連載
#16 #やさしい日本語
コンビニにある「花の封筒」は何ですか【やさしい日本語】
外国人からもらった「かわいい花の封筒」にもやもや……
この「やさしい
【機械翻訳用】ふりがな なし
コンビニにある「花の封筒」は何ですか【やさしい日本語】
辞書には載っていない日本語…。日本人が驚いた外国人の行動……。ある日、日本語教室に通う子どもが持ってきた「香典袋」。いったい何が起きたのでしょうか? 外国人と日本人の「悩み(もやもや)」を、やさしい日本語で解説します。
■きょうのことば
香典袋(こうでんぶくろ) 白い封筒です。黒や銀の飾りがついています。
■花の絵が書いてある「かわいい」封筒
【愛知県豊田市の保見団地で日本語教室を開く伊東浄江さん(NPO法人トルシーダ)の話】
このあいだ、私は、日本語教室に来ている子どもから、黒い花の絵が描いてある封筒をもらいました。
私はとても驚きました。私は「ご不幸(誰かが死ぬこと)があったのかな?」と考えました。
その封筒は「香典袋」だったからです。
「人が亡くなる(死ぬ)と、お通夜やお葬式があります。そのとき、お金(お香典)を持っていきます。香典袋はそのお香典を入れる袋です。 黒や銀の水引というひもが結んであったり、『御霊前』や『御香典』など書いてあったりします。仏教の場合は、蓮の花の絵が書いてある袋を使うこともあります。香典袋は、スーパーやコンビニでも、買うことができます」
私は子どもに「これは何ですか?」と聞きました。
子どもは「テキスト(教科書)のお金です」と答えました。
それで私は、親が、子どもの教科書のお金を私に払うために、お金を香典袋に入れて、子どもに渡したのだとかわかりました。
その子どものお母さんは、ペルー人です。20年ぐらい日本に暮らして、日本の会社で働いています。 私は、お母さんの気持ちを考えました。お母さんはきっと、わざわざコンビニに行って、お金を入れるための袋を探して、花の絵が描いてある封筒を見つけて、その袋がかわいかったので、それを選んだのだと思います。
香典袋は人が死ぬという、良くないことがあったときに使います。だから、そのことを知っている人は、何もない時には使いたくありません。 私も最初は「嫌だな」と驚きましたが、お母さんの気持ちが分かったので、受け取りました。
そして、私は少し、さみしい気持ちにもなりました。 そのお母さんは日本で長く暮らしているけれど、日本のお葬式に行ったことがなかったのかもしれません。親しい日本人がいなかったのかもしれません。 日本人と親しくならないと、知ることができない文化が、日本にはたくさんあります。
まだ日本と、お母さんの間に、見えない壁があるのかなと、私は感じました。
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