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堤監督、渾身の一作に、秦 基博が共鳴「人間の業、投げかけた」
20年前作家としての飛躍を目指した東野圭吾の勝負作『天空の蜂』を、堤監督が完全映画化。主題歌を書き下ろした秦 基博さんと作品について語りました。
提供:松竹
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20年前作家としての飛躍を目指した東野圭吾の勝負作『天空の蜂』を、堤監督が完全映画化。主題歌を書き下ろした秦 基博さんと作品について語りました。
提供:松竹
20年前、作家としての飛躍を目指した東野圭吾最大の勝負作『天空の蜂』。史上最悪の原発テロに迫るクライシス・サスペンスを堤幸彦監督が完全映画化し、9月12日(土)から公開となりました。今回は堤監督と、主題歌を書き下ろしたシンガー・ソングライター秦基博さんによるスペシャル対談を実現!本作との出合いによってそれぞれどんな刺激を受け、何を表現しようとしたのか語り合っていただきました。
秦 映画『天空の蜂』を観てあまりのスケールの大きさ、スピード感、臨場感に目を奪われました。
堤 ありがとうございます。原作は20年前、東野圭吾先生が書かれた小説です。映画化にあたり、原作にとことん向き合いました。原発、テロ、災害といった様々な社会的な問題をはらんでいて、かつ親子や人の生き様などヒューマンストーリーとしての要素もある。今の時代に絶対必要な作品だと思いました。とは言え、決してプロパガンダにしてはいけない。息もつかせぬ勢いを心底楽しんでいるうちに、気づいたらいろんなことを意識している、そんな普遍的なエンタメ作品を目指しました。
秦 僕には主題歌を書くという使命があったので、この映画から何をすくい取るか、自分と共鳴し合う部分は何かをすごく意識しながら観させていただきました。観終わった後に、この作品のテーマにどこか傍観者である自分を省みながら「で、僕はどうするんだ?」という問いかけが残りました。
堤 時代と共に日本人の価値観が大きく変化する中で、結構大事なことを見逃してきたツケが3・11の時の原発問題です。あの風景を見た日本人は今後、何を選択してどう生きるべきなのか。「沈黙する群衆」にそこを意識してほしい。そんな本作で伝えたかったことを秦さんの作ってくれた主題歌「Q&A」は表現してくれた。見事に射抜かれました。
秦 『天空の蜂』という映画のメッセージ性、余韻として残ったものなどからインスパイアされ、いつになくアグレッシブな曲に仕上がりました。「この手は人を傷つけるためにあるのか、守るためにあるのか」という歌詞が出てきます。「守るため」と誰しもが思いますよね。でも、実際にはそうなっていない現実もある。分かっているのにそうならないところに人間の矛盾、業みたいなものがあると思うのですが、でも、それを分かった上で何を選択するのか。あなたも僕も手を差し出すことはできるのかとう問いを投げかけた曲です。
堤 秦さんは言葉のセンスが絶妙です。僕は60歳ですが、20代で秦さんの曲に出合いたかった。今以上に人生に大きな影響を与えられたはず。それだけ秦さんの曲には人の心に刺さる何かがあります。
秦 この曲に関しては、映画の力も実は大きくて、これだけ熱量の高い作品のラストにふさわしい曲として自分に何が言えるのか。どういうリアリティーが込められるのかというプレッシャーがあったからこそ生み出すことができたのだと思っています。
秦 いくつもの社会的な問題を一つの作品で表現していく上で、多くのご苦労があったと思います。
堤 私は文系なので、理工学的な専門知識を小学生レベルから学ぶ必要がありました。「そもそも原発とは何なのか」「ヘリコプターってなぜ飛ぶのか」と。基本を押さえていないと、作中の彼らがどんな危機に直面しているのかを臨場感をもって描けませんからね。その辺りの膨大な事前調査が一番大変でした。ただ、幸いにもスタッフが優秀で、迅速に動いて情報収集に努めてくれたので助かりました。
