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ジブリ映画の声優、あの人も!? 美術館をもっと楽しむコツ教えます
2001年の開館以来、いまだに予約が取れない月もある三鷹の森ジブリ美術館。行くなら、思いっきり楽しみたい! ということで、楽しむコツを聞いてきました。
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2001年の開館以来、いまだに予約が取れない月もある三鷹の森ジブリ美術館。行くなら、思いっきり楽しみたい! ということで、楽しむコツを聞いてきました。
三鷹の森ジブリ美術館は、2001年に開館。屋上にはロボット兵がたたずみ、受付ではトトロが迎えてくれます。館内に順路はなく、遊園地のアトラクションのように待っていれば何かが起こるわけではないぶん、自分が主人公になり自ら発見していくつくりになっています。「小さな子たちが喜んで笑っている、ややこしい理屈よりもそういう瞬間が大人にとっても至福の時」という宮崎駿さんの考えがベースにあるそう。
入ってすぐにある吹き抜けの中央ホールは、見上げると、あれ? もしかして湯屋? 広報の小林一美さんによれば、美術館の建設はまさに映画「千と千尋の神隠し」の制作時期。「千尋が迷いながら湯婆婆のいる上へとあがったように、ここも1本の映画のように、どこへたどり着くかわからないまま楽しんでほしい」そう。
それにしても吹き抜けとはいえ天井がすごく高い。感心していると、一つ秘密を教えてくれました。なんと実際より高く見せるため、階が上に行くほど天井の高さを低くしているそう。階段も、場所によっては遠近感を強調するために、上に行くほど幅を狭くしているそうです。行った際はぜひ腕を伸ばしながら、階段を上ってみてください。
次に、地下にある短編映画を上映する映像展示室「土星座」へ。入ると、意外にも明るい室内。宮崎駿さんが「子どもたちの初めての映画体験が怖い思い出にならないように」と、地下なのに、勾配のある地形を利用して窓をつくり、天井にも空のような装飾を施して明るい室内を作ったそうです。
月ごとに変わる上映作品、私が訪れた時は「やどさがし」。この作品、ほとんどセリフがなく、効果音や音楽も人の声で演じられています。声優を務めているのは、なんと矢野顕子さんとタモリさん!セリフはなくても、「ちゃっっぽん」、「ぐおーーーん」などという「効果音」に、一緒に見ていた子どもたちは、大笑いしてました。短編作品は、人気が出るかどうかなどは考えず、本当に作るに値すると思う映画を作っているそうで、ここから長編作品に使われたアイデアもあるそう。
展示室後ろには、昔ながらの映写機があり、その奥にはトイストーリーの監督、ジョン・ラセターさんら海外アニメーターや監督のサインが。企画展などで来日した際に残していったそうです。
地下のアニメーションの進化を見られる「動きはじめの部屋」。各所に、もののけ姫の「コダマ」などが隠れた展示もあります。フィルムが回り映像を映し出す展示「フィルムぐるぐる」では、「思い出のマーニー」で監督を務めた米林宏昌さんが描いた「進化論」という作品を上映しています。米林さんは生き生きしたキャラクターを描き出すのがうまいそうで、フィルムで映し出されるキャラクターたちの動きにも注目です。
ではここで小休憩。トイレに向かいます。
えっ、ここにも・・・。
こちらはファンにはあたり前の情報だそうですが、まあ入門編ということで。
お願いして、男子トイレにもお邪魔しました。
では1階に上がり「映画の生まれる場所(ところ)」へ。こちらは、アニメが生まれるまでの過程を見ることができます。最初の部屋は、物語を生む少年の部屋。おじいちゃんからもらった棚には自分の好きなものも加わっています。先達の人達が既に作りあげた世界に自分たちの新しいものを加え、そうして生まれていくのが物語である、という宮崎さんの考え方が表れているそう。
部屋の壁には、隙間がないほどに好きなモノやキャラクターの絵が貼られています。中には映画「風立ちぬ」に登場したイタリアの飛行機会社カプローニ社の飛行機の図も。実はこれ、映画の構想もなかった、開館当時から貼られていたそうです。イメージボードという物語の背景やキャラクターの設定を描く絵には「魔女の宅急便」や、「風の谷のナウシカ」などのものもあります。コレという1枚を決めるまでは髪形や服装、設定なども変えて悩みながら様々に描くそう。
隣に進むと、背景を描く少女の部屋。「少女は海を描くとなれば、実際の海を見るため、さっそうと自転車に乗って出かける性格で、彼女がここで絵を描いているのだなと想像できる部屋になっています」(小林さん)。甘いものも好きなんでしょうか。いすの横にはケーキが置いてあります。「映画の生まれる場所」に背景を描く彼女の部屋があるのは、映画の世界観を決めるために、背景美術を重視するジブリ映画ならではです。
そしてその横にあるのが、絵コンテを描く人の机。これは宮崎駿監督自身の設定なのでしょうか。絵コンテができないと作品制作が始まらないこともあり、皆が待つプレッシャーの中で、冷や汗と油汗が固まったような「怪人ジブリブリ」が机の周りに居座ります。全部で10体、みなさんは全部見つけられるでしょうか?
では、2015年5月まで開催予定の企画展示「クルミわり人形とネズミの王さま展」も少しご紹介。こちらは、宮崎駿さんが「風立ちぬ」制作時、疲れた時に絵本「くるみわりにんぎょう」(徳間書店)を手に取ったのがきっかけ。原作の「クルミわりとネズミの王さま」(岩波少年文庫)を読むとつじつまが合わない部分も多く悩んだ宮崎さんのエピソードなどが、パネルに描かれています。中には、お菓子の国だといつか腐っちゃうんじゃ? と言う宮崎さんに、周囲の女性が夢がないと批判するエピソードも。会場ではパネルのほか、絵本の中で描かれていたおいしそうなお菓子の国やクルミ割り人形も展示されています。この展示のため作ったという、本当にクルミが割れるくるみ割り人形は「イケメン」と評判とか。宮崎さんはこの展示のため、「風立ちぬ」でノミネートされていたアカデミー賞受賞式への出席もやめ、準備にいそしんだそうです。
そして美術館ならではのサービスも。館内にある図書閲覧室「トライホークス」で本を買うと、普段も宮崎駿さんデザインのカバーを付けてもらうことができるのですが、この「クルミわり人形とネズミの王さま」(岩波書店刊)を買うと、この本専用に宮崎さんが描きおろしたブックカバーを付けてくれるそうです。どこかで買う予定なら、ぜひ館内の「トライホークス」でどうぞ。
おみやげも充実しているジブリ美術館。実は、この6月末から販売されている、美術監督・吉田昇さんが描いたジブリ美術館のオリジナルポストカードが予想以上の人気。数あるはがきの中で一番売れているそうです。朝、昼、夜バージョンの中では朝が一番の売れ筋だそう。
三鷹の森ジブリ美術館へのアクセス方法、上映中の短編映画などは同館の公式ホームページをご確認ください。美術館のチケットは日時指定予約制。ローソンで毎月10日に発売しています(9月分については8月11日に発売)。