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創業の地へ本社をUターン はなまるうどんの〝逆張り〟の一手とは

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みなさん、うどんは好きですか?讃岐うどんブームを引っ張った「はなまるうどん」、業界トップとして君臨する「丸亀製麺」。そして新興勢力として名を馳せる北九州発祥の資さんうどん……。今後も有望なうどん市場を舞台に繰り広げられる各社の戦略に迫ったのは、正月に掲載されたある広告でした。(朝日新聞記者・和田翔太)
「1月1日、株式会社はなまるの本社は、香川県高松市へ」
元日の地元紙に掲載された全面広告は、香川県民やうどんファンの間で大きな話題となりました。
讃岐うどんチェーン大手の「はなまるうどん」が東京から創業の地へ本社をUターンさせる――。どんな狙いなのでしょうか。
取材を始めたところ、意外なビジネス戦略がわかり、さらに関心が高まりました。
デフレ時代、「かけ小100円」で一世を風靡(ふうび)したのがはなまるです。
しかし、コロナ禍で業績は低迷し、競合の「丸亀製麺」に引き離されています。
北九州発の「資さんうどん」も、すかいらーくグループ傘下で首都圏に進出を果たし、勢力を拡大中です。
激しい争いのなか、はなまるが選んだのは「価格競争」ではなく「価値競争」です。
チェーン店ビジネスの王道といえば、全国どこでも同じ味、同じサービスを提供する「標準化」と「効率化」。ですが、あえてその常識を外れ、本社移転後に「逆張り」の一手を打ち出しました。
前田良博社長は、本場・香川のうどん文化の魅力を「個性と多様性」だと語り、次々と手を打ちました。
香川県内の店舗では個別に独自メニューを充実させ、店舗ごとに個性を競わせています。
肉メニューがふんだんな高価格帯の店、麺打ち場を備えた店、地元食材を生かした新業態の展開など様々な取り組みが始まりました。
丸亀製麺の社長や資さんうどんの会長にも取材し、その結果は「うどん三国志」として連載にまとめました。
「多様性こそ成長の原動力」と掲げ、こうしたライバルと争うはなまるは大成功を遂げるのか、注目していきたいと思います。