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「高尾山にトリュフ!?」〝高級食材〟見つかる 実は日本に20種も
人工栽培技術の開発も進められています
東京・高尾山で、世界三大珍味の一つであるきのこの「トリュフ」が見つかったーー。6月、高尾山さる園・野草園のSNS投稿が話題になりました。国定公園の高尾山で植物や菌類の採取は禁止されていますが、担当者は自然に関心をもってもらうきっかけにと発信したそうです。実は、日本でも20種以上のトリュフの自生が確認されているといいます。専門家に取材しました。
6月中旬、高尾山さる園・野草園がX(旧Twitter)に投稿しました。
フォアグラやキャビアと並び、世界三大珍味として知られる高級食材のトリュフ。高尾山で見つかったというニュースに、ユーザーからは「高尾山すごい」「知見が広がった」「日本でも育つんだ」と驚く声が寄せられています。
高尾山さる園・野草園を運営する高尾登山電鉄の担当者によると、トリュフは園内の手入れ中に偶然発見したそうです。「探すつもりはなかったのに見つけられるとは」と驚いたといいます。
社内でもこれまで高尾山でトリュフを見た人はいなかったそうです。
見つけたトリュフは二つ。見た目や香りからトリュフの仲間であることは分かったものの、種類を見極めるために一つを国立科学博物館に鑑定してもらったといいます。
その結果、黒トリュフと呼ばれる菌類の一種「アジアクロセイヨウショウロ」であることが分かり、標本として博物館に収蔵してもらえることになりました。
もう一つのトリュフは、さる園・野草園で展示するために標本に加工したほか、栽培実験も始めたそうです。
多くの人が注目するニュースだった一方、担当者は「高尾山は国定公園なので、植物や菌類などの採集は禁止されています。絶対に持ち帰らないようにしてください」と念を押します。
今回の発信はあくまでも「豊かな自然に関心を持ってもらうため」でした。
担当者は、「高尾山は1600種の植物のほか多くの菌類、コケ類などが自生すると言われており、観察も楽しめる山です。山登りだけでなく、動植物昆虫に目を向けてみてはいかがでしょうか」と呼びかけています。
高尾山でのトリュフ発見に多くの人が驚いたように、日本では自生したり栽培されたりしているイメージがあまりないかもしれません。
国産トリュフの現状について、きのこの生態に詳しい国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所東北支所の山中高史さんに話を聞きました。
山中さんによると、トリュフは地中で形成されるきのこで、形は球状から塊状をしています。世界では180種以上が存在すると考えられているそうです。そのうち日本でも20種以上が自生しています。トリュフは生きた樹木から養分を得て生育しています。
なかでも食材としてのトリュフは、今回高尾山で見つかった黒トリュフ「アジアクロセイヨウショウロ」と、白トリュフ「ホンセイヨウショウロ」です。いずれも日本に広く分布していて、「その範囲であればどこで採れてもおかしくありません」。
しかし、日本人にはあまりなじみがなく、出合ったとしても気がつかない可能性があるといいます。
「きのこと言っても土の中で作られ、その一部が地面から顔を出してきます。似た形をしたきのこでは、松林に出る『松露(ショウロ)』とも間違いやすいですね」
形は似ていますが、割ったときにマーブル模様になっているのがトリュフだそうです。
森林総合研究所は、国産トリュフの人工栽培技術開発に向けた研究を続けています。
2022年には茨城県と京都府で白トリュフ、2023年には岐阜県で黒トリュフを人工的に発生させることに成功したと発表しました。
しかし、人工栽培はとても難しく、白トリュフは苗木を育ててから約3年6カ月、黒トリュフは7年ほどかかったといいます。
白トリュフは国内4カ所の試験地に植えていたものの、発生したのは2カ所だったそうです。2022年に発生した白トリュフは22個。最大9センチ60グラムほどあり、食材としては十分なサイズだったといいます。
山中さんは、「現在はまだ『人工的に発生させることに到達した』という段階です。栽培技術が確立してスーパーに国産トリュフが並ぶようになるのはもう少し先。引き続き研究を進めていきます」と話しています。
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