お金と仕事
夏のボーナス「使い道」1位は?パーっと行けない時代の「増やし道」
提供:THEO
ボーナスの季節。この夏のボーナスの使い道を聞いてみた。
「結婚したので、新生活準備に使った100万円を穴埋めするのに使います」(会社員・女性)
おめでとうございます。幸せの絶頂ですね!
「去年までは毎回ボーナスで海外旅行に行っていたんだけど、今年は子どもが生まれて奥さんも育休中。貯金かな」(エンジニア・男性)
結婚、出産、子育て、老後。将来を見据えた積極的貯金派も。
「自分で10万円、嫁も10万円、服とかに好きに使って、あとは自然に貯まってる。そういう意味では、貯金かな」(会社員・男性)
消極的貯金派、というべきでしょうか。
「ボーナス?自社株買いますよ」(コンサルタント・男性)
意識高いです・・・。
「っていうか、『ボーナスの使い道』って質問、もう古くない?バブルじゃあるまいし、そんなに毎回使い切らないでしょ」(IT・男性)
ボーナスの「使い道」を尋ねること自体が古い!?
私たちは、ボーナスの捉え方を根本的に変えなくてはいけないのかもしれません。
バブル絶頂期はどうだったのか。新聞報道では、実に景気のいい言葉が並ぶ。
「今夏の大企業ボーナス 伸び8%に迫る 263社の平均、61万8000円 民間機関調べ」(1989年5月25日付朝日新聞)
「売れた売れた ボーナス日曜日 『1日で23億』 笑い止まらぬデパート」(1988年7月4日付朝日新聞)
国税庁の民間給与実態統計調査によると、1989年当時の平均年収が402万4千円。夏・冬で年間約120万円がボーナスだったと考えると、当時の月給は約23万5千円と考えられる。「3倍」とまではいかないが、平均月給の約2.6倍ものボーナスが出ていたのだ。
時代の空気もあり、パーっと消費に回す余裕もあっただろう。
ボーナスについて様々なデータから捉え直してみよう。
厚生労働省の毎月勤労統計調査(5人以上の事業所)によると、夏のボーナス受給額は長い目で見ると減少傾向にある。2000(平成12)年には44万円だった夏のボーナスは徐々に下がり、リーマンショック直後の09(平成21)年には40万円を割り込んだ。
給与額も減少傾向にある。国税庁の民間給与実態統計調査によると、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与は 415 万円(対前年比 0.3% 増)。うち給与・手当は352万6千円であり、1カ月分の平均給与は29万3800円。年間賞与額は62万5千円で、夏・冬の2回で割ると31万2500円である。
いまや1回のボーナス額は月給額とほぼ変わらない1.06カ月分。「ボーナスは月給の3カ月分」はもはや幻想なのだ。
経団連が発表した調査によると、第1回集計で判明した東証一部上場、従業員500人以上の14業種95社の今夏のボーナス妥結額は平均92万7415円で、昨夏より3.74%増の高水準という。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、今夏の民間企業(調査産業計・事業所規模5人以上)のボーナスは2年ぶりに増加、一人あたり平均支給額は35万8409円(前年比+0.5%)と予測。
大手企業はリーマンショック以降の高水準、民間企業全体としても久々の増加で、財布のひもも緩むのでは?
マクロミルの調査によると、今夏のボーナスの使い道は半数近くの45.2%が「貯蓄」だ。2位は「各種ローン返済」で34.4%。娯楽費(19.7%)、車や耐久消費財の購入(10%)と消費に充てる人は少数派にとどまる。
いまどきのサラリーマンにとって、もはやボーナスは「消費する」ものじゃないのかも!?
日本銀行調査統計局「資金循環の日米欧比較」によると、私たち日本の家計の金融資産構成は欧米と比べて大きな特徴がある。資産の51.8%、半分以上を「現金・預金」として保有しているのだ。米国は13.7%、ユーロ圏は34.4%であることからも、日本人の「貯金好き」が際立つ。「株式等」と「投資信託」を合わせた運用割合は、日本は15.2%、米国は47.2%、ユーロ圏は25.5%だ。
円高、株価下落、低成長、新興国の成長。広がる格差、少子高齢化、日本を支えてきた大企業の買収劇。終身雇用・年功序列の崩壊。消費増税が先送りになったとはいえ、日本のサラリーマンにとっては不安要素が多すぎる。
かつてほどの金額は望めなくなったとはいえ、ボーナスは毎月の給与以外の貴重な収入源であることは間違いない。娯楽や買い物などの「使い道」を考える人は少数派になったとはいえ、そのまま口座に貯金しておくだけでいいのだろうか。この夏のボーナスを機に、「使い道」じゃなく「増やし道」、考えてみませんか?