難病の子どもたちの夢を叶えるボランティア団体メイク・ア・ウィッシュを40年以上にわたり支援しているディズニー。そこには、ディズニーが作品を通じても大切にしているテーマがあるといいます。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
その長い作品制作の歴史の中で、繰り返し「願いの力」を描いてきたウォルト・ディズニー・アニメーション。
重い病気と向き合う世界中の子どもたちの、人生を変えるような願いを叶えるボランティア団体メイク・ア・ウィッシュを40年以上にわたって支援し続けてきました。
現在はディズニー100周年を記念した新作映画『ウィッシュ』公開に合わせて、グローバルキャンペーン「Wish Together」を実施中です。
キャンペーンの一環として、同団体が支援する子どもたちとその家族を招待したイベントが行われ、「願いの力」をテーマにした作品『ウィッシュ』特別先行上映会が開催されました。
そのイベントにおいて、ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社の代表取締役社長であるキャロル・チョイさんは、こう語りました。
「『ウィッシュ』は、過去1世紀にわたってディズニーのストーリーテリングを特別なものにしてきた要素が詰まった作品です。その要素とは、すばらしい楽曲、個性の豊かなキャラクター、そして『願い事をすること』です」
同社は日本でも、公益財団法人の「メイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパン」の活動を20年以上にわたって支援しています。
「子どもたちの願いをかなえることは、ディズニーが行うさまざまな活動の中で、もっとも重要なものの一つです。20年以上にわたり 、日本全国でこどもたちの夢を実現するために一緒に活動してくださったメイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパンの仲間たちに感謝します」
メイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパンは、アメリカで始まったボランティア活動「メイク・ア・ウィッシュ・インターナショナル」の正式な支部として、1992年12月に設立されました。
難病の子どもたちから寄せられる願いは、年間で約200個ほどあり、「ウォンバットのうんちに触りたい」「ドレスが着たい」などさまざまですが、半数以上がディズニー関係だそう。
ディズニーとともに支援を続けるなかで、メイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパン事務局長の鈴木朋子さんは、忘れられない思い出があると言います。それは、病気が理由でそれまで歩こうとせず、両親も「この子はもう歩くことができないのでは」と思っていたという3才の男の子のエピソードです。
ディズニーのパークへの訪問を希望していましたが、「その男の子は、靴も持っておらず、いつも車椅子に乗っていました」と振り返ります。
「ですが、その子がパークに入った瞬間、『歩きたい』とおっしゃったのです」
「ディズニーに行くことができるとわかったどの子どもたちも、実際に力が湧いてくる……という瞬間を私自身、何度も見ています」と鈴木さん。
「お父様とお母様も慌ててショップへ靴を買いにいき、すぐに履かせていました。その子は本当に一歩一歩、踏みしめるようにパークを歩いていました。
その子にとって、初めて歩いた瞬間がディズニーだったというのも、とても大きな感動でした。『Wish Together』のような取り組みを今後もたくさん行いたいというのが私の願いです」