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森三中・大島美幸さん2度目の妊活 「男はいいよな」と言ったことも

夫・鈴木おさむさんとの〝ズレ〟は…

流産を経験し、妊活休業をした森三中の大島美幸さん。妊活の相談を夫・鈴木おさむさんに初めて伝えたとき、「俺の生活は一切変えないから」と言われたことが忘れられないと話します
流産を経験し、妊活休業をした森三中の大島美幸さん。妊活の相談を夫・鈴木おさむさんに初めて伝えたとき、「俺の生活は一切変えないから」と言われたことが忘れられないと話します 出典: 写真はいずれも笑下村塾提供

目次

最初の妊娠から2度の流産を経験し、2014年の妊活休業を経て男の子を出産した、お笑いトリオ・森三中の大島美幸さん。今年44歳となり、2度目の妊活に挑戦中です。2度目の「不妊治療」でも、パートナーとのコミュニケーションでは苦労したといいます。YouTubeたかまつななチャンネルで話を聞きました(聞き手:たかまつなな/笑下村塾)

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森三中・大島美幸さん:1980年1月13日生まれ。栃木県出身。1998年、黒沢かずこ・村上知子と共に「森三中」を結成。2002年、放送作家の鈴木おさむ氏と結婚。2015年に、長男を出産。バラエティ番組を中心に活躍中。

2度の流産、妊活休業を決意

――最初の妊娠はいつごろだったんですか?

2006年の後半ぐらいで、翌年の妊娠8、9週目ぐらいで流産しました。

妊婦検診で「いつもと違うな」って思っていたら「鈴木さん、落ちついて聞いてください。赤ちゃんの心臓が止まっています」と言われて。何がなんだか分からず泣きましたね。
いつも病院には夫が付き添いで来ていたんですが、たまたまその日は来れなくて。泣きながら電話して、迎えにきてもらいました。

私がずっと泣きじゃくるから、背中をさすったりしてくれたんですが…。どうしていいか分からなかったと思います。

そのあとも「自分が悪かったんじゃないか」と考えて、すごく落ち込みました。

※妊娠初期の流産のほとんどは母体が原因ではありません。(注:萩原將太郎・筑波大学医学医療系教授/以下同)

ーーそういったつらい状況から、どうやって立ち直りましたか?

「妊娠したら出産できる」という考えをまずなくそうと思いました。本を読み、自分の体と向き合う時間を作ろうと思ってから、徐々に前向きになり「よし次行くぞ」となったのが2年後ぐらいでした。

でもまた流産してしまうんですよ。1回目の妊娠と同じぐらいで。

以前より気を遣っていたんですが、当時はまだ20代で仕事量は変えず、忙しくさせてもらっていたので、「もしかして1回休まないと赤ちゃんを授かれないんじゃないか?」と思いました。

体を張る仕事も多くて、ロケなどの時間も不規則。考えて考えて「思いっきり仕事をやってから休業させてもらおうかな」という結論に至りました。

まずは夫と、森三中の黒沢(かずこ)さん、ムーさん(村上知子さん)に話しに行きましたね。

※医学的には、仕事をしていると妊娠しにくい、というわけではありません。

妊活休業、焦りや不安を感じることも

――妊活休業を決めた時、周囲はどんなご反応でしたか?

ムーさんも黒沢さんも応援してくれて、2人の後押しで妊活休業ができました。

もちろん、仕事で関わる方にもお話をしたのですが、こんなことを言ったら失礼ですけど、おじさまとかは「妊活休業って何?やればできるでしょ」って方もいました。

10年ほど前の当時、妊活は浸透していないし、芸人で休業までしている方はいなかったので…ちょっとショックでしたね。

2013年は24時間テレビで88キロ走ったり、映画『福福荘の福ちゃん』で男性役をやる仕事もあったり。そこまでに来た仕事は全部やろうという気持ちで挑み、2014年の5月に妊活休業させていただきました。

――休業するのは怖くなかったですか?

