異色プロレスラーのビジネス戦略
試合前にマックを使ったパワポで対戦相手を煽ったプロレスラー、スーパーササダンゴマシンさんの動画再生回数が急上昇しています。実は彼、金型会社に勤めながら社会人大学院で経営学を学んでいるという異色の兼業プロレスラーだったのです。なぜプロレスでパワポを? そこには周到なビジネス戦略がありました。
お金と仕事
試合前にマックを使ったパワポで対戦相手を煽ったプロレスラー、スーパーササダンゴマシンさんの動画再生回数が急上昇しています。実は彼、金型会社に勤めながら社会人大学院で経営学を学んでいるという異色の兼業プロレスラーだったのです。なぜプロレスでパワポを? そこには周到なビジネス戦略がありました。
試合前にマックを使ったパワポで対戦相手を煽ったプロレスラー、スーパーササダンゴマシンさんの動画再生回数が急上昇し「分かりやすい」「私も分析してほしい」など、賞賛の声が寄せられています。実は彼、金型会社に勤めながら社会人大学院で経営学を学んでいるという異色の兼業プロレスラーだったのです。なぜプロレスでパワポを? そこには周到なビジネス戦略がありました。
何はともあれ、激賞されたパワポのプレゼンをご覧ください。
スーパーササダンゴマシンさんは、現在、金型製造会社に勤めながら兼業プレスラーとして活動しています。元々は東京で専業レスラーをしていたそうですが、実家の会社を継ぐことになり新潟に帰郷したそうです。
輸入製品に押される国内の金型産業の実情を見て「プロレスと同じだ、やばい」と一念発起。昨年から、新潟大学の大学院に入学し、経営学を学んでいます。パワポは、大学院で学んだ知識をプロレスにも応用できると思い、作ったそうです。
「煽りパワポ」には、大学院に通いながら仕事をしプロレスラーとしてもリングにも上がるというスーパーササダンゴマシンさんならではの戦略が詰まっています。「煽りパワポ」の狙いと成果を、ビジネス用語を使って解説してもらいました。
【3C分析=Customer,Company,Competitor】
ビジネスにおいて基本動作である3C分析。
Customer=顧客に対する姿勢で、スーパーササダンゴマシンさんが気をつけているのはフェイスブックでの発信です。「真面目なことを言う人はいっぱいいるので、くだらないことを投稿するように配慮しています」。
Company=プロレス団体に対しては、常に新しい試合のスタイルを提案しているそうです。お正月にはプロレスの技で作ったカルタを作り「犬も歩けばボディースラム」が出たら、ボディースラムの技をかけました。普通のプロレスでは終わらないアイディアを常に温めているそうです。
Competitor=競合。これは、同期でもあるライバルのレスラー、男色ディーノさんの分析を怠らないようにしているそうです。男色レスラーという「煽りパワポ」に匹敵するキャラに、どうやって対抗するのか。「男色ディーノ」でグーグル検索しまくって、策を練っているそうです。
【SCM=Supply Chain Management】
兼業レスラーという立場で、会社での仕事・食事・トレーニングから最終的な試合に至るまでを、どう回しているのか。「実は、専業レスラーだったころより規則正しい生活になって、コンディションは絶好調なんです」
【CRM=Customer Relationship Management】
ファンとの関係をどう強化しているのか。スーパーササダンゴマシンさんが力を入れているのがグッズ販売です。「ササダンゴ商会」というサイトを立ち上げ、ステッカーやTシャツ、フィギュア型マグネット3個セット、缶バッヂ4個セット(キン消し風フィギュア付き)まで、豊富な品揃えで、ファン心理を刺激しています。iPhoneケースは売り切れになるほどの人気です。
【CSF=Critical Success Factor】
「煽りパワポ」がなぜ成功をおさめたのか、スーパーササダンゴマシンさんが注目したのが試合の曜日でした。パワポを披露したのは日曜日。「みんな次の日は会社に行かなければならない。朝イチで会議の資料を作る人もいるはず。試合を見て、前向きな気持ちで資料の準備をしてもらえるかもしれないと思ったんです」とスーパーササダンゴマシンさん。プロレスファンというフィルターを一端外した攻めが、共感を呼んだようです。
【CSR=Corporate Social Responsibility】
リングの外での活動では何に取り組んでいるのか。「煽りパワポ」が評判を呼んだことによって、講師としての依頼が舞い込むようになったそうです。「商工会議所とか、断りにくいところからお声がけをいただいて、いったいどうなっているんでしょうか?」と戸惑っているそうです。
【CPO=Cost per Order】
「煽りパワポ」に費やした費用と、商品の受注数を計算してみます。「煽りパワポ」は会社での仕事の後、2晩かけて作ったそうです。時給換算にすると約42000円だそうです。受注数は「煽りパワポ」のYouTube再生回数の13万回にしてみます。YouTubeの広告収入を0.1円と設定します。そうすると収入は1万3千円。そこだけ見ると収支は合わないかもしれませんが、プロレスラーですから、YouTubeだけで黒字にする必要はありません。動画の反響などを考えると十分元を取ったと言えるでしょう。
【CVR=Conversion Rate】
「煽りパワポ」によって得られた成果は何だったのか。試合には負けてしまいましたが、フェイスブックの「いいね!」の属性分析によって、ソーシャルメディア上の成果を可視化してみます。これまでは知り合いや業界関係者しかいなかった「いいね!」だったのが、「煽りパワポ」以降、まったく縁のなかった層からの「いいね!」が急増しているそうです。
スーパーササダンゴマシンさんが驚いているのは、コンサル業界の人からの「いいね!」が増えたこと。「BCG(ボストンコンサルティンググループ)の人を発見した時は、本当にビビりました」。「煽りパワポ」後に増えた「いいね!」は1500。1回のプレゼンで「1500いいね!」なら、パワポの成果は相当すばらしかったと言えるでしょう。
【KPI=Key Performance Indicators】
「煽りパワポ」の狙い、KPIはなんだったのか。レスラーなので、KPIは試合に勝つことのはずです。しかし、わかりやすい資料にしたことで自分の作戦が全部バレてしまいました。そして試合は黒星に。「でもですね、お客さんの盛り上がりがハンパなかったんです。普段なら少しずつ、会場のテンションは上がっていくのですが、最初からすごいボルテージで。わかりやすいパワポによって、次に何を仕掛けるかが筒抜けだったから、『次はこれが来る』というわくわく感を生み出すことができたんだと思います」。もう一つのKPI、「お客さんを楽しませること」は達成できたようです。
【KGI=Key Goal Indicator】
そもそも、スーパーササダンゴマシンさんがめざすレスラー人生の中で、「煽りパワポ」はどのような存在なのか。最終的なゴールについて聞くと、「多角化による新たな顧客層へのリーチ手段です」という意外な答えが返ってきました。スーパーササダンゴマシンさん曰く「金型産業と同じくらい業界規模が小さい」というプロレス界。「煽りパワポ」によって狙ったのは、パワポによってプロレスに興味を持ってくれる新たな顧客だったのです。
ニッポンの西海岸・ニイガタシティーからこんにちわ。ユーモアあふれるローカルレスラー、スーパーササダンゴマシンのおしゃれショップです。銀行振込とコンビニ払いもできるようになりました。代引きだってできるようになりました。もう立派な中堅ネットショップですよね。店主