この旧デン晴海について、建物マニアのhacoさんに、その魅力をうかがいました。hacoさんが以前、共著で出版した、東京の東側にあるいいビルを集めた写真集
『いいビルの世界 東京ハンサムイースト』の表紙はこのホテル。かねてから愛好していたと言います。
まずはやはり「まるでブラウン管のテレビをたくさん貼り付けたように見える、個性的な外観に惹かれます」とhacoさん。
「勝どき駅から晴海通りを歩いて向かう途中、黎明橋の手前から、近代的なビルとホテルの特徴ある外観が並んで見えるのが面白い。屋上にある、斜めに切り取られたような塔屋もかっこいいです」
hacoさんはフクラシア晴海時代に宿泊したこともあるそうで、当時の内部の様子も教えてくれました。
「ホテルの内装や設備は新しく綺麗になっていて、過ごしやすかったです。竣工当時の痕跡はほとんど見当たりませんでしたが、2階のエレベータ前の照明と非常用誘導灯、駐車場の文字など、一部に名残りを感じました。
四角い窓を内側から見ることができ、どう開くのかわかったのもうれしかったです。押して開けるタイプの窓で、下側が10センチほど開きます」
この50年、手から手へと渡ってきたホテル。逆に言えば、過去の特徴的な建築物が取り壊されていく中、こうして旧デン晴海が引き継がれていったとも言えます。晴海に立ち寄った際は、L stay & grow晴海から、高度経済成長の面影を感じ取ってみるのもよさそうです。