怖かったです。どのぐらい休むのかわからなかったですし、私がいなくても何も変わらない世界で、「いなくなるって簡単なんだ」とすごく怖くなりましたね。妊活休業の当初は、「早くしないと」って正直すごく焦っていました。

妊娠中はテレビを見ていて、本当に面白くて励まされました。笑うと楽しくなる、芸人ってすごい仕事なんだって改めて感じることができてよかったです。

ムーさんの育児休業と私の妊活休業が重なって、黒沢さんが1人で出ることが多かったんですが、ちゃんと応援しようと思って「面白かったね」って連絡してました。そこから悔しいとか、いいなといった焦りもなくなりました。
――休業中はどんな生活だったんですか?

病院で検査等をして、妊活の妨げになる子宮筋腫の手術や甲状腺の病気の治療をしました。

あと、いろいろな妊活の本を読みました。名前は忘れましたが「あなたがマイナス思考だと、赤ちゃんは来てくれません」と書いてあった本が面白かったですね。だから毎朝、起きたら窓を開けて「ああ、気持ちがいい。楽しいよ。赤ちゃん、うちにおいで」ってやっていました。

――妊活や妊娠期間中は本当に大変だからマインドセットは大事かもしれないですね。

不妊治療をしていると「残念ながら…」と言われることがあります。

でも、妊娠したら食べ物とかの制限も多くなる。だから「もう1回ダメになったらお刺身を食べる」とか、自分のやりたいプラスなことをノートに書いていました。

妊娠したらもちろん嬉しいですけど、できなくてマイナスなことばかりだと塞ぎ込んじゃうので。

※妊娠中は、お刺身は食べ過ぎなければ、食べてはいけないわけではありません。生肉や生ハムは食べないでください。

男性パートナーと足並みを揃える大変さ

――不妊治療はどういったものをされたんですか?

まずは人工授精で、運良く2回目ぐらいで妊娠したんです。横浜に面白い医師がいて、「人工授精って言うけど、受精は自分の力だからね。人工ではないんだよ」って言ってくださったのが印象的で、すごく好きな先生でした。

――不妊治療って週に何回ぐらい通院されるんですか?注射などをしなくてはいけないから、たくさん通わなきゃいけないとは聞いたことがあります。

人工授精は薬もそんなにありませんでしたが、体外受精、顕微授精は、仕事をがっつり入れていたら難しいです。

生理が来たら病院に行くことが多いので、このあたりに生理かなと予想して仕事を入れています。予定が被ったら「申し訳ないですけど、妊活のため…」とマネージャーさんに仕事を調整してもらっています。

2度目の不妊治療である今は、顕微授精という高度な治療をしています。「20時になったら自己注射」のように、注射や投薬の時間が全部決まっているんです。

そしてやっと採卵して受精卵ができても「残念でした」と言われてしまう。

やっぱり「頑張ったのに」という思いが、一番しんどいです。お金と労力をかけて、仕事も断って集中したことがぶわーっと思い出されて。子どもがほしいという確固たる決意がないと負けてしまいます。

――夫の鈴木おさむさんも同じように感じているのでしょうか?

難しいところで、通院したり、注射したりするのは女性じゃないですか。だから熱量が違う気がします。

申し訳ないけど、何度か「男はいいよな」って言っちゃったことはあります。「交互に妊娠とかできたらいいのに」とか「私も(男性みたいに)採卵前に1回来ればってならないかな」とか「私ばっかり週1で病院って予定が書いてある」とか思っちゃいます。

妊活中、旦那が1回だとしたら、私は4回は通院しないと行けない。私は極力少なくしているので、もっと通院している方もいらっしゃると思います。
――最初の妊娠・出産の時はどうだったのでしょうか?

