ネットの話題
ウーパールーパーの呪い「沼」にはまった大学生の解説イラストが人気
「呪われているほど好き」な大学生が制作
頭から突き出る、ふわふわの突起物。のっぺりとした顔と、くりくりの目が生み出す、どこかとぼけた表情ーー。「ウーパールーパー」の名を聞くと、そんな外見の動物が思い浮かぶのではないでしょうか。実は、意外と多くの品種があると知っていますか? その見分け方を解説したイラストが、ツイッター上で人気を集めています。不思議な魅力に取りつかれたという作者に、話を聞きました。(withnews編集部・神戸郁人)
ウーパールーパーは、「メキシコサラマンダー」「アホロートル」とも呼ばれる、メキシコ原産の両生類です。静岡大学理学部生物学科のウェブサイトなどによると、子どもの頃の身体的要素を残して成長する、「幼形成熟」がみられます。
頭の後方に、左右対称に生えた細長い外鰓(がいさい=えら)と、平べったい尻尾が特徴です。日本では1980年代、テレビCMに登場し、お茶の間の人気者になりました。一方、メキシコでは環境汚染などのため生息数が減り、天然個体の国際取引が制限されています。
国内において、ペットとして老若男女に親しまれてきたウーパールーパー。5月22日にツイートされた解説イラストには、愛らしくデフォルメされた8品種が、種類名とともに描かれています。
知名度が高く、白い体と黒い目が印象的な「リューシスティック」。迷彩柄の「マーブル」。品種改良により胴体が短く生まれる「ウパルパ」――。どの個体のボディーも丸っこく、2本の後ろ脚で立ち上がり、ニッコリ笑っているようです。
そしてイラストの下に目を移すと、「ラメが入ってキラキラ」(ゴールデン)など見た目にまつわる情報はもちろん、「何でも食べようとしがち」(アルビノ)といった、個体ごとの性格に関する説明文も添えられています。
「これはきゃわわすぎる(可愛すぎる)」「ウーパールーパーの『沼』にはまりそう」。ツイートにはコメントが連なり、飼育中の個体の写真を紹介する人々も。6月2日時点で10万件近い「いいね」が付き、2万回以上リツイートされました。
イラストの作者は、愛知県の大学生ももにくすさん(21・@momonicus)です。ウーパールーパーがモチーフのイラストを描き、「人生はウーパールーパー」名義のツイッターアカウント(@Axolotl2013)で公開しています。
ももにくすさんが、ウーパールーパーに興味を持ったのは、小学生の頃のこと。水族館で偶然目にし、何ともいえないぼんやりとした表情に、強く惹(ひ)かれます。10歳の誕生日を迎えると、親にプレゼントしてもらいました。
「他の動物も飼ったことはあります。でも、なぜかこの生き物に執着してしまって。自分でも理由はわかりません。まるで呪われているのではと感じるほど、好きになったんです」
日々観察するうち、油絵など様々な方法で、ウーパールーパーの姿を模写するようになりました。2年前には、デジタル上で完成させた絵を、SNS経由で発信し始めます。やがてそれらを見た人々の反応を通して、品種の多様さが知られていないことに気付いたのです。
そんな経緯から生まれたのが、解説イラストのアイデアでした。創作にあたり、基本的な品種とされる、リューシスティックなど5種を選定。更に、飼育方法の指南書を参照しつつ、ネット上で検索時のヒット数が多い3種を加えました。
「『目の白い品種は比較的食いつきがよい』といった、一般に言われる情報については、説明文に盛り込みました。またキャラクターの体つきを丸っこく描くと、『可愛い』と言って頂けることが多いんです。今回もそれにならい、2時間ほどで仕上げました」
「最近、見た目が似ているとよく言われる」と笑うほど、ウーパールーパー好きな、ももにくすさん。イラストが話題になったことで、初めて見る品種の画像を投稿する人も現れ、「勉強になりました」と喜びます。
その上で、次のようにも語りました。
「おもちゃ感覚で飼うのだけはやめて欲しいな、とも思います。全ての生き物に関して言えることですが、我々と同じく生きています。私も、今は経済的にウーパールーパーを幸せにしてあげられる自信がないので、飼っていません」
「ウーパールーパーは、可愛いだけでなく、とても不思議で興味深い生き物です。私と同様、『沼』にはまる方が増えて、充分な知識と責任をもって飼育して下さったら、うれしいです」
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