話題
クレーンゲームの達人に聞いた〝コツ〟を実践 箱型景品がとれるまで
「狙ってとれた」達成感がありました

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「狙ってとれた」達成感がありました
クレーンゲームで景品をとる人たちに憧れていた子ども時代。筆者は運良く景品をゲットできた日もありましたが、「そう簡単にはとれないから」と思い込んで大人になりました。特に、箱型の景品はとれるイメージがわきません。しかし、6月24日の「UFOキャッチャーの日」を前に「達人」にコツを教わると、抱えるほどの大きさの景品を初めてゲットできました。以来、果敢に箱の景品に挑戦しています。(朝日新聞デジタル企画報道部・河原夏季)
コツを教えてくれたのは、日本クレーンゲーム協会から「プロ」認定を受けたクレーンゲームの達人こと五十嵐直也さん。プレー歴39年、投じた総額は1700万円にものぼるそうです。
今回は、2本の棒にまたがるように箱型の景品が置かれている「橋渡し」と呼ばれるタイプについて聞きました。
話を聞いた筆者(河原)は、さっそく箱型景品のクレーンゲーム(1回100円、6回500円)に挑戦してみました。これまで箱型の景品を落とせたことは一度もありません。
狙うのは縦10センチ、横18センチ、高さ5センチのチョコレート菓子。軽くて持ち上げやすそうです。達人がコツを教えてくれた「橋渡し」のタイプでした。
1手目。2本のアームの左右どちらが強いのか、景品がどう動くのかを見定めます。
右のアームの角張った部分を景品の右側のラインに合わせるように横に動かし、縦移動は手前側でストップ。アームはおおむね景品の右側ギリギリにさがり、アームが閉まる力で景品が持ち上がって斜めにずれました。狙い通りです。
2手目以降、左右のアームを使い分けて少しずつ景品をずらし、7手目で見事落下。初めての感触に、いままでにないほど胸が高鳴ります。
少し自信がついた筆者は、続いてスナック菓子の箱が五つセットになった縦25センチ、横20センチ、高さ10センチほどの大型サイズにもチャレンジしました。
実はこの台、達人に話を聞く前に、1500円をつぎ込んだ〝因縁の相手〟です。
同じく2本の棒の間から景品を落とす「橋渡し」。撮影した達人の動画を見ながら、景品が動く様子をイメージします。
さきほどと同じように、右側のアームを使って1手目で斜めにずらしました。取材前にプレーした際、左のアームは強度が足りないことを確認していたので、2手目以降も右側のアームを使って少しずつ景品をずらし、7手目でゲット。近くにいた店員さんから「おめでとうございます」と声をかけられ、気分上々です。
これまで「なんとなく」アームの幅を予想し、景品の真ん中を持ち上げようとしていた筆者でしたが、基準が明確になったことでクレーンの止め時や景品の動きが予測できるようになりました。
ただ、達人が4手で落としたフィギュアにも挑戦したのですが、1000円投入してもまったく感覚がつかめず断念。上級者向けだそうで、そう甘くはありませんでした。
取材を振り返る中で数人から言われたのが、「クレーンゲームでとるよりも買ったほうが安いよね?」という言葉。わかります。確かにお菓子の場合はスーパーで買うほうがリーズナブルです。
しかし、筆者が得たのは景品だけではなく「狙ってとれた」達成感とそのプロセスのおもしろさでした。達人から「最近の景品は1回でとれるものが少ない」と聞いたことも興味をそそられたポイントです。
今1000円かけてとっている景品を、何回でとれるようになるかーー。
取材の翌週、子どもと一緒に訪れたゲームセンターでアミューズメント施設限定の箱型スナック菓子を狙ったところ、2000円かけてようやくゲット。「おしい」「もうちょっとなんだけど」を繰り返して予想外に苦戦しましたが、「とれたー!」と叫ぶ子どもの姿に報われた気がしました。
クレーンゲーム歴39年、1700万円を投資した達人の足元には到底及びませんが、「趣味はクレーンゲームです」と自己紹介する日はそう遠くないかもしれません。
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