2015年に息子を授かったときは、「社長に報告する秘書」という心持ちでバランスを取って妊活していました。

初めて「妊活したい」って言ったとき、夫から「俺の生活は一切変えないから」って言われたのが、私は忘れられなくて…未だに言ってます。でも、こういうパートナーさんは多いとも思うんですよ。

もちろん夫とは対等ですが、気持ちの上では〝いるだけの社長〟が夫で、〝実質的に会社を動かしている秘書〟が私で。どうしても治療は私の手にかかっているから「報・連・相」はしっかりして、私はこの考え方が一番楽でした。

――「俺の生活は一切変えない」という言葉…ショックですね。

腹が立ちましたよ(笑)。私はこれからバランスの良い食事を作って、旦那にも食べてほしいと思っている。でも、今までと変わりなく生活するということは、朝まで帰ってこない、酒ガブガブ飲むとか、そういうことをやるってことでしょ。私は180度変えるつもりなのに、それはないだろうって。

だから「私ばっかり、通院する、手術もする、甲状腺の病院にも行く。なのに、あなたのそれは妊活なの?子どもがほしいという思いは一緒じゃなきゃいけなくない?」って言いました。
夫も自分の体を調べたら、運動率、奇形率とかがあんまり良くなくて、それから変わりました。男性も「自分を知ること」っていうのはとても大事だなと思います。

当時は、「妊娠しづらいのは女性のせい」という考え方も根強く残っていましたが、不妊の原因は50、50です。

私の家族はたまたまこういう形でしたが、パートナーで未だに「俺は検査しなくていいよ」って方は多いのかもしれません。

出産の放送は「テレビへの恩返し」

――テレビでもご出産の様子が放送されました。どうして放送しようと思われたんですか?

赤ちゃんが元気で産まれてくることが最優先ですが、先生と相談し、赤ちゃんは映さず私の顔と声だけで、「テレビへの恩返し」だと思って放送しました。

もちろん批判もありましたが、いっぱいお手紙もいただき、特に初産の方からは、「ものすごく勇気づけられた」と言ってもらえて、嬉しかったです。

――お子さんに対してはどういう感情を持ちましたか?

元気に生まれてきてくれてありがとうと思っています。いま8歳になりましたが、毎日、寝る前に「来てくれてありがとう」って言っています。

――流産や妊活休業、出産を経験し、さらに2度目の妊活に取り組む今、どう感じていますか?

妊活って、自分自身と、パートナーと向き合う、ってことだと思うんですよ。

仕事、赤ちゃんがほしいということ、自分が何をしたいかの優先順位をつけないといけない。そして「自分に優しくしよう」と自分をいたわる時間なんじゃないかって思います。だから尊い時間というか、すごく良い時間だなと思います。

息子が来てくれたのはもちろんありがたいことなんですけど、そうじゃない未来もあったわけです。二人で「もしこのまま赤ちゃんが来てくれなかったら」と話せたのもいい時間でした。

パートナーとの考え方って、ちょっとズレてしまう。それをなくすために、話し合いが基本だなと思いました。今も妊活中ですが、ズレがないよう、「1年後の自分たち」や「できなかったときの話」もしていかなきゃなとは思っています。

とはいえ、夫が今年の3月いっぱいで仕事を辞めると言い出して、今は「4月1日に死ぬんじゃないか」ってぐらい仕事をしているので、会話する時間はないし、心配ですが…(笑)。走り切っていただいて、4月以降にゆっくりお話していくつもりです。
――今、妊活で苦しい思いをしている方もたくさんいらっしゃると思います。最後に、大島さんからぜひメッセージをお願いします。

焦りや「こうしなきゃ…」という気持ちは、自分の首を絞めたり、苦しませてしまったりすることもあると思います。でも、パートナーと話し合い、楽しみを見つけ、リラックスして臨むことで、良い方向になればと思っています。

私も2人目の妊活中なので、皆様に少しでも笑っていただけたらなと思っています。「頑張る」と考えると本当に苦しくなっちゃうので、楽しんで生活していけたらと思っています。焦らずいきましょう。

(監修:萩原將太郎 筑波大学医学医療系教授)
     ◇

〈たかまつなな〉笑下村塾代表取締役。1993年神奈川県横浜市生まれ。時事YouTuberとして、政治や教育現場を中心に取材し、若者に社会問題を分かりやすく伝える。18歳選挙権をきっかけに、株式会社笑下村塾を設立し、出張授業「笑える!政治教育ショー」「笑って学ぶ SDGs」を全国の学校や企業、自治体に届ける。著書に『政治の絵本』(弘文堂)『お笑い芸人と学ぶ13歳からのSDGs』(くもん出版)がある。

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