秦 役者の方々の力も大きいですよね。どの人にもそれぞれのオーラがあるというか、登場人物一人ひとりの存在が突き刺さりました。
堤 何しろ名優ばかりですからね。だから彼らを現場に放り込むだけで自然に演技合戦が始まってくれました。まさに男祭りみたいな感じ。シーンごとの緊張感、緊迫感をそれぞれが醸し出してくれた。本当にいい役者さんに恵まれました。
秦 運命に翻弄されながらも抗い、それぞれが大切なものをつかもうとする、守ろうとする姿が素直にカッコいいなと思いました。
堤 僕はこれまで社会性を持った映画を作りたくて、震災ドキュメンタリーやホームレス映画など小さなアプローチはたくさんやってきました。そのこととエンタメ娯楽系の大作は別ものだと捉えていたんですね。でも、本作ではそんなことは言っていられなかった。どちらの要素も重要で、これまで製作してきた四十数本の様々なノウハウや経験を総動員しなければ作ることができなかった。精神的にも技術的にも相当ハードでしたが、私の集大成のような作品になったと感じています。これでようやく映画監督という職業の入り口に立てたような感慨がありました。
秦 多くの方に映画館で観てほしいですね。そして映画の一部として主題歌も楽しんでもらえたら。
堤 この作品は、セミの声で始まって秦さんの曲で終わる。実は、音の強さを信じた映画でもあるんです。音楽担当のリチャード・プリンが奏でる音もかなり強力ですし、ヘリの「ビッグB」なんてまるで獣の鳴き声のよう。音響効果部が約半年かけて音を作ってくれたたまものです。最近の映画館は音環境も抜群にいいので、多くの方に『天空の蜂』を映画館で楽しんでもらいたいですね。
堤 ところで、秦さんは繊細な喪失感のあるミュージシャンという印象があって。私はその喪失感が小気味よくって好きなのですが、その感性は一体どこから来ているのか今日は聞きたくてしょうがなかったんですが。
秦 喪失感ですか。たぶん、今の30代という世代的な特性だと思います。それと、僕の場合は音楽を作っているというのもあります。曲作りって何か漠然としたモヤモヤしているものに目を向けるところから始まり、そこから不要なものを払いのけ、核となるものだけをすくい取り、色付けしていく作業を繰り返すわけですが、最終的な仕上げには俯瞰的な視点が必要になるんです。全体としてこれでいいのかを見定めるような。そんな中で育まれた僕の感性みたいなものを、監督が感じ取って下さっているのではないでしょうか。
堤 なるほど。世代と言えば、最近は社会の動きに関心を持ち、自ら行動する若い人も増えていると聞きます。非常に健全なことだと思います。それに対する反作用もまた健全なこと。いずれにしても自分でいろいろ調べて、自分の意見を確立していってほしいなと思います。
秦 そうですね。僕はいろんなことを見つめ直すことって生きていく上ですごく大切だと思っていて、そのきっかけに音楽がなればいいなと。例えば、駅のホームでキャロルキングを聴いていたら、ふと目に入った夕焼けがやけにいいなあと思ったことがあって。音楽を聴きながらだと、いつもの風景も違って見えたりするんですよね。願わくば、僕の音楽も、そんな風に何かを想起する一助になったらうれしいですね。
映像化絶対不可能といわれた禁断の原作が、ついに映画化!邦画史上、最大の話題作の誕生!!原作・東野圭吾、江口洋介×本木雅弘×堤幸彦監督『天空の蜂』2015年9月12日(土)全国ロードショー!
天空の蜂読破!
いつ間にか5時間ww
映画見てみたくなったなー
一人映画でも行こーかなw pic.twitter.com/nTOq2NVYcN
— にーだ あゆみ (@niida06290) 2015, 8月 22
一昨日はさやちょんと天空の蜂の試写会!東野圭吾さん凄すぎ!20年前にこれ書くなんて凄すぎ!所々感動シーンあって泣くと思ってなかった泣いた😭笑… https://t.co/STBMXxbVyC
— とみー (@k2t1m4) 2015, 8月 23
天空の蜂ていう映画の主題歌「Q&A」かっこいい!
ロックな秦基博いいね!✨
— 島田 匠 (@TaKuMi96004225) 2015, 8月 22