エンタメ
広末涼子さんが語る「子育て論」 女性の社会進出「選択肢広げたい」
広末涼子さんは、子育てをしながら俳優として活動を続けています。女性の社会進出が進んだ時代である平成。そのまっただ中を生きてきた広末さんは「子育てと仕事、どちらの人生の選択もあきらめないでほしい」と呼びかけます。3児の母となった広末さんに「子育て論」を聞きました。
――仕事を続けながら子育てし、今は3児の母です。
「初めて子供が生まれてからの仕事復帰というのは、まだ何も見えていませんでした。ただ、仕事を始めてみるともちろん仕事に手は抜けないし、やるからには最高のものにしたい。要求に応えたいと思い、決意が生まれました」
「休みに入っていたときは、絶対二足のわらじをはくような、母親と女優というのは同時進行できるほど甘くないと思っていました。復帰の時期を考えずに専念したいと思い、人生初の育児に全力投球したいと休みに入りました」
「復帰後は両方全力投球するためには何が必要か、どういう切り替えが大切なのか。時間の使い方や人に頼ること、努力することをやり続けてきた。今はすごくバランスも考えてお仕事に取り組んでいかなければと思っています」
「10~20代のころよりもありがたいことに、求められる芝居のスキルや役の幅、役自体が背負っているものが確実に大きくなっている。作品の中でも役だけではない立場や現場作りなど、自分に求められている比重が大きくなっています」
「その中で、期待とか責任が大きくなっていると思うと、良い仕事だからと全て引き受けていたら崩壊するなと思います。自分にはもちろん、家族にも影響が出るといけないので相談しながら、客観的にも自分を見ながら、取り組んでいく必要があります」
――平成は女性の社会進出が進みました。表舞台に立つ女優として、その先頭に立っています。
「復帰したときから気持ちとしてあるのは、女性の社会進出はもちろん、芸能界の結婚、出産、女性としての選択肢を広げたいという夢です」
「アイドルだから恋愛しちゃいけないとか、女優さんだから結婚したら次のステージはどうなるのかとか、みなさん不安はあると思います。それは芸能界だけではなく、どこの世界の女性も仕事か結婚かのてんびんにかけなければいけない時が来ると言われますが、両方取っても良いという選択肢を私は伝えたい」
「女優さんとして結婚し、子供がいても女優さんを続けられるという先駆者になれたら、たくさんの女性の可能性を広げられると思います。両方大事すぎてあきらめられないし、そういう人がいないと時代とか世界って変わりません」
「私は芸能人ですが、友人で警察の女の子は、子供をかかえて資格試験をとる女性はいなかったとか、どう産休を理解してもらうかと今も戦っています。業界によってはまだどこの世界にもあると思うので、たまたま私はそういう時代に立ち会い、チャンスもあった」
「若いときと違い、優先順位が付けられなくなりました。どれもあきらめられないという欲でやってはいませんが、この特別なチャンスを私がもらえているのに、家庭だけに入るというのはぜいたくです。仕事をしながら家のことを放棄するのはもちろん女性としてできないし、あきらめられない環境が私をそうさせたのかなと思います」
「負けず嫌いなところは昔からありました。やりたいことが多くて、芸能界を始めたばかりや進学のときに、祖父から『二兎を追う者は一兎をも得ずだ』と言われました。でも私は、『三兎とか四兎とか追っているし』と思っていました。二兎どころじゃないと。それは学生時代からそうだったので、今もそうなのかなと思います」
「仕事はいつでもできるけど、子育てはいつでもできません。女性にはタイムリミットもある。私はどちらの人生の選択もあきらめないでほしい。仕事が一回なくなっても、また努力すれば復活できると思っています。もし、私が芸能界に復帰してつかめなかったら、私もそれぐらいのものなんだなと思います」
◇
広末涼子(ひろすえ・りょうこ)1980年、高知市生まれ。94年、クレアラシルのCMでデビュー。97年、「MajiでKoiする5秒前」で歌手デビュー。「鉄道員」「おくりびと」「ゼロの焦点」など数々の映画やドラマに出演した。
1/4枚